最近、初音ミクや鏡音リン・レンといったボーカロイド楽曲をモデルにした小説、いわゆる『ボカロ小説』が次々と発表され話題となっている。しかし、一体どんな歌詞の楽曲がどんな物語になっているのか気になるところ。そこで最近のボカロ事情に詳しいライターの朝永ミルチさんに作品のあらすじや楽曲の名フレーズを元にオススメ『ボカロ小説』をランキング形式で選んでもらった。

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【1位】『初音ミクの消失 小説版』(cosMo@暴走P、阿賀三夢也/一迅社)
cosMo@暴走Pによる動画再生数500万を超える有名楽曲。小説では、ある日、大学生の篠里の前に人造人間“初音ミク”が贈られてくるのだが、その初音ミクにはある秘密があり…という物語となっている。 「ボーカロイドの黎明期を切り開いた名曲です。人間にはなかなか難しい速さで歌詞を歌い上げる点がこの曲の魅力なのですが、歌詞内容も人間と違うボーカロイドという存在の悲哀を表現していて、その2つの相乗効果が聴き手をより切なくさせます」

【2位】『こちら、幸福安心委員会です。』(うたたP、鳥居羊/PHP研究所)
うたたP、鳥居羊による刺激的な歌詞世界が話題となった楽曲。小説では、女王サイレンというAIが、幸福安心委員会を設立して市民を監視・統括するというディストピア物語となっている。 「この楽曲の歌詞はTRPG『パラノイア』がモデルとなっていて、ひとつの物語を読み終わったかのような印象を受ける作品です。なにより、サビ部分となっているフレーズ、“幸福なのは義務なんです”の繰り返しは非常に盛り上がり、ライブイベントでも観客とサビ部分をコールアンドレスポンスする光景がよく見られ、印象的です」

【3位】『ココロ』(トラボルタ、石沢克宜/PHP研究所)
舞台化もされたトラボルタ氏による楽曲。小説では、ロボットメーカーにより制作されたヒュマーノイド型ロボットと開発者たちとの交流と、その400年後の世界を描いている。 「初音ミクや鏡音リンといったボーカロイドがどんなに可愛く素晴らしい歌を披露したとしても、そこには“ココロ”がないことをあらためて痛感させられる楽曲です。だからこそ創作行為を通してボーカロイドにココロを見出したいと思う人は多く、この作品から500件以上の派生作品が生まれたのかもしれません」

【4位】『桜ノ雨 僕らが巡り逢えた奇跡』(halyosy/雨宮ひとみ/PHP研究所)
2009年には全国119校の中学、高校の卒業式で合唱されたというボーカロイド楽曲。小説では、高校生の初音ミクが合唱部の仲間と共に成長しながら卒業を迎えるまでを描いている。 「何より、このボーカロイド楽曲が現実の中学校、高校の卒業ソングとして浸透したというのが驚きでしたね。歌詞自体も誰もが青春の1ページを思い出すような内容で、10代の子たちだけでなく大人までも心を鷲掴みにした楽曲です」

【5位】『カゲロウデイズ -in a daze-』(じん(自然の敵P)/エンターブレイン)
楽曲、小説、コミックなど様々なメディアに展開され大きな話題を読んだ『カゲロウデイズプロジェクト』の表題となった楽曲。小説では、ひきこもりの少年、パソコンの世界に住み着いている少女、人気アイドルなどが謎の組織メカクシ団として活動していく様が描かれる。 「楽曲と小説の中身が複雑に絡み合った物語で、それぞれの物語を追っていくことで全体像が見えてくる作品です。歌詞の中にある意味深なフレーズやキーワードから視聴者は謎解きをしたり、二次創作をしたりと想像力をかきたたせてくれる興味深い作品です」

(ダ・ヴィンチ電子ナビ「○○な本ベスト5」より)

『初音ミクの消失 小説版』(cosMo@暴走P、阿賀三夢也/一迅社)