真夜中にひとりで盛り上がって書いてしまったラブレターやラブメール......。朝に見直して赤面した経験ありませんか? 普段からは考えられない恥ずかしい行動をとってしまったり、感情が暴走してしまったり、深夜に行動するとハイテンションになってしまうのはどうしてなのでしょうか。そんな「深夜テンション」の正体について、自律神経や脳機能に詳しい本郷赤門前クリニックの吉田たかよし院長に教えていただきました。

――深夜テンションはなぜ起きるのでしょうか?
原因は、はっきり分かっています。深夜になると脳機能が低下することが原因なのです。人間の脳について、ものすごく大ざっぱに説明しますと、脳の奥深い場所にある大脳辺縁系という部分が原始的・本能的な感情を生み出していて、それを、ちょうど額辺りにある前頭前皮質という部分が制御しており、そのバランスによって人間の行動や思考が決まっているわけです。人間を人間たらしめている「理性の中枢」ともいえる前頭前皮質は、朝起きてから機能が高まり、午前10時くらいにピークになるといわれています。午後になると、どんどん機能は低下して、深夜になるとかなり機能は落ちてしまうのです。ですからシーソーのように、前頭前皮質の機能が低下すると、相対的に大脳辺縁系のウエートが高まることになり、深夜に理性が失われた行動をとってしまう、ということになるのです。

――深夜になると、本能を制御する脳機能が低下してしまうのですね......。
夜遅くなればばなるほど脳の機能は低下していくのですが、実は低下する順番は決まっています。大ざっぱに言いますと、進化の遅い順から機能低下が始まるのです。理性の中枢である前頭前皮質が大幅に進化したのは、200万年前から20万年前くらいの間。人間に進化して初めて発達した部分ですから、真っ先に機能が低下してしまうわけです。哺乳類に進化して発達をした大脳辺縁系は、少なくとも2億2000万年前には獲得していたと考えられています。こちらのほうがはるかに古く原始的なので、機能低下はずっと後になるということです。この順番は、老化についても同じことが言え、前頭前皮質は老化に伴って最も早く機能低下が起きる部分でもあります。

――テンションが高まるからと、深夜に行動するのはおすすめできない?
芸術家の方は夜に創作活動をすることが多いそうですが、それは理にかなっています。芸術は理屈っぽいと話になりませんし、より原始的な脳機能が表に出やすい時間のほうが都合が良いからです。ただ、受験や資格の勉強は逆です。前頭前皮質をいかに鍛えるか、というのが勉強ですから、朝中心に勉強したほうが有利なのです。私のクリニックでは朝早く起きて勉強することを提唱しており、実際に朝型の生活に変えて、みなさん大幅に成績を上げています。深夜にテンションが上がるからといって起きていると、不眠などの睡眠障害になり、逆に成績がものすごく悪くなってしまう方も多く、そこからうつ病に移行していくことも少なくありません。仕事に集中するため、日中にテンションを上げなければいけない社会人も同じです。新型うつになる社会人がいま膨大に増えていますが、うつ病には朝型の生活や朝の有酸素運動が効果的であることが分かっています。夜に行動するならば、理性がにぶる分、「素」の状態になりやすいので、飲み会や電話などの直接的なコミュニケーション、娯楽に時間を使いましょう。頑張ってやりたいことがあれば、早く寝て朝早くからやるほうがいいと思いますよ。

文●桜糀はな(エフスタイル)

講師プロフィール
灘中学、灘高校、東京大学卒業。東京大学大学院を修了。元NHKアナウンサー。医師免許を取得後、加藤紘一元自民党幹事長の公設第1秘書として科学技術政策の立案に取り組む。その後、東京大学大学院・医学博士課程修了。現在、本郷赤門前クリニックの院長として受験生専門の心療内科クリニックを開設。また、学習カウンセリング協会の理事長として、適切な教育法の指導・普及に努めている。テレビ出演も多数。著書に「宇宙生物学で読み解く『人体』の不思議」 (講談社現代新書、 http://goo.gl/3UzA7v)などがある。
本郷赤門前クリニックHP:http://www.akamon-clinic.com/
吉田たかよし氏公式HP:http://www.doctor-yoshida.net/


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