イギリスのある家庭で飼われていた犬が今年3月に近所の男性を襲い重傷を負わせた事件が発生したが、このほど裁判で飼い主に対して罰金の支払いが命じられた。イギリスではロックダウンに伴い、「癒しが欲しい」「寂しさを紛らわせたい」と犬を飼う人が激増した。一方で、安易な考えから犬を家族に迎えたため「面倒を見ることができない」「仕事に戻らなければならないから」という無責任な理由で犬を捨ててしまったり、保護施設に持ち込む飼い主が後を絶たない。今回、男性に重傷を負わせた犬の飼い主もロックダウンで初めて犬を飼ったというが、犬は安楽死させられ、飼い主には7万円超の罰金などが科せられた。『Stoke-on-Trent Live』『The Daily Star』などが伝えている。

英ストーク・オン・トレント在住のある男性は今年3月13日、ペットであるシベリアンハスキーの“アイス(Ice)”をリードにつないで散歩していたところ、近所に住むデミ・ベンボウ(Demi Benbow)が飼っているアメリカン・ブルドッグに噛まれて両手に大怪我をした。

男性はそのアメリカン・ブルドッグに襲われそうになったアイスを守ろうとしたところ、親指が引きちぎられるほど強く噛まれたという。その親指をつなぎ合わせるためともう片方の手にも手術が必要になり、6日間入院したそうだ。

検察官のカレン・ライト氏(Karen Wright)は当時の状況について、このように明かしている。

3月13日の午後6時、被害者は11歳のアイスを散歩させるために自宅を出発しました。そしてキャサリン・ロードにある被告(デミ)の家の前を通り過ぎた時、庭にいるアメリカン・ブルドッグに気づきました。アメリカン・ブルドッグは安全対策がされていないゲートから敷地を出てアイスを攻撃したことから、被害者が間に入って追い払おうとした時、親指を噛まれてひどい怪我をしました。そしてアイスのリードを離し、アメリカン・ブルドッグの顔を殴ろうとしたそうです。」

「被害者は大声で叫んでいたので、騒ぎを聞いた隣人が外に出てきました。そして被告も出てきてアメリカン・ブルドッグを家の中に戻し、男性の応急処置をしました。被告は999(救急ダイヤル)に通報し、何が起こったかを報告したと言います。」

「被害者はアメリカン・ブルドッグの攻撃を受けた後、6日間入院しました。親指を縫合する必要がありましたが、切除する可能性もあったそうです。もう一方の手も4回の手術を受けています。」

法廷ではデビッドホールドロフト氏(David Houldcroft)が、デミの幼い息子が玄関のドアとゲートを開けたままにしていたことがアメリカン・ブルドッグの逃亡につながったと明かし、このように述べた。

「被告は今回の事件に対して全責任を負っています。しかし大きな過ちを犯したわけではありません。ひとつだけ被告に非があるとすれば、息子にドアやゲートを開けさせたことです。ただ多くの人がご存知の通り、子供から常に目を離さないでいるのは難しいことです。ベンボウ一家は最初のロックダウンの際にペットとしてアメリカン・ブルドッグを迎えました。その犬は攻撃的どころか他の犬のことを怖がっていましたし、それまで人を襲ったこともありません。今回の事件は青天の霹靂でした。」

今月中旬に行われた裁判で、判事は全面的に自分の非を認めているというデミに対し244ポンド(約38000円)の罰金を科し、さらに219ポンド(約34000円)の訴訟費用と手数料の支払いを命じた。

なお一家が飼っていたアメリカン・ブルドッグは事件後、安楽死させられたという。一般的に温和で愛情深いと言われるアメリカン・ブルドッグだが、獰猛な気質も持ち合わせているため飼い主との主従関係がしっかり築かれていない場合は攻撃的になり制御できなくなる場合もあるそうだ。

この事件について、世間からは「噛まれたのが自分の子供でなかったのは幸運なこと。自分の犬を守ろうとした男性は悲劇ですね。無事に回復することを願っています」「飼い主の責任で犬が処分されたなんて。この人は一生動物を飼うことを禁止されるべき」「飼い主の不注意で犬が処分されてしまったのは残念ですが、(アメリカン・ブルドッグは)幼い子供がいる家で飼うような犬種ではありません」との声があがっている。

画像は『The Daily Star 2021年10月18日付「Woman’s American bulldog tore off neighbour’s thumb in unprovoked attack」(Image: BPM MEDIA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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