先日、“とんかつそば”の夢を見ました。睡眠中まで食い意地が張っていると思われそうですが、夢の中の筆者はなぜか料理人で、「大きくてサクサクトンカツを蕎麦にのせたら絶対人気メニューになる!」とまるで世紀の大発見をしたかのように閃いたのでした。まどろみながら、すぐにメモしました。筆者はいつも枕元にメモ用紙を置いていて、夢を忘れないように書き留めておく習慣があるのです。

 しかし、覚醒してから見ると、毎度バカバカしい内容で、今回の「とんかつそば」も大したことないや、とすぐに忘れました。ところがその日、偶然通りかかった『名代富士そば 浜田山店』で、とある写真メニューを見かけて驚きました。夢で見たメニューにとてもよく似ていたからです。それが「東京名物 大きいカレーコロッケそば」(500円)。

浜田山店のショーウィンドー越しにみかけた「大きいカレーコロッケそば」。“ 立ち食いそば屋たちの逸品”と書いてあります
浜田山店のショーウィンドー越しにみかけた「大きいカレーコロッケそば」。“ 立ち食いそば屋たちの逸品”と書いてあります

 さすがに “とんかつそば”ではありませんが、 “カレー味のジャンボコロッケ”とか“ 立ち食いそば屋たちの逸品”と書いてあり、とても魅力的。これはひょっとしたら何かのお告げかもしれません。思わず吸い込まれるように入店してしまいました。

大きいカレーコロッケそばの魅力

 注文後、1~2分で「大きいカレーコロッケそば」が登場しました。トレーには15cmはあろうかという巨大なコロッケがのったお皿と、かけそばの丼ぶりが別々。てっきりコロッケが最初からのっていると想像していたので意外でしたが、むしろ「コロッケそば」好きには最高のおもてなしです。

 つまり、コロッケの食べ方は自由で、半分はそのまま食べて、もう半分はつゆに浸してもよし。今回は、夢に見たとんかつそばのイメージのごとく、最初からドカンとそばの上にのせてみることに。

こちらの『富士そば』は、おそばが乱切りで、コシが強いのが特徴です
こちらの『富士そば』は、おそばが乱切りで、コシが強いのが特徴です

 ビジュアルからして豪快でイイ! しかもコロッケが巨大なのでいつものコロッケそばとは違います。一般的な「コロッケそば」の場合、コロッケはのせた瞬間からズブズブと沈んでいき、短時間で衣はしっとり。コロッケに箸を入れようものなら、コロッケの身がつゆに溶け、たちまち丼の中はコロッケ汁に変化。あっという間にサクサクコロッケは姿を消してしまいます。

 しかし、このコロッケは巨大なので、半分は器からはみ出ており、衣のサクサク部分はしばらく安泰。すなわち、のんびり余裕を持って食べられるんです。

コロッケ半分は汁に沈んでも、上半分以上はカリカリ
コロッケ半分は汁に沈んでも、上半分以上はカリカリ

 それだけではありません。このコロッケはただ大きいだけではなく、カレー味。甘いおつゆに味が染みていくと、ちょっぴりスパイシー。もちろん、蕎麦との相性は言うまでもなく最高です。コロッケが大きいだけ? と最初は半信半疑でしたが、最後のひと口まで楽しめました。というわけで、この「大きいカレーコロッケそば」はかなり満足度が高い一品でした。

 ところで、今回、「大きいカレーコロッケそば」を食べてみて、夢で見た「とんかつそば」が、まんざら悪くないメニューに思えてきました。ありそうでない気がしますし、カレーそばにとんかつをのせたら、カツカレー風になってさらに良いかも…。どうでしょうか。

(撮影・文◎土原亜子)

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