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「窓から別の景色が見られたらいいのに」と口にした妻の願いを耳にし、6年かけて360度回転できる家を造り上げた男性がいる。回転スピードが調整できるようになっており最も遅い速度では24時間かけて、最速ではなんと22秒で1周するという。珍しい家を見た人からは「目が回ってしまいそう」と心配の声も届いているが、男性はこの家の出来栄えに満足しているそうだ。『Metro』などが伝えている。

ボスニア・ヘルツェゴビナ北部スルバツ在住のボージン・クーシックさん(Vojin Kusic、72)は、妻リュビツァ・クーシックさん(Ljubica Kusic)が以前から口にしていた「リビングから別の景色が見たい」という願いを叶えてあげたいと考えていた。

3人の子どもを養っていたため時間的に余裕がなかったボージンさんだったが、子どもたちも大きくなって家業を継いでくれたことにより、ついに妻の願いを叶えるために動き出した。

ボージンさんの自宅は、畑や野原に囲まれた丘の上にある一軒家だ。この家は結婚当時、発明家ニコラテスラの影響を受けたボージンさんが寝室に日が当たるように設計してリュビツァさんと一緒に建てたものだという。しかし多くの時間を過ごすリビングルームが裏庭に面していたため、誰かが玄関から入ってくるのを見ることができず、リュビツァさんはこれが少し寂しかったそうだ。

都会に住む人から見れば広大な景色が羨ましい生活だが、リュビツァさんは変化に乏しい景色に長年囲まれ、飽きてしまったのかもしれない。

この問題を解決するため、ボージンさんは壁を壊して寝室とリビングルームを繋げて1つの大きな部屋にしてしまおうと考えた。そのためには電気の配線を変更したりと手間のかかる作業が伴ったが、ボージンさんは「これは多くのことが求められますし、大変な作業でした。しかし私は妻のためにやり遂げました」と愛する妻のために奮闘したと明かしている。

その後、息子の1人が結婚して同居することになり、上の階に息子夫婦、下の階にボージンさんとリュビツァさんが住むことになった。それから快適に住めるように再び自宅内の改装を始めたボージンさんだったが、この時にもリュビツァさんは色々と注文をつけたそうだ。

ボージンさんは「妻の不満を聞いたり、何度も改装するのに疲れてしまったから『回転する家を造ってあげるから、好きなように動かしなさい』と言ったんだ」と当時を振り返る。

建築や設計について大学などで学んでいなかったボージンさんは独学で知識を身につけ、6年かけて回転する家を完成させた。

赤茶色の屋根に鮮やかな黄緑色の外壁に囲まれたこの家は、コンクリートの土台の上に建てられた。そして約7メートルある軸を、古い軍用輸送車の電気モーターと車輪で動かしているという。

回転速度を調節することも可能で「最も遅い速度では24時間かけて1周し、最速では22秒で1周することができます」とボージンさんは明かした。

愛する妻のためとはいえ、6年もかけて回転する家を造り上げたボージンさんのアイディアには多くの人が驚いたようで「奥さんのためにここまでするなんてすごいよ」「目が回っちゃいそうだ」「ソーラーパネルにはもってこいのアイディアだね」「一日中太陽を浴びられるのは羨ましい」などのコメントが届いている。

ボージンさんは回転する家の出来栄えに満足しているようで、「もしリュビツァが迷惑な客がこちらへ向かっているのを見つけたら、家を回転させて追い返すことができるんだ」とジョークを飛ばしている。

画像は『Metro 2021年10月13日付「Man grants wife’s wish to choose her view, building incredible 360-degree rotating house」(Picture: Reuters/Dado Ruvic)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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