中国では、目の前で見知らぬ高齢者が倒れたとき、自発的に助け起こす人はほぼ皆無と言われている。それは、転んだ老人を助けて病院に連れて行ってあげたら、ぶつかられたと逆に訴えられ、裁判所が賠償支払いを命じたという「彭宇案」と呼ばれる事件があったためで、助けたくても助けるわけにはいかない事情があるようだ。

 そんな中国人からすると、倒れた高齢者を迷わず助けられる日本社会は「新鮮に映る」ようだ。中国の動画サイト・西瓜視頻はこのほど、「日本人は倒れた高齢者を見たらどうするか」を紹介する動画を配信した。

 動画では、ドライブレコーダーで撮影された動画として、交差点や歩道で高齢者が倒れた場面をいくつか紹介し、周りの日本人の反応を伝えている。高齢者はそれぞれ、道を歩いていて倒れたり、自転車に乗ろうとして失敗し倒れたりなどしているが、いずれも近くの人が何人もかけ寄って手を貸していた。車いす横断歩道を渡ろうとしていた人は、転倒したわけではないが途中で歩行者用信号が赤になってしまい、近くにいた人に押してもらって渡り切っていた。

 いずれの場面でも、困っている人がいたら周りの人が迷わず手を貸していた。コメント欄は「日本はやはり文明国」、「先進国は違うな」など称賛の嵐で、日本人の優しさに感銘を受けた中国人は多いようだった。

 その点、中国では人助けしようとしても加害者にされてしまうリスクがあるため、どうしても身がすくんでしまうようだ。「倒れたお年寄りを助けようとしたことがあるが、両親や妻、子ども、給料、ローンのことが頭をよぎって何もできなかったことがある」などのコメントも多かったが、それだけ「彭宇案」の影響が大きいようだ。中国人を震撼させた裁判官の一言に、「自分がぶつかったわけでもないのになぜ助けたのだ」というものがあり、多くの人に引用されていた。

 困っている高齢者を見て、迷わず助けの手を差し伸べるのは日本人の優しさであり、それができる日本社会はそれだけ幸せだと言えそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

高齢者が目の前で倒れた! 「日本人の取った行動」を中国人が称賛するワケ