心優しかった女性が末期がんを宣告され、死を覚悟した。そこで自分の通夜を計画し、夫たちに希望を伝達。その思いをしっかりと受け止めた遺族が素晴らしい通夜を執り行ったことを、『AsiaOne』などシンガポールのメディアが伝えている。
■末期の肺がんを宣告
銀行の広報担当マネージャーを勤めていた38歳の女性が、軽いせきの症状に続き胸の痛みを訴え始めた。そこで6月に病院に行き検査を受けたところ、肺がんを患っていること、しかもすでに末期であることを宣告された。
喫煙・飲酒もしない女性は意外な事実を知り驚いたが、体がどんどん弱ったことから死期が近いことを受け入れた。
■「悲しまないで」という願い
「私が死んでも、みんなにつらい思いをしてほしくない」。そう考えた女性は、ハッピーな通夜や葬儀で見送ってほしいと望むようになった。そこで自らしっかりと計画を立て、夫(41)や姉(43)に希望を詳しく伝えた。
女性はその後ほどなくして死亡したため、夫たちは通夜・葬儀の準備を開始。女性が望んだとおり会場を風船などでかわいく飾り、パーティハットをかぶりほほ笑むスナップを遺影写真に選んだ。
また女性からは「弔問客には伝統的なカチカチのお菓子じゃなく、甘くて美味しいグミを差し上げて」とリクエストされていたため、伝統ではなく味にこだわってお菓子を選んだという。
■宝くじを用意した遺族
「みなさんに幸運が訪れますように」と願っていた女性のため、遺族は宝くじを200枚購入。それを弔問客に配ることにしたという。
なお女性は生前多くのブランドバッグやジュエリーを所有していたが、それらについては本人が整理し「家族と友達に受け取ってほしい」「形見になるからね」と関係者に伝えてあった。
■「彼女が妻でよかった」と夫
女性は、息を引き取るわずか6時間前に夫、両親、そして姉にあててお別れの手紙を執筆。「読むのは私が死んでからにしてね」と夫たちに話していたそうだ。
夫によると女性はどんなに苦しくてもグチをめったに言わなかったといい、その態度には病院の医療スタッフも驚き感心していたのだという。夫も大変幸せだったとみられ、「彼女と結婚できて本当に幸運でした」とメディアに語っている。
通夜や葬儀はひたすら暗くつらいもの。女性はそういうイメージを嫌い、「大事な人たちだからこそ悲しませたくない」「明るく見送ってほしい」と願っていたようだ。
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