『私がモテてどうすんだ』(ぢゅん子/講談社)
ダ・ヴィンチニュース

 少し前までは、世間に“腐女子”という言葉など浸透しておらず、腐女子たちはひっそりと男同士の恋愛=BLに萌えていた。しかし、最近では10月11日に発売された『私がモテてどうすんだ』(ぢゅん子/講談社)のように、腐女子を主人公にしたマンガもたくさん登場しているのだ。

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 ただ、“腐女子”という言葉が広まった一方で、どうやら間違った認識のされ方もしているよう。メンズノンノで紹介された“キラキラ腐女子”は、「明るくて人づき合いも上手。一見普通の女の子と変わらない」「今ドキなファッション。ときどきギャルもいる」「コミケやニコ動のイベントには彼氏と出没」と、およそ腐女子らしからぬものばかり。ネットでも「なんじゃこりゃああああああああwww」「んな腐女子居てたまるか!」とツッコミが殺到。そこで、本当の腐女子とはどんなものなのか『私がモテてどうすんだ』から紹介してみよう。

 まず、キラキラ腐女子はインタビューで「四天宝寺くんのグッズは家に大量にあります」と答えていたが、そもそも四天宝寺とはライバル校の名前で人の名前ではない。本当の腐女子からしたら、好きなキャラの名前を間違うなんてありえないことなのだ。実際、『私がモテてどうすんだ』の主人公・花依は好きなキャラが死んでしまったショックで1週間も学校を休み、その間飲まず食わずだったせいで激やせしてしまう。それでクラスメイトの五十嵐と七島、同じ保健委員の後輩である四ノ宮、部活の先輩である六見という4人のイケメンからアプローチされるのだが、それに対してもまったく無自覚で興味なさげなのだ。それに、お気に入りのキャラにそっくりだったクラスメイトの七島を見るだけで、思わず涙ぐんでしまうほど。極めつけは、部屋に作られたそのキャラの仏壇。毎日手を合わせている姿を想像すると、ちょっと恐ろしい。

 また、本来腐女子とは男同士の恋愛を妄想して楽しむ女の子たちのこと。ただのオタク女子とは違うのだ。だから、花依は腐女子仲間であるクラスメイトのあーちゃんと一緒に、七島と五十嵐が体育の時間にハイタッチしたり肩を組む姿に萌える。それに、七島が花依に突っ込んできて保健室に運ばれたあと、花依が「七島くんは大丈夫だった?」と尋ねると、彼は「オレはおまえの肉布団のおかげで無傷!!」と笑顔で返してくる。そのセリフに対して五十嵐が怒り、「とにかくごめんな!」と謝る姿を見て「見た!? 七島がやったことなのに五十嵐が謝ったよ!! カップル? カップルなの!? カップルだよ!!」とテンション上がりまくり。保健室で休んでいたところにやってきた四ノ宮から「まったく…元気じゃないですか」とため息をつかれても「美少年は気高くツンであるほどおいしいでしょー?」と笑うのだ。イケメンにこんなことを言われたら、普通は少しくらいショックを受けそうなものなのに、腐女子にとっては自分に対する態度なんて些細なことのよう。それに、花依は自分の趣味に付き合ってくれたお礼にとみんなにおそろいのアニメキャラチャームをプレゼントするのだが、クラスの女子が「五十嵐と七島同じチャームつけてんの見たあ!?」「なに――あやしーっ」とはしゃいでいるのを聞いて、ニヤリと笑う。

 そして、腐女子はキラキラ腐女子のように「コミケやニコ動のイベントには彼氏と出没」したりはしない。普通、好きな相手に最初からオタバレするようなことはしないし、花依も4人からデートに誘われたときは妄想しないように努力していた。それに、夏休みの補習を回避するために六見先輩が勉強を見てくれることになっても、他の3人が乱入してくるのでドキドキ展開にはならないし、花依の家に集まって5人で勉強していても何も起こらない。それどころか、テスト後に勉強を手伝ってくれた六見先輩やみんなからの「プール行こーぜ2人で!!」「僕と2人で!!」「城見学…」「キャンプ!!」という誘いをすべて断り、腐女子仲間であるあーちゃんとのオタイベを優先させてしまうのだ。
キラキラ腐女子の諸君。腐女子を名乗るなら、これくらい腐ってから出直してきてほしい。

文=小里樹
(ダ・ヴィンンチ電子ナビより)

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