『結局、日本のアニメ、マンガは儲かっているのか?』(板越ジョージ/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
ダ・ヴィンチニュース

 どんな分野も優等生。結構なんでも器用にこなすくせに、昔から内気で周りとのコミュニケーションは苦手。日本とはそういう国だ。モノ作りに強いが、グローバル化となるとどうも弱い。それは、アニメ・マンガの分野に関してもいえる。いくら「MANGA」が世界語となろうとも、政府が「クールジャパン」と声高に叫ぼうとも、日本にとってアニメもマンガも外貨を稼ぐ収益性の高いビジネスにはなっていない。作品の芸術としての評価とビジネスの評価は別である。質は最高でも商売にならないと国際競争には勝てないことを『結局、日本のアニメ、マンガは儲かっているのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者・村越ジョージは指摘している。

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 本書はアメリカに渡って20年以上、自らも日本のキャラクターグッズビジネスを手掛けた経験を持ち、現在はアメリカに進出する日本企業向けのコンサルティング業等を行なっている著者による、ビジネス論だ。作品としては評価されながらビジネス的な面ではあまり順調とはいえない日本のアニメやマンガの問題点を指摘し、外貨を稼ぐための今後の指針について考察している。

 日本人は世界で儲かるコンテンツを確立し得ていないらしい。 たとえば、アニメやマンガを含むコンテンツ産業の海外輸出比率は、アメリカが17.8%で あるのに対し、日本はわずか5%。その大きな原因のひとつがプロデューサーへの評価の違いだという。アメリカでは優秀なプロデューサーがたくさん育ち、作品を商業的に活かす土壌があるのに対し、日本にはそれがない。日本は作品自体の力に頼りがちであるが故に、ビジネスができていない。日本に今、必要なのはクリエーターよりもプロデューサーと筆者は論を進めている。

 それに加えて、日本は他にも大きな問題を抱えている。筆者曰く、アニメやマンガ業界、コンテンツ産業において、「日本はいいものを作っても、アメリカのシステムやルールによって、コンテンツ業界は牛耳られている」というのだ。本書によれば、アメリカを中心に、どの国でも文化経済におけるナショナリズム「カルチュラル・エコノミック・ナショナリズム」が台頭しているらしい。日本の優れたアニメやマンガがアメリカ市場に入ってくることに対して、ハリウッドやアメコミ出版社は危機感を抱いて、意図的に日本のアニメを放映させない。中国や韓国でも、日本のアニメやマンガを見られないように、政府が一定の規制を行なっている。どの国も自分が可愛いのだ。自分の国の利益を一番に守りたいのだ。この本を読むと、日本よ頑張れ! 早くルールを作る側に回れ! と叫びたくなる。

 著者によれば、アニメ・マンガ産業が抱える問題は、グローバル化や海外進出を考える他の業種の日本企業にも共通しているという。幅広い視点からのアニメ・マンガの問題点の分析や筆者による対策の提案は読めば読むほど頷ける。日本の「ものづくり」に関わる全てのビジネスマン、必読の1冊だ。


文=アサトーミナミ
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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