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 これはSFの話ではない。半分植物で半分動物の生物が人間の手によって誕生したようだ。

 我々動物は大気や水中から呼吸により酸素を体内に取り込むことで生命活動を維持しているが、一方植物は光合成によって酸素を放出する。

 ドイツの研究グループは、植物の持つ光合成の力を利用して、オタマジャクシの心臓から藻類を注入し、脳に酸素を与えることに成功したそうだ。

 将来的には、酸素が乏しい水中や高地でかかる病気の治療や、研究用の組織やオルガノイドに酸素を供給する手段として利用できる可能性があるとのことだ。

【画像】 藻類を心臓に注入し、緑色に染まるオタマジャクシ

 動物に植物(藻類)で酸素を供給するなど突拍子もない話に聞こえるが、海綿動物・サンゴイソギンチャクなど、自然界には藻類と共生して、酸素や栄養をもらっている生き物がいる。

 そこで、ドイツミュンヘン大学のハンス・ストラカ教授の研究チームは、それをカエルのような脊椎動物で試してみようと考えた。

 『iScience』(21年10月13日付)に掲載された研究で実験台にされたのは、日本では侵入種として知られる「アフリカツメガエル(学名 Xenopus laevis)」のオタマジャクシだ。

 その心臓から「緑藻類」や「藍藻類」を注入。藻類は心臓が鼓動を打つたびに血管を流れ、半透明のオタマジャクシの体が緑色に染まっていく。

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 藻類が脳にまで達したことを確認してから、オタマジャクシの頭を切断。脳細胞が死なないよう酸素が供給されている液体に頭部を入れて、神経活動と酸素レベルモニタリングする準備を整える。

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光合成で神経細胞が活性化

 実験開始はここからだ。まずは液体への酸素供給をストップする。すると酸素がなくなり、オタマジャクシの神経細胞は活動を停止する。

 ところが、そこへ光を照らすと、藻類が光合成で酸素を作り始め、15~20分のうちに神経細胞が再び活動し始めたのだ。

 再活動までにかかった時間は、単純に液体への酸素供給を再開しただけのときより、2倍も早かったという。

 それどころか、神経細胞のパフォーマンスは、実験開始前の状態に匹敵するか、それを上回ってすらいたとのことだ。

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酸欠症状の治療や細胞組織の研究に

 オタマジャクシで上手くいったからといって、今すぐ人間にも試せるわけではない。それでも将来的には、水中や高地など、酸素が乏しい状況でかかる症状の新しい治療法につながる可能性があるという。

 また研究用に切り離された細胞組織や「オルガノイド」に酸素を供給する手段としても役立つかもしれない。光合成のパワーで組織の生存率を上げることができれば、生きた実験動物が不要になる可能性もあるとのことだ。

 ストラカ教授らは今後、オタマジャクシに注入された藻類が「長期的に酸素を供給し続けるのか?」、オタマジャクシ側に「免疫反応などの問題が生じたりしないのか?」といったことを確かめる予定であるそうだ。

References:Green oxygen power plants in the brain rescue neuronal activity: iScience / Not Science Fiction: German Scientists Harness the Power of Photosynthesis for New Way To “Breathe” / written by hiroching / edited by parumo

 
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オタマジャクシに植物を注入、光合成を利用し脳に酸素を送ることに成功