minamisoma 被災地の避難所に届けられる支援物資といえば水や食料、衣類や毛布などを思い浮かべる人が多いかもしれないが、支援には様々な形がある。市の一部が計画的避難区域に指定された福島県南相馬市の避難所で、化粧品を配るボランティアの男性を見つけ話をうかがった。

 南相馬市の原町第一小学校で露天炊き出しが行われた2011年4月24日、豚汁やタコ焼き屋台の脇で化粧品を配布していたのは、外資系の化粧品メーカーに勤める向井透さん(43)。今回の支援について話を聞くと、「勤務している会社でも、企業として義援金や物資の提供を行っていました。もちろんそれも大事なのですが、仙台の百貨店経由となるためどこに届けられているかわからず、相手の顔も見えないことに物足りなさがあったんです」と活動のきっかけを語ってくれた。

 向井さんは20年ほど前、当時勤務していた国内の化粧品メーカーから派遣される形でアメリカへ留学。企業の奉仕的な活動「コーポレート・フィランソロフィー」について学び、現地でホームレスや老人ホームの方々へ支援を行った。向井さんは「そこで学んだのは、顔が見える支援の大切さです。1989年にサンフランシスコで地震が起きたとき、業績の良かった日本企業は多くの義援金を贈りました。ただ現地の人の反応を見る限り、顔の見えない支援には限界があると感じていました」と語る。

 そこで向井さんは現在勤務する外資系の化粧品メーカーに顔の見える支援をしたい旨を申し出たところ、約80万円の化粧品の提供を受け、休暇を利用し個人として今回の支援に至ったという。

 実際に避難所の方々に化粧品を配ってみた感想について聞くと「皆さんの喜ぶ顔が見えて、やっぱりうれしいですよ。避難所には高齢者の方々も多いですが、女性にとってキレイになりたいという気持ちに年齢は関係ないですからね。女性にとって化粧品は『うるおい』なんです」と笑顔で語り、用意した化粧品は避難所の女性に次々と渡っていった。

(松井尚哉)

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