子ども部屋おじさんおばさん)」略して「こどおじこどおば)」とは、「未婚(独身)のまま親の家(主には実家の子ども部屋)に住み続ける大人」を揶揄するインターネットスラングです。弁護士ドットコムニュースでは、なぜその生活を選んだのか、LINEで当事者に意見を求めました。

すると、当事者のほとんどは自ら望んで「こどおじ」になったという人でした。しかし、「こどおじになりたくてなったわけじゃない」「こどおばと呼ばれるのは心外だ」など、ときに怒りのこもった回答を送る人も一定数存在したのです。

こどおじ」と呼んでほしくない人は、どのような事情から親との同居生活をせざるをえなかったのでしょうか。

個別の声に耳を傾けてみると、社会問題との関係性も見えてきました。

高齢親のサポート・介護をしなければいけない

「私も世間では『こどおば』と呼ばれている存在です。でも悪いこととは思っていません。両親は年寄りで病気なので、私が週に1回買い物をしないと困るからです」

この40代後半の女性(製造業)は、70代の両親と、生まれた実家でずっと暮らしてきました。

介護が必要になれば、両親を施設に入れる考えです。

別の40代女性には、同年齢の友人に「こどおじ」「こどおば」が3人いるといいます。「『こどおじ』という表現は失礼では? 介護のため、家を出たくても出られない人もいらっしゃる」と友人の気持ちを思って投稿してくれました。

友人の1人(女性)は、車の運転ができない70代の母親にかわって、食料品の買い出しのために同居しているそうです。

「ここの地域では、子は親の近くに住んで生活を支えるものという認識が親世代にあるようです。友人の兄が結婚した際、母親と同居しなかったことを今も怒っているようです」

未婚であれば、ずっと実家で暮らすのは当然です

70代の両親をもつ50代男性(製造業)は「独身だと実家を出なければいけないという風潮はいつからでしょう?」と疑問視しています。

「3世代大家族が当たり前の時代であれば、結婚するまでは実家住まいで、未婚ならずっと実家と言うのも当たり前では? 私の伯父・叔母も結婚するまで同居していたので、それが普通だと言う感覚でした。

経済力があり、いつ親が介護の必要が生じるかわからない年齢であれば、むしろ実家住まいのほうが正しいのではないでしょうか」

男性は40代後半まで、借家を転々としながら両親と暮らしました。通勤時間短縮のため、3年間だけ一人暮らしを経験しましたが、その後、50歳で自宅を購入すると、両親を呼んで一緒に暮らしています。

「50過ぎて結婚もできず、孫の顔も見せられなかった私が、ずっとボロい借家住まいだった両親に最後にできる親孝行だと思い、買った家に呼んで同居しています。なので、実家で同居と言うだけで変な言われ方されるとすごく嫌な気分になるのです」

こどおじ」という言葉には、若年無業者である「ニート」に似た意味合いを感じてしまうそうですが、この男性のように、「こどおじ」の中には働いている人も多いのです

男性は、自分で稼いだお金で自由に生きる人生を歩んでいて、最近はアニメゆるキャン△」の影響をうけて、ソロキャンプにハマっているそうです。

病気・障害が理由で同居

40代の女性は、もともと病弱で、30代前半まで低賃金の仕事をしていたため、親と同居せざるをえなかったそうです。いまは精神疾患で働けなくなり、70代の親と同居しています。

就職氷河期世代にあたり、なかなか良い仕事に就くことができなかったと話します。

「仕事をしていたときは家にお金を入れていました。親が穀潰しと怒りまくったからです。希望してこどおばになっているわけじゃない。仕事がなく賃金が低いからしかたないのです」

30代の娘が「こどおば」だという50代女性からも連絡がありました。親子はともに「てんかん」と診断され、精神障害者手帳を所有しています。2人とも働いていた時期もありますが、現在は無職で、障害者年金で暮らしています。

「私は『こどおじこどおば)』という言葉を知りませんでしたが、娘は『私みたいな人のことを言うんだよ』とケロっとした感じで教えてくれました」

女性が購入したばかりの自宅で、娘と二人暮らしです。女性の夫は自分の親の介護のため、別居しています。娘には独立する考えがありません。

「娘は結婚をする気も、万一、結婚しても子供を産むつもりもないそうです。働けないときの娘の収入は障害者年金だけです。私が亡くなったときのために、娘は少しでも貯蓄をしておきたいと『こどおば』状態を選んでいます。私も将来、入院費負担などで娘に迷惑をかける可能性が高いので、娘の『こどおば』を認めています。

しっかり、将来の事を考えた上で親子で話し合った結果の『こどおじ』なので問題は無いです」

経済的な理由がベース

様々な声を紹介してきましたが、多くの人に共通していたのは、経済的な理由が含まれている点でした。

病気や障害を理由に働けなくなった前出の女性たちも、生活費の負担を軽減するために家族と同居を選んでいます。

人生のほとんどを親と同居し、50代で自宅を購入した男性も、若いころには「元々、一人が好きなのでずっと一人暮らししたかった」と考えていたそうです。しかし、一人暮らしと実家暮らしでかかるコストを検討した結果、同居を選んだわけです。

「こどおじ・こどおば」と呼ばないで 親の介護で「独身ならむしろ実家住まいが正しい」