約1年半の延期を経てついに公開を迎えた「007」シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(公開中)。ダニエル・クレイグボンド引退作となる本作は、これまでのクレイグ版では、印象の薄かったスパイガジェットも活躍!ということで、ここでは過去の「007」シリーズからご機嫌なガジェットを集めてみた!

【写真を見る】最新作でも活躍した「007」シリーズのスパイガジェットたちを集めてみた!(『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』)

■Qが開発したさりげなくも強力な小物たち

デズモンド・リュウエンやベン・ウィショーなどが演じてきた武器開発のスペシャリストQによって作られ、劇中で印象的な活躍をしてきたアイテムの数々。その原点ともいえるのが、Qが本格的に登場した最初の作品『007ロシアより愛をこめて』(63)で、ボンドに支給されるアタッシュケースだ。

もちろんただのアタッシュケースではなく、ワンタッチで鞄の側面からナイフが飛び出し、弾薬や金貨が隠され、さらには開ける時に手順を間違えてしまうと中からガスが噴出するなどギミックも搭載。と機能を羅列してみると、何とも心許ない気もするが、クライマックスの列車のシーンでしっかりと活躍し、ボンドの窮地を救った。

こういった日常的に使うさりげないアイテムが、実は武器になっているというパターンが「007」シリーズのロマンであり、例えば『007ゴールデンアイ』(95)では、何の変哲もないボールペンがQの改造によって、3回ノックすると4秒後に爆発する手榴弾に早変わり。クライマックス、囚われの身となったボンドが逃げ出すきっかけとなった。

さらにはクレジットカード型ピッキングツールなど気の利いた小物が数多く登場した『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(99)では、かけるだけで周囲を透視できるメガネで、パーティ会場で銃を隠し持つ敵たちを丸裸に。

これらのアイテムの中でも、定番は腕時計。なにかしらの仕掛けが施されていることが多く、『007サンダーボール作戦』(65)では、放射能を測定するガイガーカウンター機能付きとして、悪党に奪われた原爆を探索。『007/死ぬのは奴らだ』(73)では、強力な磁石と丸鋸付きにカスタム。磁石の力でMが飲むコーヒーのスプーンを取ったり、ガールフレンドのドレスのジッパーを下ろしたりといたずらに使うボンドだったが、手を縛られてサメの中に葬られそうになるという窮地に、縄をのこぎりでカットして事なきを得た。

これら以外にも、時限爆弾搭載(『007/スペクター』)、鉤爪&ワイヤー付き(『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』)、Mからの呼び出しがメッセージラベルで出てくる(『007/私を愛したスパイ』)など、枚挙にいとまがない腕時計たち。最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも、電磁パルスによって電子機器に損傷を与えるという機能が付いたオメガシーマスターが輝きを放った。

■嫌いになれないヘンテコガジェットたち

さりげないアイテムの一方で、突拍子のないアイテムたちも魅力的なこのシリーズ。ボンドがQから研究所で武器の説明を受ける時に、周囲で開発中のアイテムたちが試用されているというのもお決まりで、バグパイプと見せかけた銃や突如としてエアバッグのようなものが膨らみ人を圧迫する電話ボックスなど、それどこで使うのよ?と思わずツッコミたくなるようなアイテムが一瞬登場し、笑いをもたらしてくれた。

話の本筋とは関係ないところでいうと『007/ゴールドフィンガー』(64)の冒頭では、鳥に見せかけながら水中を移動することができるという、カモが頭上についたシュノーケルといったアイテムが登場。この動物シリーズは、ほかにもあり『007/消されたライセンス』(89)では、敵の海洋施設潜り込むためにエイにカモフラージュできるマントを背負って潜水しまんまと敵を騙すことに成功。『007/美しき獲物たち』(85)では犬型ロボット、その名も“スヌーパー”なんてものまで登場した。

この動物シリーズで特にインパクト抜群だったのが、ロジャームーア版の中でも特にコメディ色が強い『007/オクトパシー』(83)でのワニ型潜水艇だ。謎の女性オクトパシーが住む屋敷に潜入する際に乗り込むものだが、何ともハリボテ感のあるチープな見た目とワニの口を大きく開くとボンドが丸見えになってしまう隙のあるデザインは強烈。

ちなみに、このワニ型潜水艇は同じく『オクトパシー』で登場した小型ジェットアクロスターとともに、Q課研究所に保管されている様子が『007/ダイ・アナザー・デイ』(02)で確認でき、愛されガジェットとして高い人気を誇っている。

ボンドカーをはじめとするユニークな乗り物たち

そして「007」シリーズのガジェットを語る上で外せないのが、やはりボンドカーの数々だ。『ゴールドフィンガー』で初登場したアストン・マーティンDB5は、ボタンひとつで座席が空中に飛びだすイジェクトシートや、せり出し式の防弾装甲、フロントライトから飛びだす機関銃、敵を惑わすための煙幕やスリップさせるオイルなど、とにかく装備が満載でド派手!

最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』にアストン・マーティンDB5も、フロントライトからの機関銃や煙幕、マキビシ爆弾などギミック満載で、『ゴールドフィンガー』を思わせるような快活さを感じることができた。

007/私を愛したスパイ』(77)でのボンドカー、ロータス・エスプリは、さらに進化しており、ナンバープレートから目くらましのセメントを発射するなんて小技を繰り出しつつの、何と海の中に入ると潜水艇に変形するという大技を隠し持った最高に景気の良いボンドカーだった。

そして極め付けは、『007/ダイ・アナザー・デイ』でのアストン・マーティンV12ヴァンキッシュマシンガンはもちろん、ミサイル、迎撃システムまで搭載。そして何よりも光学迷彩によって透明になってしまう(!)という、行くとこまで行ってしまった最高なボンドカーだった。

乗り物でいえば、先述のアクロスターや、『サンダーボール作戦』冒頭のジェットパック、『007/ムーンレイカー』でのホバーボートと化す水陸両用ゴンドラ、『ワールド・イズ・ノット・イナフ』の潜水もできて陸地を走れるボートなども見応え抜群だった。

敵キャラサイドにも個性豊かな武器や乗り物のオンパレード。ライターや万年筆などの部品を組み立て式で、弾も1発しか入らないというところに美学を覚える『007/黄金銃を持つ男』(74)の黄金銃や、1作目『007ドクター・ノオ』(62)では、地元民にドラゴンだとウワサされていたものの実際は張りぼて調ドラゴン型だった(!?)戦車など、ロマンとユーモア溢れるガジェットだらけの「007」シリーズ。最新作を機に、過去作も見直して、その世界観を楽しんでほしい!

文/サンクレイオ翼

ボンドカーなど『007』のユニークなガジェット大集合!(『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』)/[c] 2021 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.