『あくびはどうして伝染するのか 人間のおかしな行動を科学する』(ロバート・R・プロヴァイン/青土社)
ダ・ヴィンチニュース

 看護婦、保育士、キャビンアテンダント。考えてみたら、男性からよくモテる職業の共通点は、「よく笑う」ことである。人と多く接する彼女たちほど、意外と毒舌で、男勝りだったりするものだが、男性はお構いなし。例え営業スマイルだったとしても、自分の前で微笑んでくれる女性に、とにかくめっぽう弱いもの。

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 また、ライターや編集者、デザイナーといったクリエイティブ職の女性に多く見られる傾向が、繰り返される“ダメ男好き”。ネタと男は別物、と頭では分かっていながら、ついごっちゃにしてしまう悲しい性……。一体どういうことだろう?

 『あくびはどうして伝染するのか 人間のおかしな行動を科学する』(青土社)によると、なんと、人間の笑いは、私たちの先祖である霊長類の“あえぎ声”から派生しているという。同著の著者で、心理学と神経科学の専門家、ロバート・R・プロヴァイン博士によれば、人間のハハハという笑いは約600万年前に私たちの先祖の系統がチンパンジーの系統から分かれた後に出現したそうだ。

 チンパンジーと人間の笑い声の録音テープを聴かせる実験では、ほとんどの被験者が人間の笑い声を正しく認識した(119人中117人)。その一方で、チンパンジーの発声の最も一般的な説明は「ハーハーあえぐ声」(36人)だった。チンパンジーの笑いは騒々しいハーハーというあえぎ声で、短い呼気と吸気のそれぞれにおいて発せられるのである。

 このことから、よく笑う職業の女性が、笑わない職業の女性よりもモテる理由が、明確に見えてくる。なにせ、笑いの原点は“あえぎ声”なのである。「そのギャグ、全然面白くない。クソつまらない」なんて、どんなに親しい間柄でも男性に言うのは避けたほうが良さそうだ。相手にしてみたら「この下手クソ。そんなんでイクわけないじゃん」と言われているのと同等なのだ。

 また、女性は自分を笑わせる男性に惹かれ、男性は自分の前で笑う女性が好きであることが、さまざまな研究により立証されている。

 1996年4月8日月曜日の米国全国紙8紙に異性愛の男女が掲載した3745件の個人広告を見ると、男性は「ユーモアのセンス」あるいはそれに相当するもの(「ユーモラスであること」)を提供して、女性はそれを求めている傾向が顕著に出た。

 また、ある実験によると、「1200例のサンプルでは、女性の話し手の方が聞き手の男性よりも127パーセント多く笑った」「男性の聞き手も女性の聞き手も男性の話し手に比べて女性が話す場合には笑いが少なかった」「平均的にみると男性が最もよく笑いをとった」という。こうした違いは冗談がはじめて出現する6歳頃にすでに存在し、学生時代、クラスのひょうきん者の多くが男性であり、女性コメディアンが少ない理由とも一致する。

 つまるところ、女性は男性パートナーが笑おうが笑うまいがさして気にせず、むしろ自分を笑わせてくれる男性を求めているとプロヴァイン博士は指摘する。

 そう考えると、何度失敗しても「ダメ男」に走ってしまう女性があとを絶たないのも納得。「ダメ男」に限って破壊的な笑いを伴い、性的魅力となりうるのだ。「センス」や「ユーモア」を常日頃から求められがちなクリエイティブ職の女性が、とんでもないダメ男とばかり繰り返し付き合ってしまうのも頷ける……。

 “笑い”と“モテ”の関係性を追究すると、まだまだたくさん深堀りできそうだが、非常に個人的な理由でめまいが止まらなくなってきたので、この辺でひとまずお開きにしたい。

文=山葵夕子

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