首都高でエンジンルームから猫を救出した」ニュースが2021年9月末に各種メディアで話題になりました。首都高を走行中に、自身の運転する車のエンジンルームの中に猫がいることに気づいたドライバーの方が、首都高の非常駐車帯に車を停めて猫を無事救出・保護したという内容です。10月10日現在も、救出された猫は元気に暮らしています。

今回のニュースは気づいてからの運転者の判断が適切であり、非常に幸運なケースでした。そして、エンジンルームに猫が入り込むトラブルは決して他人事ではありません。
エンジンルームに猫が入りこむトラブルの実態および、どのように防いだらよいのかについて解説します。

「エンジンルームに猫が入るトラブル」の実態

エンジンルームに猫が入るトラブルについては、JAF(日本自動車連盟)が2019年~2021年の猫の日=2月22日に、前月の救援要請件数を公表しているものが参考になります。

<エンジンルームと猫に関する、全国救援要請件数>

  • 2019年1月:25件

  • 2020年1月:42件

  • 2021年1月:22件

集計は1月のみですが、沖縄を含む全国各地で救援要請されており、寒い時期だけのトラブルではありません。駐車している車両のエンジンルームは、

  • 部品が多く、暗く狭い

  • 雨風が入りにくいので、外と比べて比較的暖かい

と、通年で猫が好む性質を備えているからです。

また、猫などの生き物がエンジンルームにいることに気づかずに車を発進させてしまうと、中にいる生き物が死んでしまったり、中にいる生き物を巻き込んでエンジンを損傷したりと、大きなトラブルにつながってしまいます。

そのため、トラブルを防ぐには早めの対応が必要になってきます。

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「猫バンバン」だけでは足りない?エンジンルーム確認方法

エンジンルームに猫が入るトラブル対策で最も有名なのが、日産自動車による「猫バンバン」キャンペーンでしょう。本キャンペーンは2015年ごろから展開されており、5年以上親しまれています。

このキャンペーンは「(猫に気づいてもらうために)乗車前にボンネットをバンバン叩く」という行動を広める趣旨で行われており、好意的に受け入れられています。ただ、ボンネットを叩くだけでは不十分なケースがあります。

というのも、ボンネットを叩いても中から猫が出てこないこともあるためです。猫の性格によっては、ボンネットを叩く音を怖がり、逆にエンジンルームの奥に逃げ込んでしまうこともあるようです。

そのため、JAFは「叩いたあと猫の声や気配を感じたらボンネットを開け、中まで確認してください」と呼び掛けています。

猫避けグッズや忌避剤の正しい扱い方は自治体サイトを確認!

また、エンジンルーム近辺に猫を近づけない方法も有効です。日常的に屋外に車を置く場合は特に、猫避けグッズや忌避剤の使用を検討してみましょう。

猫避けグッズや忌避剤の例については、各自治体サイトでも情報がまとめられています。
意外と知られていないことですが、「ペットボトルに水」を入れたものを屋外に置くのは猫よけにはあまり効果がありません。この件は埼玉県高知市などの自治体サイトでも注意喚起されています。

更に、水を入れたペットボトルは屋外に置くとレンズの働きをしてしまい、収れん火災の原因にもなります。事実、猫よけ目的で設置したペットボトルが原因の火災も2017年に日本経済新聞にて報じられています。

自治体によっては、猫避け装置の貸し出しも行っています。例えば、山口市では2021年2月から「猫よけ装置(超音波発生装置)」の貸し出しを始めています。お住まいの自治体の公式サイトに情報が出ていないか確認して、それらを活用するのも良い方法です。

参考資料