日本全国のニート(NEET)が集まり、全員が取締役=事業主となる──。

12月10日、そんなコンセプトで話題を集めたNEET株式会社が、会社設立後初めてとなる記者会見を都内で行った。会見では具体的な業務内容、企画されているプロジェクト案などを披露した。

就業時間も出勤日も「各自の判断におまかせ」

同社は11月に法人として正式に設立され、166人の“ニート”が同社の取締役に就任している。

まずは気になる事業内容についてだが、登記上では「一切の業務」ということになっている。要するに「何でもアリ」ということだ。

会長を務める若新雄純さんによれば、同社は「はみ出し者」ばかりが集まった会社なので意見をまとめることが難しかったそう。

会社設立前のミーティングでも喧々諤々の意見交換が行われ、定款に事業内容を列挙していくだけで2000以上の項目で埋まってしまったという。苦肉の策として登記所には「一切の業務」として届け出た、というのがその表記の理由だ。

システム開発やデザインなどのアウトソーシング、他企業のコラボレーション&タイアップといった一般的な事業案も発表されたが、各プロジェクトには166名の取締役が好きなように参加し、就業時間や出勤日、プロジェクト内での役割なども各自が個々に判断するという。

取締役は全員「無報酬」

中にはいかにも「NEET株式会社らしい」プロジェクトもあった。「かわいい女の子の部屋の空気を詰めた空気缶・香り缶」や、いい感じに脱力できる「逆エナジードリンク」といった、独自商品の開発・販売を計画しているという。

そんなことでマネタイズできるのか、と考えてしまうが、参加者全員が取締役なので、実質的に従業員はゼロ。つまり人件費が一切かからないのだという。また、取締役に関しても現在のところ全員が無報酬なので、当面の経費は少なくて済むだろう。

しかしそうは言っても資金調達に関しての不安は残る。会社の資本金も105万円しかない。そのためプロジェクトごとにクラウド・ファウンディングを実施したり、個人のポケットマネーを頼ったりするという。

さらに、コラボレートする企業からの出資や、企画案の売却などで当面の資金調達を行う計画のようだ。

10代の少年や、生活保護受給者も取締役に

では、どのような人たちが同社に参加しているのか? 会見での発表によれば取締役166名のうちのメイン層は20代後半の男性となっており、平均年齢は27.9歳。男性87%に対し、女性13%となっている。

取締役の中には10代後半の少年もいるほか、生活保護受給者や障害者年金で生活している人もいる。また北海道や沖縄など、遠隔地からスカイプを通じてミーティングに参加する人もおり、文字通りの意味で全国のニートが集まった会社になっているという。

こうした取締役たちは、もちろん全員がニートを自称する。バイトを転々とするうちに就職活動が苦痛になってニートになった人もいれば、遊び続けていて気が付いたらニートになった人、飲み過ぎて体を壊してニートになった人などさまざまだ。

プログラムの知識や法務関連の知識、イラスト、デザイン、占いなどのスキルを持つ人がいる一方で、

「特に何のスキルも持たず、ミーティングでも見ているだけの人が3分の1程度いる」

と若新さんは話す。将来的には、

「そうした人たちも『これなら私にもできそう』という体制をつくりたい」

と意気込んでいる。

今回の会見は終始ゆるい雰囲気で行われた。目だし帽をかぶる取締役やコスプレ風の衣装で参加する取締役もいるなど、およそ“まともな会社”とは言い難いムードだ。

しかし、NHKや朝日新聞の記者が質疑応答で質問するなど、注目度は高い。そもそも“全員ニートで全員取締役”という前代未聞の発想から誕生した会社だから、これくらい“あり得ない”ほうが良いのかもしれない。

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記者会見はニコニコ生放送でも中継された