『機巧少女は傷つかない』(海冬レイジ:著、るろお:イラスト/メディアファクトリー)
ダ・ヴィンチニュース

 最近、ラノベで人気の自動人形(オートマター)。そもそもオートマターとは、ぜんまいや歯車によって自ら動くことのできる人形のことなのだが、ラノベでは魔術や異世界の技術によって、まるで人間のように動くことのできるものとして描かれることが多い。今期からアニメが始まり、9月21日には12巻が発売された『機巧少女は傷つかない』(海冬レイジ:著、るろお:イラスト/メディアファクトリー)や『少女人形と撃砕少年 さいかいとせんとうの24時』(渡辺僚一:著、馬越嘉彦:イラスト/集英社)、『クロックワーク・プラネット』(榎宮 祐、暇奈 椿:著、茨乃:イラスト/講談社)といった作品にも、さまざまなオートマターが登場する。そこで、どんなオートマターがいるのか紹介してみよう。

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 まず、『機巧少女は傷つかない』の一般人が思い浮かべる自動人形は、歯車とシリンダーむき出しの安価なブリキ人形。しかし、ヒロインである夜々は体内に魔術回路があり、人形使いである主人公で相棒の雷真から魔力を受けて活動することができる。だから、彼女の肌には血も通っているし、ほんのり赤みもさしている。おまけに心臓は鼓動し、呼吸もしているのだ。腰まで届く長い黒髪に丈の短い着物を着た姿は、まさに人間そのもの。そんな彼女だが、素手でブレーキの効かなくなった機関車を押しとどめたり、壁を駆け上がることもできる。人間離れした力を持っているのに雷真のことが大好きで、彼が寝ている横で「夜々かわいいよ」とささやき続け、自分に惚れさせようとする。でも、自分が人形であるということはきちんとわかっていて「俺になつくな。俺はお前を復讐の道具にしようってんだ」と言う雷真に対しては「自分を責めないでください。夜々は硝子が作ったからくり人形、生まれたときから道具です。そして道具は、目的があって初めて生きるもの」と優しく微笑むのだ。

 また、『少女人形と撃砕少年さいかいとせんとうの24時』に登場するシロは、自分がなついている男子高校生・乙川の緊張の匂いまで感じることができ、その緊張を解いてあげるためにパンツや胸を見せようとするちょっと変わった自動人形。彼女たちは、天球儀という魂のような宝石のおかげで生きることができる。そんなシロは、信じられないほど整った顔に青白い陶器のような肌をもつが、戦いになると途端に歌舞伎の連獅子のように長い髪を振り回す。そして、踊るように体を回して、硬化した髪の毛使って敵を細切れにしていくのだ。でも、乙川が「俺はえげつない命令なんかしない」と言うと「そう言ってくれるのは嬉しいけど……残念な気もするわ」「……きっと、これが感情なのね」と寂しげに言う。「私には感情があるみたいだから」と言いながらも「いつだって私に、どこかに行ってしまえと命令してもいいわ」と言う彼女のことを、ただの人形として扱うのは難しいかも。

 そして『クロックワーク・プラネット』は、地球が一度滅びたあと、時計じかけで再構築された世界が舞台。そんななか、自動人形のリューズは、1000年前に作られたとは思えないほどの造形美を持っている。滑らかな銀髪に、あどけない顔立ち。艶めかしい白肌に赤く濡れた唇。すらりと細く淡い妖精のような肢体は、黒い古風なドレスの上からでも容易に想像できるほど。そんな彼女には高速で動作できる「加速機動」がついており、ナオトを抱えたまま窓ガラスを砲弾のごとき速度で突き破ることもできる。さらに、スカートの中には黒い鎌が隠されているし、虚数時間を行き来することもできるのだ。でも、せっかく自分を修理して目覚めさせてくれたナオトに対して「人間さま方の知能は相も変わらずノミの水準を超えられずにいるのでしょうか? それとも知性も気品も感じられない、貴方さまが記念すべき最初のご卒業者ですか?」といきなり毒舌をぶちかます。そのくせ、マスター認証のときには右手の薬指を舐めしゃぶることも。そんなツンデレ属性を備えた人形なんてある意味最強。

 いずれにせよ、整った顔立ちの美少女たちが、自分に好意を寄せて慕ってくれるのだから、男にとってこんなに嬉しいことはない。これらの作品から、自動人形にハマる人が続出するのは当然なのかもしれない。


文=小里樹/ダ・ヴィンチ電子ナビ

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