“先の展開が読めない”というのは、最高なエンターテインメントだ。ドラマ界でも、考察ブームの火付け役になった『あなたの番です』(日本テレビ系)や、2020年放送の『テセウスの船』(TBS系)など、「誰が犯人なのか?」とハラハラさせる考察系ミステリーが、ヒットを飛ばしている。しかし、“恋愛”を題材とした作品は、なかなかスリリングな仕掛けを作りづらい。ポスターでメインに映る2人が、くっつく(であろう)ことは明白であり、結ばれるまでの“過程”を楽しむものが多いからだ。

(参考:【写真】「公認浮気」を追いかける恋愛番組

 そんななか、ABEMAの恋愛番組は、“恋愛”を題材にしていながら、実にハラハラとさせられる。とくに、10代・20代女性の7割以上が視聴している”と言われる「オオカミには騙されない」シリーズ。『今日、好きになりました。』や、『恋する週末ホームステイ』なども、先が読めない面白さがあるが、「オオカミ」シリーズは、とりわけ“考察”が楽しい。

 普通の恋愛番組と異なり、同シリーズには、必ず1人以上“恋をしない嘘つきオオカミ”が潜んでいる。つまり我々視聴者は、メンバーの恋を追いながら、「オオカミは誰だ!?」と“考察”していかなければならない。そのため、放送後のSNS上では考察合戦が巻き起こっており、YouTubeなどで考察動画をアップしている人もいる。“オオカミ”がいるからこそ、最終告白で風船を渡す瞬間(※オオカミではないメンバーは、OKなら風船を手渡す。オオカミであれば、風船を飛ばさなければならない)は、グッと息をのんでしまうのだ。

 24日に最終回を迎えた『虹とオオカミには騙されない』も、最後まで誰が“オオカミ”なのか、まったく見当がつかなかった。「まさか……」というメンバーが嘘をついている可能性もあるのが、「オオカミ」シリーズ。男性メンバーのなかに“オオカミ”が潜んでいることが明らかになったが、はたして誰なのか。まだ、最終回を見てない方はぜひその目で確認してほしい。

 また、離婚歴のある男女が、もう一度結婚に向き合う『セカンドチャンスウエディング』も、“リアルすぎる婚活番組”として話題を集めている。9月17日に配信スタートした同作では、男女19名が理想の相手に出会うために、“船上マッチング”に挑んでいる。一度、結婚したからこそのリアルな結婚条件や、芽生えた価値観。これから運命の相手に出会いたい! と思っている人にとっては、勉強になることがたくさんあるのではないだろうか。さらに、マッチングで成立したカップルは、“婚前旅行”に行ったあとに、夫婦になるか、別れを選ぶかを決めるのだが、“婚前旅行”に行ってから運命の告白をする……というのも、新しくて面白い。

 同じく、『隣の恋は青く見える』も新感覚な恋愛番組だ。同作は、パートナーへの不満や悩みを抱えるカップルが、お互い合意の上で“お試し破局”を行い、フリーになった状態でほかの男女と共同生活を送る……というもの。実際の恋愛では、ありえない設定なだけに、「どうなるのだろう?」とハラハラしてしまう。9月25日に放送スタートした新シリーズ『隣の恋は青く見える2』は、まだ先の展開が見えないが、前作では、「好きだけじゃどうにもならない」と別れを決意しようとしていたカップルが、“復縁”を希望していたこともあった。“お試し破局”というスリリングなテーマに、復縁するか、別れるか、新しい恋に進むか? という身近な問題を合わせることで、視聴者の目を惹きつけている。

 そして、人気シリーズ『恋愛ドラマな恋がしたい』(以下、『ドラ恋』)は、31日に新作『恋愛ドラマな恋がしたい~Kissing the tears away~』がスタートする。『ドラ恋』は、俳優と女優がキスシーンのある恋愛ドラマの撮影をしていく上で、恋が生まれるのか? というのを追う恋愛番組。番組内でするキスは、本気なのか? 演技なのか?ーー。その些細な変化を読み解いていくことや、普段は見ることがないキスシーンの“裏側”を見る背徳感。さまざまな要素が組み合わさって、多くのファンを集める人気シリーズヘと成長した。

 ABEMAの恋愛番組が、熱狂的な視聴者を生み出している理由は、“先の展開が読めない”スリリングさや、そこから生まれる好奇心にあると思う。シリーズが始まるごとに、毎週のお楽しみになってくれるABEMAの番組たち。「続きが気になる!」とハラハラしながら、それぞれの番組で奮闘するメンバーたちの恋の行方を追っていきたいと思う。(菜本かな)

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