加齢のせいで体重が増えていると思い込んでいたアメリカ在住の女性は、懸命にダイエットに取り組んだ。そして体重は順調に減っていったが、なぜかお腹周りのサイズはどんどん大きくなっていったという。「何かおかしい」と直感が働いた女性は病院で血液検査を受けたが、異常はなかった。しかし粘り強く他の検査も行うと、お腹の中に幅33センチの巨大な悪性腫瘍があることが判明した。すぐに摘出手術を行い現在、快方に向かっている女性は「自分の体の声に耳を傾けてあげて」と注意を呼びかけている。『Action News Jax』などが伝えた。

米テキサス州ダラス在住のアマンダ・シュルツさん(Amanda Shoultz、29)が自分の体にはっきりと異変を感じたのは、今年1月のことだった。

「数年前から体重が増え続けていることに気付いていましたが、加齢のせいだと思っていました。でも1月頃からお腹が膨れているように見えてきたのです。」

そのようにお腹周りの変化を明かすアマンダさんは「このままでは良くない」と感じ、運動を行うなどダイエットに取り組んだ。しかし体重は落ちるのにお腹は大きくなる奇妙な現象に「何かおかしい」と感じ、病院で血液検査を受けてみたが、結果は全て正常だった。

それでも他に原因があると思ったアマンダさんは、アレルギーが起因しているのではないかと考えて様々な食事制限に取り組んだという。

「乳糖アレルギーのせいでお腹が膨れていると思ったので乳製品を食べるのを止めましたが、お腹に変化はありませんでした。それからグルテンも避けました。私はパンが大好きでしたが、このお腹を小さくするために何でもやってみようと思ったのです。しかしこれも意味がなく、次は肉を止めてみましたがこれも効果はありませんでした。」

腹部に違和感はあるが痛みはなかったといい、アマンダさんはどうにかしてお腹のサイズを小さくできないかと様々な方法を試した。しかしなかなか効果は現れなかったので、今度は消化器系専門医の診察を8月に予約し、採血含めた検査を複数行い原因を探ることにした。

この時点でアマンダさんの腹部は非常に大きく膨れ、硬くなっていたという。「母がお腹を殴ると、母の手が骨折してしまいそうなくらい硬かったんですよ」とアマンダさんは当時の状態を振り返っている。

様々な検査を行ったが、原因はなかなか見つからなかった。しかし9月に入ってCTスキャンを受けると、ようやくアマンダさんの異常が検知された。

アマンダさんの腹部には、幅33センチもある巨大ながん性腫瘍があると判明した。明らかになった診断名は“脂肪肉腫”というもので、脂肪を含んだ細胞が悪性化したと考えられている悪性腫瘍だ。アメリカ国内での患者数は毎年2千人程度の珍しいものだ。

この診断から6日後、アマンダさんはテキサス州フォートワースにある病院「Baylor University Medical Center」にて腫瘍の摘出手術を受けた。お腹にあった大きな腫瘍は、右側の腎臓と副腎を巻き込むように成長していた。これによりアマンダさんは腫瘍の摘出と同時に、右側の腎臓と副腎の一部も摘出することになってしまった。

取り出した腫瘍は17ポンド(約7.7キロ)もあり、摘出当時の動画には執刀医が両手で抱えるようにして腫瘍を持ち上げる姿もあった。

アマンダさんは「術後に目が覚めて腫瘍の重さを聞いた時、『薬のせいで聞き間違えたのかな?』と思いましたよ。大きすぎますよね」と自身の体から出てきたものに驚愕していた。

担当医によると巨大な腫瘍は他の場所に転移している様子はなく、アマンダさんは化学療法や放射線治療を受ける必要もなかったので、手術から5日後には退院することができた。

その後、外出できるほどにまで回復したアマンダさんは「退院してから胃腸の調子は良いですよ。このお腹を小さくするために避けていた食べ物も、今では食べることができています」と話し、自分の体の声に耳を傾けることの重要性を訴えている。

アマンダさんは、病院が“自分を疑うことで死なないで(don’t die of doubt)”と呼び掛けていると話す。これは自分の体に異常を感じているが「まさかそんなことはないだろう」と身体の警告を無視して病院に行かないことが原因で亡くなるケースが多発していることに起因する。

アマンダさんの主治医であるロバート・メンネルさん(Robert Mennel)は、このように語っている。

「今回のような肉腫は若年層に発生する傾向が高く、多くの場合が自覚することすら難しい程度の症状しか現れません。20代の人が腹部の違和感を訴えて受診したとしても、ほとんどの医師はそのうち治るだろうと軽く考えるでしょう。」

「来院した人全員に精密検査を行うことはできませんが、何かおかしいと思ったら粘り強く検査を続けてください。そして経験豊富で、自分がやっていることをよく理解している医者のもとへ行くようにしてください。」

画像は『ABC News 2021年10月14日付「Woman who struggled for months with weight gain diagnosed with 17-pound cancerous tumor」(Courtesy Amanda Shoultz)』『Matt Howerton 2021年10月7日付Twitter「At 10 on @wfaa, her message is very simple: listen to your body and follow your gut.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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