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 2018年、アルタイ山脈から5万年以上前の10代の少女の遺体が発見された。この少女が何者かはわからないが、奇妙なことに、彼女にはネアンデルタール人とデニソワ人のハーフであるかのような特徴があったのだ。

 古代の絶滅人類の異種交配ということで世界中の研究者たちに衝撃を与えたが、現生人類の先祖も絶滅人類とアバンチュールを楽しんでいたようだ。

 人工知能を使ったゲノム解析によると、現生人類が数千年前にアフリカからの長い旅路で遭遇し、交際した結果生まれた未知の人類の祖先の種が特定されたという。

【画像】 未知の先祖の正体がAIによって判明する

 アフリカを脱出し、ユーラシア大陸へと進出した現代人の祖先たち(ホモサピエンス)は、その道すがら、既にに絶滅した古代人種と刹那的な恋に落ちることもあった。

 これまでその相手として、ネアンデルタール人とデニソワ人が知られてきたが、どうも彼らのハーフとも3度目のアバンチュールを楽しんでいたようだ。

 2019年、スペインエストニアの研究グループが、AIの助けを借りて、古代人の遺伝子コードと現代人の遺伝子コードをより分けたところ、ネアンデルタール人とデニソワ人のハーフであると思われる、5万年以上前の10代の少女が、独りぼっちではなかったらしいことが突き止められた。

 タルトゥ大学のマユク・モンダル氏らは、ベイズ推定(統計的手法の一種)にAIのディープラーニングモデルを導入することで、ユーラシア人のDNAから3番目の元恋人を特定することに成功。

 その研究によると、特定されたグループは「ネアンデルタール人=デニソワ人系統」か、「初期にデニソワ人から分岐した系統」のいずれかで、アジア人とオセアニア人に「第3の遺伝子移入」が起きた証拠であるという。

・合わせて読みたい→ネアンデルタール人とデニソワ人。ふたつの違う古代人類から生まれた子供の骨が発見される

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太古の恋愛事情から知る現代人のルーツ

 ただし、これは最終的な結論ではない。

 モンダル氏は「私たちの見解は、最近デニソワで発見された混血の標本と一致しますが、ほかの可能性もまだ除外できません」と当時コメントしている。

 この分野には、まだまだ研究すべきことがある。人類の祖先を知るためにAIを使うのは新しい試みで、扱われている化石の数は驚くほど少ない。

 しかしアフリカからグレートジャーニーに旅立った私たちの祖先が、その旅先で出会った異種族とどのように交流したのか想像するのは楽しい。

 それは私たちが何者であるかについて知る手がかりにもなってくれる。

[もっと知りたい!→]人工知能がヒトゲノムの中で未知の祖先の痕跡を発見(スペイン研究)

References:Artificial Intelligence Has Found an Unknown 'Ghost' Ancestor in The Human Genome / written by hiroching / edited by parumo

 
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アジア人の祖先は三度目のアバンチュールを楽しんでいた。その相手は絶滅人類のネアンデルタール人とデニソワ人のハーフ