新婚旅行でウクライナの山を訪れた夫妻が友人ら12人と焚火を囲っていたところ、埋没していた第一次世界大戦時の不発弾が突然爆発した。この事故によって妻が重傷を負ったほか、妻の弟と友人1名が死亡したという。夫婦の幸せな時間を一瞬で奪い去った悲劇を『Business Insider』『WalesOnline』などが伝えている。

英バークシャーの教会で7月27日に結婚式を挙げたリディア・マカルチュクさん(Lidiia Makarchuk、31)と夫のノルベルト・ヴァルガさん(Norbert Varga、43)夫妻は9月4日リディアさんの母国ウクライナへと新婚旅行に旅立った。

この新婚旅行中の9月15日リディアさんの家族や友人らを含めた12名でハンガリーとの国境近くに位置する美しいカルパティア山脈をトレッキングし、キャンプすることになっていた。

予定通りにキャンプ地へと到着した12名は、夜になると自然を壊さないように前の人が使ったところと同じ場所に焚火をした。そして暖かな炎を囲ってお茶を飲んだり、会話をするなどして大自然のキャンプを満喫していたという。

写真が趣味のノルベルトさんは午後9時頃、夜空に広がる星を写真に収めようとテントに残したカメラを取りに向かった。その瞬間、背後から大きな爆発音と叫び声が聞こえた。

この時に爆発したのは、焚火の下に埋まっていた第一次世界大戦時の不発弾だったことが、のちにウクライナ警察が発表している。

当時の様子をノルベルトさんはこのように振り返った。

「(カメラの)機材を詰めていると、爆発音と悲鳴が響きました。私は全速力で焚火に向かって行き、リディアの名前を叫びました。」

この爆発により、リディアさんは飛散した鋭い破片を浴びて左目と顔全体、そして手脚にも深い裂傷を負った。またリディアさんの弟ミロフラスさん(Myroslav、29)は脳が露出するほどの重体で、もう1人の男性も身体中を引き裂かれたかのような状態だったという。

ミロフラスさんと男性は応急処置の甲斐なく、救急隊が到着するまでの90分間に残念ながら息を引き取った。

病院へと運ばれたリディアさんは、爆発があった時の様子を次のように語っている。

「誰かが石を取って私の顔、特に鼻に投げたように感じました。その後、耳の中でヒューヒューと音がして、自分の声だけが聞こえるような静寂が訪れました。」

「私は両手で顔を覆い、自分のために祈り始めました。」

「そして、それが自分だけではないと気づいたんです。みんながうめき声をあげて、苦しんでいました。」

「(死にゆく)弟に『愛している』と伝えなかったことが、本当に心残りです。」

リディアさんは今回のウクライナへの帰省を兼ねた新婚旅行に海外旅行保険をかけておらず、医療費は全額自己負担となるそうだ。

その後手術を受けて現在も入院中のリディアさんだが、今後は左目の治療のためハンガリーにある眼科専門病院に搬送されたのち、イギリスに帰国する予定という。

リディアさんの従妹カーチャ・アウレットさん(Katya Owlett)は、リディアさんの莫大な入院費および治療費の支援、またイギリスへの帰国費などを募るためクラウドファンディングサイト『GoFundMe』にページを開設した。同ページにはこれまでに約438万円(27,794ポンド)の寄付が集まっている。

なお事故後、ウクライナ警察は同キャンプ場が1917年にロシア帝国軍とオーストリアハンガリー軍による激戦地だったことを明かしている。

画像は『WalesOnline 2021年10月19日付「Honeymoon bride in hospital, brother killed, after campfire detonates bomb」(Monika Sani Photography)(PA Real Life)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE

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