暗い場所に差し込む一条の光。それは時に「神様からの祝福」と表現されることもある、神々しさを感じる光景です。薄暗いトンネル工事の現場で、トンネルが貫通した瞬間に外からの光が差し込む「トンネル貫通光線」の美しい場面を建設会社がTwitterに投稿しました。

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 福島県にある寿建設株式会社は、大成建設の専門工事業者として1939年以来「トンネル屋」としてトンネル建設工事に携わり、昭和の終わり頃からは官庁発注の一般土木工事も手がけるようになり現在に至ってます。20年ほど前からは、トンネル工事に詳しいことから、トンネル補修工事にも携わっているという「トンネルのプロ」という会社です。

 社長の森崎英五朗さんに話をうかがうと、今回Twitterに投稿した「トンネル貫通光線」は、福島県南会津郡南会津町にある国道352号の中山トンネル工事での写真とのこと。国道352号新潟県柏崎市から福島県の南会津地方を横断し、栃木県河内郡上三川町を結ぶ道路で、過酷な山道区間のあることでも知られています。

 この国道352号のうち、福島県の南会津町にある中山峠を貫いているのが中山トンネル1974年に全長503mのトンネルが開通していましたが、幅員が5.5mの対面通行のため、バスなどの大型車両が行き来するには困難でした。そこで隣接してもう1本トンネルを作り、上りと下りの車線を分ける計画が決まったのです。

 森崎社長に工事についてうかがったところ、新しいトンネルは全長522m。2011年10月20日に掘削前のお清めが行われました。

 山は山岳信仰の対象となっているように、トンネルを掘る際には山の神様に「ここを掘らせてください」とお願いし、工事の無事をお祈りすることにしているそうです。また、よほど延長が長いか、工期を短縮する必要がある場合を除いては、片側から掘り進めていくんだとか。

 工事は順調に進み、掘削を始めて約半年後の2012年4月に無事貫通。ツイートの写真は、この時撮影されたものだそうです。

 貫通した穴から太陽の光がまっすぐトンネル内に差し込み、まるで山の神様から「よくぞ掘り抜いた」と祝福されているかのよう。森崎社長は「掘削に使ったブレーカーのノミの角度と、太陽の光の角度がうまく重なって、このような光になったのだと思います」と話してくれました。

 トンネル工事では、掘削を始める前にお清めをするように、貫通時にもお浄めをします。森崎社長によると「トンネルは『切羽』と呼ばれる掘削の最前面に神様がいるという考え方があるので、必ず貫通点を清めてから通り初めをします」とのこと。

 このほかにも、トンネル工事では、出水や落盤につながることから「お茶漬け」を絶対に食べないなど、色々と縁起を担ぐことがあるんだそうです。山の神様を敬い、トンネル掘削をする人だけが見られる「トンネル貫通光線」。自然と感謝の気持ちがわいてくる光景です。

<記事化協力>
寿建設@福島(@kotobuki5430511)

(咲村珠樹)

山の神から祝福の光?トンネル工事現場の「貫通光線」が美しい