公明党の山口那津男代表 公明党山口那津男代表は2011年5月27日ニコニコ動画討論番組「山本一太の直滑降ストリーム」に出演した。福島第1原発の事故を受け、かつて与党時代に自民党と担った原子力政策について触れ、「安全神話の中にいて、厳しく問い直すことをやってこなかった。それが今回の結果(事故)につながった。謙虚に反しなければならない」と述べた。一方で、脱原発といったエネルギー政策の急な転換については「時期尚」とし、「エネルギーの安定供給」と「安全確保」を標に掲げ、冷静な議論を呼びかけた。

公明党・山口代表がニコ生初出演(5) 内閣不信任案をいつ出すべきか

 以下、番組での山本氏と山口氏のやりとりを全文、書き起こして紹介する。

山本一太参議院議員(以下、山本): 先ほどの原発の話に戻りたいと思う。この原発事故について内閣は、閣議決定で「事故調委員会を作る」と言っている。山口代表もご存じの通り自民党は、「事故を検証していく上で、総理責任や閣僚がどういう役割を果たしたのか検証していく委員会が、閣議決定でもし内閣の中にできたら、まともな検証ができるはずがない」という考え方。やはり国会に作るべきだ。

 内閣から独立させて、しかもかなり強い捜権限を持った・・・アメリカでかつてそのような大統領の諮問委員会みたいなものを作ったことがあるが、そういうことをやるべき。自民党としても、議員立法でこれをやらなくてはならないという立場。そこは代表はどうお考えか。

公明党山口那津男代表(以下、山口): 私も同じ趣旨で、疑われている政府の調を、その政府が自らできるはずがない。やはり国会が第三者的な専門機関を作って、そこで調をさせて、国会が監視・チェックをすべきという考え方。これが基本的な筋だと思う。

 ただ、国会で今までそういう機関を作ったことがない。仮に実際に作ったとしても、事務局や権限をどうするのか、やったことがないものだから少し手間がかかる。私は、国会が関与することが問題の核心であって、すでに政府が選んでしまったものが勝手に動いていくことを、国会チェックさせるという意味では、国家行政組織法の三条、「三条委員会」という位置づけ。これは国会が委員の任命に同意しなければならない。(そうすれば)そこで国会が関与できる。しかも人を呼ぶ権限とか、独立性の強い権限を持っている。そういうものを国会で位置づけて、国会コントロールの下に置くべきだということを提案したい。それであれば自民党公明党、たぶん民主党もまさか反対はできないのではないかと思う。

山本: この問題については、ぜひまた谷垣総裁と山口代表の間でもいろいろと議論して、いい形で進めていただきたい。いずれにせよ、お手盛りみたいな原発事故調委員会では意味がないと思っている。

 関連したポイントなので聞きたいが、これからの原子力政策をどうしていくのか。山口代表も摘しているように、自民党の中でも、内閣原発事故への対応は大きな問題があると思っていて、半分人災だという人も大勢いる。

 ただ、原子力政策をかなり長く私たち(自民党)は担ってきた。自政権で与党をやっていた時期もあるが、自民党は相当長く原子力政策をやってきた。そこで、例えば原発の安全性についてちゃんとシミュレーションできたのかどうか。今の経産省の中にある保安院の位置づけが正しかったのかどうか。かなり手厳しいことを外メディアは言っているが、いわゆる東電電気事業連合会と自民党マスコミと、あるいは労組みたいな、こういうつながりの中で、実は原発の安全性についてちゃんと疑問を呈するような雰囲気はかったのではないか。こういうことは、われわれもちゃんと反しなければいけない。長くエネルギー政策を担当している自民党としても、ちゃんと反して検証しないと、ただ単に政府を責めることはできないというのが、谷垣総裁の意見。石破政調会長も同じことを言っている。

 一方で初動の問題については、厳しくやりたい。なぜかというと、同じこと(事故)が起こった時に、同じこと(初動の混乱や遅れ)になってはいけない。これはやらなければいけないと思う。

 いずれにせよ日本は、「脱原発」という言い方が正しいかどうか分からないが、今の原子力政策をどう変えていけばいいのか。(原発の)新規立地は簡単にできない状況になった。もしかしたら何十年もできないかもしれない、という中で、公明党としてはどういうエネルギー政策をしていくのか。脱原発なのか。山口代表のビジョンを聞きたい。

山口: 大事な今の直面する(状況の)中で、すべき大きな価値というものがあると思う。ひとつは、民の皆さんの不安を解消するために、「安全をどう確立するか」。そしてもうひとつは、「エネルギーの供給をどう安定的に行っていくか」。この2つの標は抑えなければいけない。そのためには、やはり冷静な議論をする必要がある。

 将来のあるべき姿――大きく言うと、長期的には太陽水素系のエネルギーにすべきである。つまり、自然エネルギーをもっと重視していく。再生可エネルギーに変えていく。公明党はこういう大きな標を掲げている。

 しかし技術もコストも量も、すぐにそこには至らないので、やはり過渡的なエネルギーとして、原発は必要であると容認してきた。その点で、今まで私たちは「原発は安全だ」と、いわゆる安全神話の中にいて、厳しく見つめ直す、問い直すということをやってこなかった。そのことが、今回の結果につながっている。ここは謙虚に反しなければならないと思う。

 しかし今問われていることは、何が原因かをきちんと突き止めること。それが大事福島第1原発は事故を起こした。しかし同じ津波被害に遭ったいくつかの地域の、例えば女原発とか福島第2原発は、地震津波で停止はしたけれども、事故には至っていない。これが福島第1原発特有の事件、事故なのかどうか、きちんと突き止める必要がある。

 そして全原発でいろんな危険、さらに違う危険を内包している可性がある。そのため新しいで安全基準を作り直して、それに合うものかどうかチェックし直す必要があると思う。それができないうちに、「今の原発をさらに増やそう」とか、「止まっているものを稼動させよう」ということは、なかなか理解を得にくいだろうと思う。新しい安全基準と、それに合うかどうか、これを原因究明とともにくやることが大事だ。

 一方で「安定供給」という点から見ると、今の原発への依存度は非常に高いわけで、(日本の供給電の)3割に至っている。どの原発でも、今の方式だと13ヶで燃料のサイクル――つまりいったん運転を停止して、定期点検をして、再開する――こういう作業をしなければならない。ということはもう、この13ヶの間に今運転しているものも止まっていくわけだ。じゃあ、ただちに運転を再開できるかというと、そこは理解をいただくのに少し時間がかかるかもしれない。そうすると、どんどん原発の供給が狭まっていって、全体の必要な需要に応えきれない、ということが出てくる可性がある。

 特に地域的に見ると、関西電力は(消費電の)55パーセント近くを原発依存している。万が一ここの運転が全部止まったとなると、おそらく関西電力管内は、産業も人々の生活も、(電の)供給不足で大パニックに陥りかねない。だから、この安定供給のをどう確保していくか、一方で冷静に考えなければならない。今ただちに、「脱原発原発はすべて止めて再生可エネルギーの開発に急ぐべし」といっても、この供給が制約される中で、すぐに太陽光発電で今まで原子力が供給してきたエネルギーをまかなうことは、到底不可能なわけだ。そういうところを冷静に見極めながら、どう「安定供給」と「安全確保」を図っていくか、しっかりと議論をしていく必要があると思う。

山本: 大変明快な答えをいただいた。自民党河野太郎衆議院議員がいる。原発政策を推進してきた自民党にあって一、「脱原発」を言い続けてきた政治家だ。河野議員は私のアメリカ大学のときの後輩なのでもう30年来の親友だが、彼が言っているのは、「ここまで大きな事故があっては、原発の新規立地は多分できない。そうすると、どんどん原発灰色になっていく。

 例えばこのまま新規立地ができず原発ができないと、結局2050年にはすべての原発がなくなってしまう。それな国家として、ドイツじゃないが、全に脱原発を宣言する。標を国家として定めれば、その中で新しい技術開発があったり、皆がそこに向かって努していく体制ができるんじゃないか」と。こんなことを言っているが、国家標として脱原発を掲げることについては、どう思われるか。

 あるいは自民党の多くの人たちは、何十年か(原発の新規立地が)できないとしても、「まだいろんな展開があるんじゃないか」「安全な原発もあるかもしれない」と。あるいは「何らかの画期的な技術革新があって状況が変わるかもしれないので、国家標として脱原発はちょっとやりすぎじゃないか」と言っている人もいる。山口代表はどうお考えか。

山口: 私は「今ただちに脱原発をしろ」「急な転換をする」というのは、まだ時期尚だと思う。ただし公明党は、再生可エネルギーエコの技術開発や供給割合を増やすというのを、もともとしてきた政党。これは原発がどうであれ、やっていかなければならないこと。

 ただ、原発依存していたエネルギーが急に制約を受けるとなると、日本の産業は代替の電供給をどうするのか。産業が継続できなくなる。そこで生み出されていた雇用はどうなるのか。そして日本民の生活準はどうなるのか。恐らく、ちょっとやそっとの節電の努では耐え切れないことが起きてくる。それをどうするのか示した上で政策の転換を図りましょう、ということであれば、民の皆さんも受け入れて、それに向かって努することが可かもしれない。

 しかし今は、何の準備も何の議論もないまま。軽々に「30年先、40年先の標としてそこに向かいましょう」と言っても、「その40年をどうやって生きたらいいんですか?」というのが、今の民の直面していることだ。今日の(視聴者の)若い皆さんも、自らの人生の盛りはこれから40年だ。どういう生活、どういう仕事をしたらいいのか。代替の選択肢を与えることなくして「あっちへ行きましょう」というのは、やや責任議論だと私は思う。

公明党の山口那津男代表、ニコ動でのニックネームは「なっちゃん」山本: 大変説得のあるお話だった。ここでニコニコ動画ユーザーの方々から、いろんな意見が寄せられている。今日見ている方の中から、代表する形で1問だけ、質問してもらう。

ニコニコ動画七尾功記者(以下、七尾): その前に、ニコニコ生放送ユーザーは(出演者に)ニックネームを付ける習慣がある。本日から山口代表はニコニコ生放送内では「なっちゃん」ということになった。これを報告しておく。では質問を代読する。「代表は発り口調がとても上品ですが、何か特別に訓練はされているんでしょうか?」。実は「元アナウンサーではないのか」というコメントもあった。

山口: 特別な訓練はしていない。していないが、歌をうたうのは子供の頃から大好き。だから大きなを出すことには、ずっと慣れ親しんできた。それがを出す日ごろの癖に結びついているのかも知れない。

七尾: そのしゃべり方は、ご家族全員がそういう上品な口調なのか。

山口: それはどうか分からない(笑)。そうではないと思う。

山本: 代表は、品格のあるしゃべり方。物静かとは思わないが、やはり丁寧な話し方。音楽から来ていると言ったが。

七尾: ただ、(山口代表は)街頭演説だとかなりアグレッシブな・・・。

山本: その通り。(しゃべり方が)音楽から来ているのであれば、私も上品な話し方になるはずだ。私も音楽をやっているが、しゃべり方がかなり違う。

 そろそろ(終了の)時間が来た。今日ライフストーリーから、山口代表の政治哲学の根幹に触れたところもあった。お話できて光栄だ。こんな忙しいときに時間をつくっていただいた。しかも代表とネット(放送)対談をする前に、一枚のペーパーを作って「避けたほうがいい話題があれば言ってください」と申し上げたが、一切それをおっしゃらず、そのまま直接私の質問にも答えていただいた。そこにも人柄を感じた。

山口: 山本さんの見事な進行で、大事な核心の問題までズバズバと聞いていただき、恐れいった。

山本: これに懲りずにまた来ていただきたい。

山口: また伺わせていただく。ありがとうございました

(了)

関連サイト
・[ニコニコ生放送]記事内全文書き起こし部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv50945883?ref=news#47:40

丹羽一臣、土井大輔岩本義和、西川帆、中村里江、松本圭司

【関連記事】
公明党・山口代表がニコ生初出演(5) 内閣不信任案をいつ出すべきか
公明党・山口代表がニコ生初出演(4) 「菅首相の感覚、疑わしい」
公明党・山口代表がニコ生初出演(3) 普天間基地の固定化を「断じて許さない」
公明党の山口那津男代表