学生時代、アルバイトをしていた人は多いと思います。しかし、社会経験の少なさからお金の使い方を誤り、借金の落とし穴にハマってしまう人もいるようです……。

高時給に惹かれキャバクラの黒服に

 埼玉県在住のサラリーマン・山村はじめさん(仮名・32歳)は大学時代、キャバクラボーイ(黒服)のアルバイトをしていました。当時、居酒屋アルバイトは時給1000円ほど。そんなとき、先輩に「キャバクラアルバイトは時給がいいぞ」と言われ、夜のアルバイトに足を踏み入れたのです。

「すぐにアルバイト求人誌でキャバクラの仕事を探しました。当時住んでいた池袋周辺にはたくさんのキャバクラがあって、僕が選んだのは小箱(20席以下の狭い店舗)で働きやすそうな店。大きな有名店だと身だしなみや規則が厳しいと聞いていたので、自由なところも良かったんです。時給は1200円だったのでラッキーと思いましたね

 すぐに応募し、その翌週からキャバクラボーイとして働くことになった山村さん。しかし、待っていたのは厳しい現実でした。

キャバ嬢と先輩黒服の高圧的な態度

キャバクラのボーイ

「とにかく女性キャストが怖かったんです。特にナンバー1の人には、タバコストッキング・生理用品まで買いに行かされ、少しでも機嫌が悪いと怒鳴りながら火のついたタバコを投げつけられました。先輩は『気にするな(笑)』と励ましてくれましたが、実はその先輩は僕をはめようと裏で企てていたんです」

 黒服の先輩が山村さんをはめるとは、一体どういうことなのでしょうか。それは仕事後に先輩が誘ってきた麻雀がきっかけでした。

賭け事で借金の落とし穴に

頭を抱える男性

「先輩は大のギャンブル好きで、給料のほとんどをパチンコや競馬にあてていました。そのせいで常にカツカツだったのですが、ある日、僕を麻雀に誘ってきたんです。いわゆる賭け麻雀で、最初は僕が負けてしまい、2000円ほど払わされたのですが、徐々にエスカレートして高額を要求されるようになりました

 そもそも、賭け事は犯罪。単純賭博罪もしくは常習賭博罪が科せられます。実際に処罰される人は少ないと言われていますが、法的にリスクのある犯罪行為というのは変わりありません。先輩に対して山村さんが払えないと言うと、借金としてツケにされるようになったといいます。

「今思えば断ればいいだけの話なのですが、当時は仕事でフォローしてもらっていた恩もあって、逆らうことができなかったんです。それに水商売では先輩の言うことは絶対。今ではありえないことですが、当時はそういう風潮がまだ残っていましたね」

 他にも、店が暇なときに行われるカードゲームなど、何かにつけて賭け事に強制参加させられた山村さん。先輩への借金は10万円ほどに膨れ上がりました。

キャバ嬢を使い風紀を仕掛けられる

バー 男性

「さすがにこれ以上は借金はできないと思い、先輩に『これ以上ギャンブルに参加させられるならアルバイトを辞めます』と伝えました。先輩は怒り狂っていましたが、もともと借用書もない違法賭博の借金。僕自身、店を飛ぶ覚悟でいました。でも、それに気付いた先輩はさらに僕をはめようとしてきたんです」

 それは、キャバクラではご法度とされている“風紀”。風紀とは、黒服が店のキャストに手を出してはいけないという規則のことです。山村さんの店の場合、100万円の罰金が定められていました。

「先輩は自分が管理しているキャストを使って僕に風紀を仕掛けてきたんです。キャストから相談があると居酒屋に呼び出され、話を聞くうちにしこたま飲まされて……泥酔したところでホテルに連れていかれ、『僕に無理やりホテルに連れ込まれた』と既成事実をでっちあげられました」

 先輩はそこまで頭が回る人間ではないので、入れ知恵をしたのはおそらくナンバー1キャストだろうと山村さんは予想します。100万円の罰金を支払わせ、山分けするつもりだったのでしょうか。それに気付き、すべてを無視して逃げました。

埼玉の実家で無視を決め込む

金欠 男性

「正直に親に話し、埼玉の実家に雲隠れしました。父親にはとことん怒られ、就職するまでアルバイト禁止に……。店からは電話がかかってきましたが、携帯も解約して無視を決め込みました。幸い、履歴書も書かなかったいい加減な店だったので、実家に迷惑がかかることだけは免れました

 大学には実家から通うことになりましたが、池袋は怖くてしばらく近づけなかった山村さん。それから数年後、店が摘発され閉店したという話を聞き、ようやく安心できたといいます。

 最近はホワイト化されて、このようなブラックな店はほとんどなくなりました。とはいえ、夜の街の闇は深いもの。アルバイトを考えている学生の皆さんは、どのような店なのかをきちんと見極めるのが大切ですね。

<取材・文/カワノアユミ イラストパウロタスク(@paultaskart)>

-[借金に泣いたエピソード]-

【カワノアユミ】

東京都出身。20代歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジア日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。Twitter:@ayumikawano