取材・文:ひらりさ
編集:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、今気になるTwitterコスメアカの実態を探る連載「コスメアカの履歴書(https://woman.mynavi.jp/tag/rensai_cosme-account/)」。

今回は、きゃべつ太郎さん(@tunakorokkedayo)にインタビューしました。

――とにかくお洋服やかわいいものが大好きなのが伝わってくる「きゃべつ太郎」さんのアカウント。Twitterを開設したのはいつ頃なんでしょうか?

大学時代です。子供の頃から服が好きだったんですけど、周りで話せる人がいなかったんですね。高校の時は某インターネット掲示板の喪女(※)板ファッションスレッドとかがワイワイしていたんですよ。その延長で、Twitterを始めました。

※「モテない女」から変化して生まれたネットスラング

――喪女板ってそういう雰囲気なんですか。

少なくとも2010年代前半は、今のTwitterのように、女の人たちが匿名でまったり好きなものの話をできる場所だったように思います。

中高時代は制服だったので、特別な格好はしてなかったんです。でも、雑誌を端から端まで読むのが好きで、特に『装苑』を愛読していました。当時ツモリチサトさんが『装苑』賞の審査員をやっていて、この人の服見てみたいな〜と思って、伊勢丹に乗り込んだ思い出があります。自分では買えないから、結局親に誕生日プレゼントで買ってもらいました(笑)。

――元々服を好きになったきっかけは、どこにあったんですか?

私の世代って小学生の頃に、ナルミヤ・インターナショナルが全盛期で。エンジェルブルー」や「メゾピアノ」の、派手だけどガーリーな服に夢中になったのが始まりですね。デイジーラヴァーズ」はハワイアンすぎてちょっと違うんです。幼稚園児みたいな服がずっと好き。


――ナルミヤ・インターナショナル! 「幼稚園児みたいな服」って言い得て妙ですね。

今は、国内ブランドや特定のデザイナーの服よりも、気に入った海外のインスタグラマーがタグづけしている服を調べて、買ってみるというのが多いです。最近見てるインスタグラマーだと、@leoniehannne、@prosenkilde、@christietylerとか。

――おしゃれ! うっとりしますね。この人たちはモデルさん……?

うーん、インスタグラムを見ていても分からないです。とにかくかわいい服を着て楽しそうにしている(笑)。

ECサイトに飛ぶと、英語どころかスウェーデン語韓国語だったりするんですけど、「多分、購入ボタンこれかな」とか恐る恐る押してみると、ちゃんと届く。ありえない部分が裂けてる下着とか、XSだけどバストサイズがぶかぶかとか、そういう予想外はありますが(笑)。

日本のセレクトショップで取り扱いがあるブランドでも、現地のECサイトで買うとどんな包装なのかな? と気になって、あえて通販することも。


――クリエイターの世界観に触れるのが楽しいんですね。コスメも、特定のブランドよりは、あれこれ買うのが好きですか?

そうですね。同じブランドのものを長く使うよりも、知らない世界観にどんどん触れていきたい方です。Twitterのbioに「ミーのハー太郎」と書いてるんですが、とにかくなんでも手を出してしまいます。例えば先日GUCCIのビューティーラインの日本販売が始まりましたが、テクスチャがグロウ、マット、サテン、シアーと4種類あったので、全部買ってみる。手にとって「こういう感じなんだ」って試すのが好きです。

デパコスというジャンルがあるのは、Twitterを始めて歳上のお姉さんたちと交流するようになって知ったのですが、やっぱり、アーティストの美学があるコスメブランドは良いなあと思いますよね。NARSとか。

自分の顔をおしゃれにするために買うというより、アイテムとして集めるのが楽しい。小さい時にセーラームーンのおもちゃを全然買ってもらえなかったのも影響しているかも。


――コロナで服やコスメを買うことが減ったという人もいますが、きゃべつ太郎さんはいかがですか?

全く減ってないですね。医療関係の仕事をしていて、コロナ禍でも毎日出勤しているのもあると思います。基本職場に着いたら着替えますし、自由な服装で出勤しています。あまりに派手だと院長に注意されることもあるので、@leoniehannneや@prosenkildeではなく、比較的シンプルでシックな@christietyler系の服で……(笑)。

――メイクはしてますか?

マスクでずっと隠れているので、ベースメイクは全然しないですね。メイクポーチは持っていかないです。眉毛とリップだけですねえ……。

ただ、リップがすごく好きなんですよ。コロナでリップの売り上げが落ちたって聞きますけど、私は逆で、マスクしてるんだからリップは好きにつけようと思って、鞄の中にその日の気分でリップを放り込んでます。マスクは使い捨てだからリップがついても気にしてません。

・エトセトラブックスのトートバッグ
オリバーゴールドスミスの眼鏡
・THREEのグロス
・NARSのグロス
POLAの美容クリーム
・TOM FORDの眉ペン
・財布
クッキー

――リップの定番選手はいますか?

友達にプレゼントしてもらったエルメスのリップが最近のお気に入りですね。ベージュっぽい色味がかわいいんです。あと、THREEのグロス。見た目が気に入ってます。

そうだ、アメリカで買った、MARC JACOBSの玉虫色グロスもよく使います。口に入れるとすごい味がして、不安になるんですけど(笑)。

――ベースメイクをあんまりしないということですが、スキンケアはこだわりがありますか?

やはりパッケージがかわいいので(笑)、FEMMUEは使ってますね。とりあえず保湿してれば良いかなと思って、FEMMUEやメディヒールのパックをひたすら使ってます。

あと、韓国コスメで奇想天外なスキンケア製品が色々出てるのが面白くて、かなりチェックしてます。最近だと、透明ジェルを顔に塗って木工用ボンドみたいに固まった後に剥がすと肌がツルツルに……というアイテムが面白かったです。最低30分は表情を動かさずに待たないといけないという。

――すごい。

化粧品の説明を読むのが好きなんですけど、エセ科学っぽいアイテムを試すこともたまにあります。「プラズマ解離水」とか。「H2Oはそのままだと体内にうまく取り入れられないから水素原子と酸素原子に急に分離して効率的に取り入れられるようにします」みたいなの。

加速器も使わずにどうやって原子を分離しているんだろう? って考えて、試しに買って、飲んで、普通の水だなあって思う……。

――理系感あるエピソード(笑)。最近は、お家のインテリアにも凝ってますよね?

https://twitter.com/tunakorokkedayo/status/1414506174657957890?s=21

そうなんです! 2020年3月に今の部屋に引っ越したんですけど、家ってどうやっておしゃれにするのか全くわかってなくて。自分の体と洋服に比べると、部屋と家具って大きいから、組み立てが難しいですよね。失敗しても、服と違って人にあげるのが難しいし。

Casa BRUTUS』を読んだり、インテリアがおしゃれな友達にアドバイスをもらったりして、試行錯誤してます。「とにかくでかい観葉植物を置くと良い!」と言われたので観葉植物を買いました。

――家の写真を見て、壁の色が素敵だなと思ってます。

壁をピンクにしたのは我ながら良かったです。壁って毎日目に入るから、ピンクを目にするたびにすごく良い気持ちになれます。

業者さんに「全面ピンクで!」と頼んだら「まずは落ち着いて一面からが良いと思う。貼ってから戻すのはもったいないし、物足りなかったら足せるから」とたしなめられて、今は一面からなんですが。

――良心的な業者だ……。服もコスメもインテリアも、情報収集力をフル活用して楽しんでますね。

そうですねえ。四六時中何かを調べている人生です。

――服に出会って人生変わりましたか。

服の話を通じてできた友達が多いので、それは本当に良かったです。

あと実は、小学生の頃は、塾のテストで良い成績をとると自分の好きな服を買ってもらえるシステムが我が家にはあったんですよ。そのご褒美のおかげでめっちゃ勉強して、自分で自分の好きなものを買える社会人になったので、そういう意味でも、服と出会って人生が変わったのかもしれません(笑)。

■コスメアカ「きゃべつ太郎」さんの履歴書

※写真のコスメはすべて本人私物です

INFORMATION

『だから私はメイクする』漫画:シバタヒカリ、原案:劇団雌猫

『浪費図鑑』の劇団雌猫が贈る話題書をコミック化!

メイク道を爆進するうちにあだ名が「マリー・アントワネット」になった女、“推しネイル”にハマって猛練習する女、仕事場での“アドバイス”にうんざりしている女など、メイクを通して見えてくる、「社会」や「自意識」と戦う女たちの悲喜こもごも。

「自分がどうありたいか」と向き合う、共感必至のオムニバス・ストーリー!

ミーハーおしゃれ女性が愛用する「最旬コスメ」