都市部では、通勤や通学で電車を利用する人は少なくない。比較的安全とされる電車だが、海外では性的暴行事件が発生することもあるようだ。

 米ペンシルバニア州の地下鉄で、電車に乗っていた女性が性的暴行を受け、犯人とみられる男が逮捕されたと、海外ニュースサイト『abc news』『US Daily Report』などが10月19日までに報じた。

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 報道によると10月13日午後9時ごろ、同州在住の女性(年齢非公表)は電車に乗った。女性がシートに座ったところ、35歳の男も隣に座ってきたそうだ。シートの形状は報じられていない。車内には、それなりに乗客はいたと伝えられている。男は女性と同じ駅から電車に乗った。男は女性に話しかけ、以後40分以上も付きまとったという。男の行動はエスカレートし、女性の体を触ったそうだ。女性は激しく抵抗したが、ズボンを引き裂かれ、性的暴行を受けたという。

 同州交通警察によると同日午後10時ごろ、「電車内の女性の様子がおかしい」とフィラルフィア交通局から通報を受けたという。通報したのは交通局の従業員だ。従業員が車内に居合わせたのか、監視カメラ越しに発見したのかは報道されていない。

 通報を受けた警察は、電車の次の停車駅で待機。電車が構内に到着して警察が車内に入ると、衣服の破けた被害者の女性を発見、そばにいた男を引きはがして逮捕したそうだ。女性は性的暴行を受けており、すぐに病院へ搬送された。

 警察の調べによると、加害者の男は職業不詳のホームレスだという。女性の話では、男とは面識はないそうだ。警察は電車内の監視カメラを確認すると事件の一部始終が映っていた。驚くことに事件当時、車内には多くの乗客がいたという。

 乗客らは、女性が性的暴行を受けている事態に気づいている様子だが、だれも助けようとしなかった。なかには、その様子を携帯で撮影する者までいた。携帯を高く上げて、撮影する乗客の姿が複数確認できるという。警察は「車内には多くの乗客がいた。男を止めることはできたはずだ。こんなことが許されていいのか。乗客からの通報はなかった。非常に残念だ」と各社の取材に回答している。法的には、女性を助けなかった他の乗客、動画を撮影した者を罰することは難しいとみられる。

 逮捕された男は強姦罪など複数の罪で起訴された。男は容疑を否認し「名前を思い出せなかったが、女性とは知り合いだ。合意の上での行為」と主張しているそうだ。男の初公判は、10月25日の予定だという。

 このニュースが世界に広がるとネット上では「都会の人は冷たい」「犯人の男が一番悪いが、それを見て見ぬふりをする人も問題だ」「さすがに動画撮影は人として最低」「目の前で女性がレイプされていたら助けたいが、いざとなったら固まってしまいそう」「加害者は銃を持っていそう。近寄ったら命の保証はない。仕方ない」「いやなニュース。冷たい世の中だ。みんな自分のことしか考えていない」「ここはアメリカ。自分の身は自分で守るしかない」「警察の苦言はわかるが、何もしない乗客らを責めることはできない」など、様々な声が上がった。

 本件は、乗客たちの間で「傍観者効果」が働いてしまったようだ。犯罪を目撃しても、周りに人がいるだけで「自分はやらなくても、誰かが助けるだろう」と考え、行動を起こそうとしない心理効果だ。恐ろしい群衆心理と言えそうだ。
 
記事内の引用について
Train riders held up phones as woman was raped, police say(abc news)より
https://abcnews.go.com/US/wireStory/train-riders-held-phones-woman-raped-police-80653282
Man Allegedly Raped Woman Inside Train In Front Of Other Passengers Who Did Nothing(US Daily Report)より
https://usdailyreport.com/2021/10/17/fiston-ngoy-philadelphia-homeless-man-woman-train-passengers-upper-darby_n_27177.html

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