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hayao.jpg スタジオジブリの最新作「コクリコ坂から」が2011年7月16日より、全国東宝系にて公開される。作品の企画、脚本をつとめた宮崎駿氏らが3月28日に記者会見し、映画の制作状況や3月11日に発生した東日本大震災への思いを語った。

 「コクリコ坂から」は、高橋千鶴・佐山哲郎原作の漫画をアニメ化したもので、東京オリンピックの前年である1963年の横浜が舞台。高校2年生の少女「海」を主人公に、同じ学校の少年との恋愛や青春を描いている。

■ 宮崎氏「不安だけが流れる時代に何をつくるか」

 東日本大震災の発生により企画時点から社会情勢が変わってきている。これについて宮崎氏は、今作と照らし合わせながら、

「自分たちの生活が淀んできて、不安だけが流れるような時代に一体何をつくるのかが問われている。そういう意味で、ヒロインの海という少女の願いや、(登場する)少年の『雄々しく生きよう』という気持ちは、これからの時代にも必要なものだと思う」

と語った。地震や津波により大きな被害が東日本の各地にもたらされたことについては、

「私たちの列島は繰り返し地震や津波、台風などに襲われてきた。しかし自然の豊かな恵まれた島であり、多くの困難や苦しみがあっても、もう一度人が住む、もっとより美しい島にしていく努力をする甲斐のある土地だと思っている」

とし、さらに、

「多くの自然現象の中で(日本の先祖は)この国を作ってきた。このこと自体で絶望する必要はない」

と力強く話した。

■ 宮崎氏「人民の愚かさもマスコミは糾弾して欲しい」

 一方で宮崎氏が懸念するのが、東日本大震災で被害を受けた福島第1原発から漏れる放射性物質の問題だ。

「プロメーテウスの火(=原子力)をどうやってコントロールできるのか。国土の一部を喪失する事態になりつつあることに対して、どう対応できるのか。残念なことに私たちの文明はこの試練に耐えられない。だからこれからどういう形の文明を作っていくかという模索を始めなければならないと思う」

 また、水道水から乳児の規制値を超えた放射性物質が検出されたことでペットボトルの水が売り切れている状況に、宮崎氏は、

「乳幼児のいる家には本当に配慮しないといけないのに、僕と同じような年の人が水を買いに並ぶなんてもってのほかだ。人民の愚かさもマスコミは糾弾して欲しい」

と苦言を呈した。

■ プロデューサー鈴木氏「陰日向になって、やれることは全部やろうと思う」

hayao2.jpg 震災の影響は、映画制作にも及んでいるという。アニメの制作にはコンピュータを使った作業が大きな割合を占めるが、計画停電によりその作業ができなくなるほか、データが消えてしまう恐れもあるからだ。このため、停電のない深夜帯に作業をするべく、コンピュータ関連の担当者は夜8時から出社して作業をしていたという。夜間勤務の場合は業務効率が通常よりも落ちるため、制作の遅れにつながっているとした。当初のスケジュールに比べて脚本や絵コンテの仕上がりが遅れていたこともあり、現在の完成状況は50%程度とのことだ。

 スタジオジブリでは被災者への支援を行っているという。ただし、具体的な支援内容については明らかにしていない。内容を公表することで、数字などが一人歩きするのを避けるためだ。スタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫氏は、「陰日向になって、やれることは全部やろうと思っている」とし、物質的な援助や義援金のほか、人材支援などもしていく考えを示した。

(永井美智子)

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