北海道のほぼ全域、特に道東に多く生息しているキタキツネは、昔は毛皮目的で多く捕獲されていたという。夜行性のため、夜間にドライブしていると、かなり近い距離で見られることもある。そんな中、地元観光協会などは安易に近づかないように呼びかけている。
■寄生虫は人命に関わることも
美瑛町観光協会は、Twitter上に「車を見つけると、近づき餌をねだるキタキツネ。 餌をもらった動物が、自分で餌を捕らなくなり餓死したり、車に近づき事故にあう例が後を絶ちません」と投稿。
「また、キツネの媒介する寄生虫は、人命に関わることも。 決して野生動物に近づいたり、食べものを与えないよう、お願いします」と注意喚起を行った。
担当者はしらべぇ編集部の取材に対して「コロナ禍で観光客が少なくなってからは、あまり見られなくなったが、コロナ前はエサを与えている風景が頻繁に見られた」と語った。
■道内で毎年20名程度感染
観光客が与える自然界にない甘味や添加物などは、キツネの免疫力を低下させる。免疫力低下によって、病気を発症し、死に至ってしまうキツネが増えているという。
また、キタキツネは体内に「エキノコックス」という寄生虫を持っているため、人間が直接触れたりすると、感染するリスクをともなう。北海道庁によると、道内で「エキノコックス」症患者が毎年20名程度見つかっているそうだ。
■潜伏期間が長い
エキノコックスは、自然界においては主にキツネと野ネズミに寄生している。また、犬もキツネ同様に野ネズミを食べると感染する。人間は虫卵によって汚染された野菜や、山菜や水を直接口にしたり、汚染された手指を介して、エキノコックスの幼虫が肝臓に寄生する。
なお、人から人に感染したり、野ネズミから人に感染することはない。すぐには自覚症状が現れないのが特徴で、数年から十数年の潜伏期間を経て、しだいに肝機能障害にともなう疲れやすさや黄疸などの症状がでる。放おっておくと転移したり、命に関わることもある。
■むやみに近づかないこと
この感染症は、北海道がほとんどと見られていたが、最近では愛知県でも確認されている。愛知県健康福祉部によると、2018年には県内で捕獲された犬3頭からエキノコックス陽性反応が出た。
翌年には1頭、2020年には4頭確認されている。現在までに北海道から移住した2人がエキノコックス症に感染。
担当者は「キツネや野犬にむやみに近づかないことが大事。野山に出かけ、帰ったらよく手を洗うこと、沢や川の生水は飲まないことも必要」と述べた。
■注意喚起ツイート
車を見つけると、近づき餌をねだる北きつね。
餌を貰った動物が、自分で餌を捕らなくなり餓死したり、車に近づき事故にあう例が、後を絶ちません。
また、キツネの媒介する寄生虫は、人命に係わることも。
決して野生動物に近づいたり、食べ物を与えないよう、お願いします。
(観光パトロール車より) pic.twitter.com/QVei1Ia19N— 美瑛町観光協会@美瑛子 (@Okanomachi_biei) October 15, 2021
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