NHK2022年4月以降に「インターネット配信の社会実証」を行う予定だ。武田良太前総務相の、21年8月27日の在任中記者会見によれば、「テレビを保有していない方を対象にしたインターネット配信」を実施する。

これを受けて、ツイッター上では、今後テレビが家になくとも、スマートフォンスマホ)などネット接続端末を所有しているだけで受信料の徴収対象になるのではないかと、不安視する声が上がっている。NHKの前田晃伸会長は10月7日の会見で「ネット受信料をいただくことを前提にした実証ではありません」と説明しているが――。

TVなし、情報家電あれば受信料対象

NHKは現在、パソコン(PC)やスマホ向けのサービスNHKプラス」で番組を配信している。NHKと受信契約を結んでいる人や、契約者と生計を同一にしている人が利用できる。

武田前総務相が会見で説明した通り、総務省テレビ未保有者にもネット配信を行うよう、社会実証の検討を要請。「公共放送における放送番組等のインターネット配信の意義や、サービスニーズを検証する」ことが目的だ。

要請を受け、NHKの前田会長は22年4月以降に社会実証を行うと10月7日記者会見で話した。具体的な実証の内容は今後策定した上で公表する。

J-CASTトレンドは、立教大学社会学部メディア社会学科の砂川浩慶教授に取材した。話によるとNHKは、ドイツと英国の公共放送の形態を1つのモデルとして目指しているという。いずれもテレビ放送だけでなく、ネット配信も行っている。

すでにドイツ公共放送テレビがなくともPCといった情報家電を有する家庭を徴収対象とし、受信料を支払わせるようにしていると砂川教授。BBCも同様に、スマホなどでネットを受信できる人から受信料を徴収する方向にシフトしていると説明した。

日本ではテレビを持たない人も増えてきているため、NHKは収益源を確保することを目的として、ドイツや英国を参考に「情報家電などからも(受信料を)取れないかと考えている」と、砂川教授はみる

ただ現段階では、PCやスマホテレビチューナーワンセグが搭載されていない限りはテレビ放送の受信機とはみなされないため、スマホを持っているだけで受信料を払うことになる可能性はないと話した。

ネット配信「本来業務」になれば

ところで、NHKネット業務は現在、テレビ放送といった「本来業務」ではなく、通常の放送を「補完」する業務として、放送法などで位置付けられている。現状、ネットを活用しての業務には予算の上限がある。これは「NHKインターネット活用業務実施基準」で定められている。

砂川教授によると、ネット配信もテレビ放送のように補完業務ではなく本来業務として位置付けられるようになった場合、放送法の改正などを経て、テレビを持たずにスマホだけを所有している人でも「ネット上の意見のように(受信料の徴収対象に)なる可能性が出てくる」という。

NHKドイツのようにネット配信も「本来業務」とすることを目指しており、今回の社会実証の実施も、NHKにとってはその布石なのではないかと、砂川教授は分析する。<J-CASTトレンド>

スマホを持っているだけでNHKの受信料の対象に?