トヨタカローラ横浜(現・神奈川トヨタ自動車)で営業職として勤務していた当時38歳の男性社員が2019年5月に自死したのは、上司によるパワハラが原因だったとして、藤沢労働基準監督署(神奈川県藤沢市)が今年6月22日付で労災認定した。遺族が10月20日記者会見で公表した。

遺族側によると、男性は大学卒業後、同社に就職。会社のストレスチェックでは長年にわたって「高ストレス状態」と指摘されており、2018年6月の異動で新しい店長(当時)が赴任すると、営業ノルマなどをめぐって、ひんぱんに叱責されるようにもなったという。

労基署は細かな調査結果を明らかにしていないが、他の社員の前でこの店長から1時間以上も怒鳴られたり、「馬鹿野郎」と言われたりしたことがあったなどとして、心理的負荷を「強」と判断し、パワハラを理由とした労災と認めた。

遺族「ずっと自分を責めた」

パワハラをめぐっては、2020年6月にパワハラ防止法が施行され、企業に防止措置が義務付けられるようになった。これを受け、精神疾患についての労災基準も改正され、パワハラによる心理的負荷の評価ポイントが新たに明示されるようになった。

遺族側代理人の永田亮弁護士は、「ケースバイケースではあるが、基準が改正されたことで、労災が逆転で認められたケースもある。労働問題でハラスメントの実態に即した労基署の調査が続くことを期待したい」などと話した。

なお、業務起因性の判断には直接含まれていないが、労基署は男性の労働時間についても調査、認定している。発症前までの半年間では、過労死ライン前後の残業が続いており、最も長い月で100時間超、発症前1カ月では約86時間の残業が認定されている。

会見で男性の父親は「営業職は大変なのかもしれないが、勤務状況やストレスに会社として対応してほしい」と会社側に改善を要求。母親は、男性が亡くなる1時間前に会話を交わしていたといい、自死を止めることができず、「ずっと自分を責めた」と苦しい思いを吐露した。

会社側はウェブサイトに「​​ご遺族に深くお詫びを申し上げるとともに、当時の事実確認に不備があったこと、ならびに再発防止策の着手が遅れたことについて重ねてお詫びを申し上げます」などとするコメントを掲載した。

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