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 3月11日の東日本大震災以来、エネルギー政策についての議論が盛んに行われている。しかし、参加人数が増えただけで、主張の中身はおなじみのものばかり。堂々巡りの論戦が繰り広げられるだけで、現実はなかなか動きそうにない。

 2011年7月12日から13日深夜にかけて放送された「ニコ生トークセッション 原発社会からの離脱 宮台真司×飯田哲也」では、共著『原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治にむけて』(講談社現代新書)を上梓したばかりの2人が対談。なぜ、社会が動かないのか、日本社会の問題点を論じた。

■「良いことをすれば儲かる」が定着しない、日本のピュアリズム

 首都大学東京の宮台真司教授は、「日本には変なピュアリズム(純血主義)があって、儲けることと良いこととが対立しないと気が済まない体質がある気がする」といい、「良いことをすれば儲かる」ようなマーケットや社会の仕組みを作ることが必要だと強調する。

「どうして、良いことをすれば儲かるという発想が、日本でこれほどまでに定着しないのか。逆にどうして、『良いことなんだからやれ』『決まったんだからやれ』という(上からの)コマンド・アンド・コントロールの発想しかないのか」

 宮台教授は、この理由を「そもそも論が欠けている」と指摘する。教授によれば、ヨーロッパの思想の骨格には、最終目的からフィードバックして考える癖があるという。それは、空気に巻き込まれて、制御が効かなくなることを避けるためで、何が目的かを常に意識しながら、議論に調整を加えて行くのだそうだ。しかし、日本の役人や一部の企業の人々の議論は、アドホック(場当たり的)で、「そもそも」何が最終目的なのかが見えない。

「誰だって生活があるし、家族もいる。しかし、木を見て森を見ずであれば、結局、社会が不幸になって家族も不幸になる。最終的に良い社会にするために必要なのであれば、合理的なことはしなくてはならない」

■「きのこの山」と「たけのこの里」の違いは分かっても、全体像をつかめない

 こうした日本的議論の下支えをしているのが、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏が語るところの「今あることが無条件に善であり、前提であり、それを動かすものは敵であり、悪である」という考え方だ。例えば、原発から自然エネルギーへと転換する事業を興そうとすると、「儲けるためだ」「利権だ」と批判する人がいるが、彼らは既存の「原発利権」を批判しない。宮台教授は、

「(日本人は)与えられたものの中での最適化は得意なんだけど、全体がどう変わるべきかという議論になると難しい。ほかの物を変えないで、そこだけ変えたときにどう均衡点が動くのかという話じゃなくて、そもそも全体を変えるという発想が必要」

と述べる。また番組で視聴者からの質問を受け、宮台教授が「きのこの山」「たけのこの里」といった同一タイプのお菓子の種類の豊富さを例に挙げながら、実質的なものより見栄えに目を奪われる日本社会の特徴について説明すると、飯田氏は、

「日本人は、皆が『きのこの山』と『たけのこの里』の違いが分かるくらい、集中する国民性であることは確かだが、人間が何かに集中したり費やす時間やエネルギーは一緒。そんな細かいことをいっぱいやることが、結果としてもっと本質的なこと、全体的なこと、構造的なことに関する関心をそらせている」

と分析。これを受けて宮台教授も、

「緻密なというか、枝葉末節なところにエネルギーを使うという意味では、政局についてごちゃごちゃやっているとか、そもそも国会の論戦も含めて優先順位の全体像を皆さんスルーしている」

と話した。

 目的となる全体像がなく、現状に引っ張られ視野が狭くなってしまいがちな日本人。宮台教授はこうした日本人の特性によって、「エネルギーシフト」の問題が、自分たちでエネルギーを確保する「エネルギーの共同体自治」や政治・社会・民主主義のあり方の問題ではなく、「電源主選択」の問題に矮小化されることを危惧している。

(野吟りん)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「良いことをすれば儲かる」仕組みの必要性についてから視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv55872156?po=news&ref=news#40:00
・[ニコニコ生放送]「きのこの里」「たけのこの里」についての質問から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv55872156?po=news&ref=news#1:08:10

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