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ジャーナリスト・黒薮哲哉さん 「押し紙裁判」と呼ばれている民事訴訟の判決が2011年5月26日、東京地裁で言い渡される。これは全国紙を発行する新聞社が、「押し紙」に関する記事を雑誌に書いたジャーナリスト・黒薮哲哉さんと発行元の雑誌社を相手取って、名誉棄損で訴えた裁判である。黒薮さんは判決後に記者会見を行う予定だが、そもそも「押し紙」とはいったいなんなのか。黒薮さんに聞いてみた。

――「押し紙」とはなんですか。

 押し紙とは、新聞の発行会社が、その新聞を配達する販売店に対して、必要部数を超えて押しつけているとされる新聞のことです。「押し」つけられた新聞「紙」ということで、販売店の人たちは「押し紙」と呼んでいますが、新聞社側はそういう言い方をしないで「残紙」と言ったりしています。

 たとえば、読者が1000人いるとした場合、必要部数は1000部ということになるのですが、そんな場合に1500部の新聞を販売店に送りつけるということが行われています。この場合の過剰になっている500部の新聞が「押し紙」となります。

――なぜそのような「押し紙」が存在するのでしょうか。

 新聞社にとっては、発行部数が多いと紙面広告の交渉が有利になるというメリットがあります。新聞の発行部数は、日本ABC協会が調査して発表していますが、そのベースになっているのは新聞社から販売店に送り込んだ新聞の部数ですので、「押し紙」の分だけ発行部数が多くなるというわけです。

――販売店にとってのメリットはあるのでしょうか。

 販売店には、搬入部数に応じて補助金が出ます。また、販売店の折り込みチラシの広告料も搬入部数に応じて決まります。したがって、補助金と折り込みチラシの収入をあわせれば、販売店も損しない仕組みがあったのです。

――現在の状況はどうでしょうか。

 最近は不景気の影響もあり、販売店に入る折り込みチラシの収入が減っています。そのため、いくら新聞社から補助金をもらっても、押し紙で生じる損害を相殺できないという問題が起きています。しかし、新聞社と販売店の力関係は、圧倒的に新聞社が強いので、販売店は断りたくても断れないという状況があります。

 新聞の購読者数はどんどん減っているはずのに、ABC調査の発行部数はそんなに大きく減っていません。ということは、押し紙の比率が以前よりも大きくなっていると考えられます。新聞販売店に取材したところ、押し紙の比率が5割に達する販売店は珍しくなく、7割が押し紙という例もありました。

(聞き手・亀松太郎)

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