『巴マミの平凡な日常』(あらたまい:著、Magica Quartet :原著/芳文社)
ダ・ヴィンチニュース

 10月26日から『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』が公開予定の『魔法少女まどか☆マギカ』。2011年に放送されたアニメでは、衝撃的な展開が視聴者を惹きつけ話題になったが、それを印象づけたとも言われているのが、わずか3話目にして凄惨な死を遂げた巴マミだ。その様子を表した「マミる」という言葉まで生まれたほど。そんなマミさんが31歳になった姿を描く『巴マミの平凡な日常』(あらたまい:著、Magica Quartet :原著/芳文社)が10月12日に発売された。本編ではみんなのお姉さん的存在として描かれていた彼女だが、アラサーになっていたらどうなっているのだろうか?

関連情報を含む記事はこちら

 まず、本編で唯一中学3年生だったマミさんは、面倒見のいいお姉さん。落ち着いた大人の先輩という感じで描かれていた。しかし、アラサーになると周りはみんな結婚して子どももいて、独身なのはマミさんひとりだけ。世間体のために恋人いる設定3年目を貫いているが、結婚や結婚式の話になると「結婚式どころか挙げる相手もいないのに…」とどんより。ブーケトスでは妙齢の女性が自分しかおらず、ブーケをキャッチしても笑顔のまま心で「…あぁ何だかもう…死にたい」と思ってしまう。結婚式から帰って「…結婚…かぁ…結婚式…したいわよ…っなによみんなあてつけみたいにっ」と泣きながらビールを飲むのだが、クレヨンの散らばった床やみんなが子守をする姿を思い浮かべて「結婚したら今までみたいなダラダラ生活はできなくなるのよね…」とひとりごちる。そして「まぁ…これはこれで気楽よね…しばらくはこのままでもいっか…」と思ってしまうのだ。独身アラサーのリアルを見ているようで、なんだか切ない。

 また、そもそもマミさんは戦いに勝利したあと優雅に紅茶を飲むような女の子だったのに、ここではそんなシーンなどほぼない。代わりに、派遣社員として働く彼女は仕事から疲れて帰ってきたとき。友達の結婚式のあと。お風呂あがりやジョギングのあとなど、いろんなシーンでビールを飲みまくる。部屋では中学生時代のジャージを着て過ごすし、ソウルジェムは腹巻きのポケットに。部屋には脱ぎっぱなしのタイツや冬でも出しっぱなしの夏服の山が。もはや、おっさん化した彼女は干物女子力全開なのだ。

 そして、どんな魔女相手でも冷静に立ち向かっていたマミさん。31歳になっても現役で魔法少女になっちゃうけど、まどかたちに「30過ぎてその服はキツイ…!!」と言われ、ショックを受けてしまう。それに、魔女は平気でもゴキブリや幽霊にはめっぽう弱い。だから、耳を塞いで虫の話を避けたり、お風呂の水滴やドアの隙間にまでビビりまくってしまうかわいらしいマミさんを見ることもできる。本編ではマスケット銃や大砲を巧みに扱うかっこいい姿を見せるのに、「暗闇って怖い…!」と涙目になる彼女を見ていたら、そのギャップにやられる人が続出するはず。

 かつては、魔法少女として大人にならざるをえなかった。そのぶん、アラサーになってからのほうが何にも縛られない自然体のマミさんになれたのかもしれない。

文=小里樹/ダ・ヴィンチ電子ナビ

全文を表示