ついに銃で武装した四足歩行の犬型ロボット(ロボドッグ)が登場した。いずれこうしたものが出てくることは予想されていたことだ。
だが、SF映画でありがちな、躊躇なくターゲットを狙い撃つことを目的としたロボット兵器の姿が頭をよぎり、実際にその姿を目にすると、胸騒ぎが止まらなかったりもする。
『The Verge』が伝えるところによると、まるで戦車のような銃器で武装した四足歩行犬型ロボット(ロボドッグ)は、10月11日から13日まで開催された合衆国陸軍協会の2021年度年次総会でお披露目されたという。
このロボドッグは米ゴースト・ロボティクス社製の「Vision 60」で、その背中にソード・インターナショナル社の無人兵器用銃「SPUR」が搭載されている。
SPURは、30倍の「光学ズーム」と、暗闇でも目標を補足できる「サーマルカメラ」を内蔵しており、有効射程は1200メートル。
「Special Purpose Unmanned Rifle」(特殊用途無人ライフルの意)という名称が示すように、さまざまなロボットプラットフォームへの装着を想定して設計されているという。
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昨年から米軍で試験的な運用
この銃を搭載したロボドッグが現在市販されているのかどうか不明だ。またゴースト・ロボティクス社とソード・インターナショナル社の提携関係についても情報はない。
しかしゴースト・ロボティクス社の四足歩行ロボット自体は、昨年から米軍で試験的な運用がなされているという。
導入されたのはフロリダ州ティンダル空軍基地で、第325治安部隊が、人間や普通の乗り物では思うように動けない「湿地帯での偵察」に使用しているとのこと。
また「遠隔地での撮影や地図作成」「移動式の携帯電話基地局」「爆弾の解除」「CBRN兵器(化学・生物・放射性物質・核を利用した兵器)の検出」など、さまざまな運用法も試されているようだ。
殺人兵器ロボットの管理問題
犬型ロボットといえば、ボストン・ダイナミクス社の「Spot」が有名だが、同社は自社製品を兵器にしない方針を定めている。
その一方で、タイヤやキャタピラを利用する無人火器プラットフォームを製造・販売する企業は数多くある。
問題は、こうしたロボットが人間を殺傷するほどの銃器を搭載しはじめたとき、それをどう管理するのかということだ。
かねてから専門家はこうした「殺人兵器ロボット」(専門的には、「LAWS」(致死的自律兵器システムの意)という)の登場に警鐘を鳴らしてきた。しかし現時点でアメリカ政府はその開発や配備を公式には禁止していない。
References:They’re putting guns on robot dogs now - The Verge / written by hiroching / edited by parumo
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