2021年のノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏の受賞が決まり、日本中が沸いたが、中国では「日本との差が開いた」ことにがっかりした人が多かったようだ。中国のQ&Aサイト・知乎にこのほど、日本人がノーベル賞を多く受賞している理由について意見を求めるスレッドが立てられ、多くの中国人が回答している。

 寄せられた意見で多かったのは、「教育」と「資金」の違いだった。戦後、中国よりもずっと早く経済復興した日本では、前から大学進学率が高かったが、中国ではそのころ文化大革命で知識層が迫害されていたと指摘するコメントがあった。研究結果が出るまでには数十年の時間がかかるものなので、「滴水穿石(雨だれ石を穿つ)」で長い目で見なければならないとの意見があったほか、地方の生徒が良い大学に入りにくい今の中国の大学入試システムを問題視する人もいた。

 また、日本には科学者が安心して研究に打ち込める「環境」があるとの指摘もあった。ある人は「紙幣に誰が描かれているかで分かる」と、日本の科学者を敬う環境を称賛した。日本の科学者には「酒をどれだけ飲めるか、口が上手いかどうかは関係ない」とうらやんだ人は、仕事で成功したければ接待しなければならない中国の現状を疑問視していた。終身雇用制度の名残りを残す日本企業は、社員に優しくてすぐに結果の出ない科学者にも優しいという意見もあったが、それはやはり資金面のゆとりと直結していると言えるだろう。

 しかし、中国もこれからは期待できると考えている人も多いようだ。今の大学進学率の高さから「中国の地平線は明るくなっている」と希望を見せる人や、一人っ子政策以降は女性の進学率が増えたためか「そのうち中国のノーベル賞受賞者は半分が女性になるかも」と推測する人もいた。

 日本のノーベル賞受賞に対する中国人の反応は、徐々に前向きに変わってきているのかもしれない。それには、自分たちの研究環境が改善していることへの自信とゆとりが表れていると言えそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日本人がノーベル賞を獲得できるワケ、中国ネット民はどう思ってる?