FA市場の目玉が先陣を切って残留宣言した。DeNA宮﨑敏郎内野手は29日、国内FA権を行使せずに、6年契約で残留することを表明した。

 「熱狂的なファンの前でプレーできるのもすごくうれしいし、ファンのみなさまと勝って喜びを分かち合いたいのが一番の理由です」

 右投げ右打ちで32歳の宮崎は、2017年に打率・323首位打者を獲得。2018年には打率・318で28本塁打と長打力も示した。今季は113試合の出場で129安打、打率・301、14本塁打、53打点と堅実で勝負強い打撃は衰え知らず。2018年には三塁でゴールデングラブ賞も受賞した。計算の立つ堅実な右の中距離打者として、宣言すれば争奪戦となるのは必至だった。

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 昨年は7選手がFA宣言。残留せずに移籍したのは3選手だけで、1人が海外FA宣言レッドソックスへ移籍したロッテ澤村拓一。残る2人はともにDeNAから巨人へ移った梶谷隆幸井納翔一だった。梶谷も井納も、移籍初年度の今季は期待を大きく裏切った。FA補強の難しさを物語るが、とはいえ他球団のスター級選手を獲得できる絶好のチャンスでもある。

 では今年のFA市場では宮﨑の他に、どんな選手が注目を集めているのだろうか。

 大きな注目を集めているのが、広島が誇る両先発右腕、大瀬良大地九里亜蓮の2人だ。

 大瀬良は今季23試合で10勝5敗、防御率3・07。昨季は右肘のクリーニング手術を受けるなど5勝4敗、防御率4・41と不本意な成績に終わった。今季は2年ぶりの2桁勝利に最終登板の完封で達し、規定投球回にも到達した。

 もう一人の九里は25試合に投げて13勝9敗、防御率3・81。阪神・青柳に並んで初タイトルとなる最多勝を決定的とし、低迷したチームにおいて奮投した。5月の集団感染の際に新型コロナウイルスに感染し一時離脱したが、自身初の2桁勝利でまた一回り成長した姿をみせた。

 両右腕とも、宣言すれば獲得に乗り出す球団は少なくなさそうだ。

 各球団のプロスカウト陣の調査が集中しているのは中日・又吉克樹。右のサイドスローリリーバーは、今季66試合で3勝2敗8セーブ33ホールド防御率1・28と安定した投球が続いた。

 又吉が注目されるもう一つの理由は、今季の推定年俸が4200万円で、獲得に伴い金銭や人的補償などが発生しないCランクであること。国内FA権を行使すると、選手は年俸によってA、B、Cと3つのランクに分けられる。これは所属球団での年俸順位で決まる。外国人選手を除き、球団内で年俸が1~3位の選手はAランク、4~10位の選手はBランク、11位以下の選手はCランクとなる。

 Aランク選手を獲得した球団は、所属球団に年俸の80%を支払うか、人的補償+年俸の50%。Bランクでは年俸の60%か、人的補償+年俸の40%を支払う。人的補償を含めた補償とするかどうかは、プロテクトリストを見た後に所属球団が選択できる。

 昨年のFA移籍選手でいえば、梶谷がBランク、井納はCランクだった。梶谷の獲得に伴い、人的補償として巨人から田中俊太DeNAに移籍した。
 他にも阪神・梅野隆太郎DeNA山崎康晃ソフトバンク嘉弥真新也、中日・祖父江大輔らが権利行使について注目されている。

 FA制度は選手が長いシーズン1軍で暮らすことで、ようやく手にすることができるもの。キャリアの中で行使するチャンス、タイミングは決して多くはない。各選手が後悔のない決断をしてもらいたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

DeNA・宮﨑がFA残留宣言 他に今年のFA市場の注目選手とは