京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏 「直ちに健康には影響のないレベル」「容認できるレベル」。福島第一原発の事故以来、何度となく聞いたこれらのフレーズ。本当に信じていいのだろうか――2011年5月13日に大阪の第七藝術劇場で行われたイベント『原発「安全神話」溶融』に出演した京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏は、「放射線は生命体と相容れない」と微量でも健康に影響を与えるという見解を披露。「許容できる被曝量は、政府ではなく、一人一人が決めるもの」と主張した。

 小出氏によれば、放射線による健康被害は年齢と相関があるという。同氏が特に心配するのは、被災地の子供だ。0歳の赤ん坊における健康被害の危険性は、30歳の成人と比べると約4倍になる。老人と比べて、細胞分裂が活発な子供は、放射線で傷つけられた遺伝子がどんどん増殖してしまうため、大きな影響を受けるためだ。

 小出氏は、

「今の赤ん坊には原子力を選択した責任は絶対にないんです。こういう子供たちに原子力汚染による被曝を与えることを私は絶対にさせたくない。むしろ、私を含めて、歳をとった世代に原子力を許してきた責任があると思いますので、事ここに至ったからには、被曝は年寄りが率先して引き受けるべきだと思っています」

 と主張。具体的には、「原子力を許して来てしまった日本の大人」として、年輩者が過度な風評被害を受けた食べ物を捨てることなく引き受け、子供たちにはできる限り綺麗な食べ物を与える仕組みが必要だという。

 だが、子供たちの安全が最優先になっているとは言い難い。政府は年間20ミリシーベルトの被曝量を上限に、福島県の学校の校庭利用を認めている。しかし、従来の上限が年間1ミリシーベルトだったことや、20ミリシーベルトという数値が原発作業員の通常時の年間被曝量の上限に相当することなどから、日本弁護士連合会など各所から見直しを求める声が相次いでいる。

 容認できる被曝量の線引きについて、小出氏は

「国は『容認できるレベルだ』と言っているが、それは自分たちで決めること。どこまでの被曝を自分で許容できるか、あるいは子供たちに強制できるかということをしっかりと見ながら、判断していって欲しいと思います」

 との見解を示した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]小出氏による放射線の子供への健康被害の説明から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv49374520?ref=news#50:08

(野吟りん)

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