現代人の6割強が「苦手」という調査もある、虫。子どものころは無邪気に触れていても、大人になったらなんとなく気持ち悪く感じてしまい、嫌悪感を抱いてしまう人も多い。マンガやアニメでも巨大化した虫が敵として描かれることも少なくない。現在アニメでキメラアント編が放送されている『HUNTER×HUNTER』では、体長2mにもおよび、人を食べてその能力を反映させた子孫を残すキメラアントが登場。また、巨大蟲と戦う『ムシブギョー』なども放送されており、人々がどれほど虫に対して恐怖心や嫌悪感を抱いているかがわかる。そこで、6月21日に発売された『最凶の「虫」王座決定戦―もしも「虫」が「人間」サイズになったら……』(「巨大虫」緊急防衛対策委員会:著、築地琢郎:監修/笠倉出版社) から、その恐ろしさや巨大化した場合どうなるかといったことを紹介してみよう。

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 まず、普段の生活では大したことないと思っていても、巨大化したら脅威に感じるものも。たとえば、夏になったら現れる蚊。もちろん、彼らが注入する唾液によってマラリアなどの病原体が撒き散らされるという恐怖はあるが、巨大化した場合に恐ろしいのはそれだけじゃない。出血による人間の致死量は血液の1/3と言われているのだが、もし蚊が人間サイズになったら60kgの人でも3匹に襲われた時点でアウト。また、ゴキブリにも恐ろしいポイントがある。気持ち悪さはあるが、特に攻撃的なわけでもないゴキブリ。エサの食べ方も「咬む」ではなく「舐める」なのだが、延々と舐めてジェル状に柔らかくなった所を少しずつ食べていくのだ。そんな生き地獄は、想像しただけでも…。勘弁していただきたい。

 また、遠隔攻撃が得意な虫もいる。バクダンオオアリなんかはその名の通り、自爆することで毒を撒き散らし、敵を道連れにする。もしも人間サイズになったら、「街をも吹き飛ばすような破壊力」を持った恐ろしい存在になるだろう。ミイデラゴミムシは100℃を超えるガスを下腹部から噴射するのだが、その刺激臭も相当なもの。巨大化したら、全身火傷では済まない。「体は吹き飛ばされ、皮膚は焼けただれ、強烈な悪臭に悶絶」すること必至。

 それに、危険なのは屋外や陸だけではなくなる。もしもミズカマキリが巨大化したら、水中にも逃げ場はなくなるのだ。呼吸管をもつミズカマキリは、水中でも生きることができるし、空を飛ぶこともできる。彼らは「鎌状の前脚先端で獲物を捕らえると、口吻から消化液を送り込んで溶けた体液を吸い上げ」て食事するので、そんなミズカマキリが巨大化すると、水辺はたちまち危険地帯に。「湖畔に打ち上げられる骨と皮の変死体が夏の風物詩に」なんて恐ろしい事態にもなりかねない。

 さらに恐ろしいのは、洗脳系の虫たち。エメラルドゴキブリバチは、ゴキブリを意のままに操ることで繁殖していく。2回の刺撃によって相手の逃避本能を奪い、「犬の手綱を引くように、ゴキブリの触角を引っ張り巣穴へ」移動した後、腹部に卵を産み付けて放置。あとは、孵化した幼虫によって内臓を食い尽くされる。もし逃避本能以外の感覚が残っているとしたら、逃げることも死ぬこともできずにただ痛みに耐えながら体内で幼虫が育っていくのを待つしかないのだ。

 現実的には、虫たちの体を覆う外骨格のせいで巨大化するのは不可能だと言われているが、それでも畏怖の対象として見られていることは事実。今の小さな体でも、人を死に至らしめる力を持った虫はたくさんいるのだ。これからも人類が生き延びていくためには、読んでおくべき1冊かも?


文=小里樹
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

『最凶の「虫」王座決定戦―もしも「虫」が「人間」サイズになったら……』(「巨大虫」緊急防衛対策委員会:著、築地琢郎:監修/笠倉出版社)