株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘)が提供するサービス『マチリク』では、採用・育成・定着を「個社単位」で行うのではなく、複数の企業や自治体と協力し「地域ぐるみ」で行う「コミュニティ・リクルーティング」を提供しています。移住して地方企業で働く人を「地域ぐるみ」で獲得し、企業の垣根を越えて横のつながりを研修等でつくることで「地域同期」のコミュニティを創出、職場での活躍と地域への定着の支援につながっています。
『マチリク』の取り組みは、東日本大震災によってより深刻な人手不足となった東北・三陸地域での新卒採用・育成支援プロジェクト「StartingOver 三陸」として2014年からスタートしました。2018年には名称も『マチリク』に変更しサービス形態を発展。現在、宮城県気仙沼市兵庫県但馬地域、愛知県豊明市香川県小豆郡、愛媛県宇和島市の5つの地域で取り組みは続いています。
少子高齢化や人口減少など、地方創生に関する課題は深刻化しています。地方創生に取り組む『マチリク』では地方の雇用問題に多くの課題があることが見えてきました。例えば、地方企業は、多様な働き方の受け入れ態勢が都市部の企業に比べると万全ではないことが多く、「移住したい」「地方企業で働きたい」という方々の採用・育成・定着に課題が山積しています。「希望する求人や働き方に多様性はあるのか?」「地元のコミュニティになじめるのか」などの不安を感じている方が多いのが現状です。
『マチリク』では、それぞれの不を解消するため、個社情報だけでなく地域の複数の企業情報や「暮らし」の情報を提供しています。移住や地方就業を希望する方のサポートを行い、企業の垣根を越えて横のつながりを研修などでつくることで「地域同期」のコミュニティを創出、地方企業の受け入れ態勢整備に向けたアドバイスを行うなど、地域雇用の活性化を目指す取り組みを推進しています。


東北地方の転職者数増加 『マチリク』でも中途採用に取り組みを拡大
新型コロナウイルスの感染拡大は雇用市場にも打撃を与えましたが、転職市場では 1 回目の緊急事態宣言時(2020 年 4 月)を底として、以降は明確な改善基調が続いています(参考:リクルート「2021年度上半期中途採用動向調査」 https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20211005_hr_01.pdf )。この状況は東北地方でも変わらず、リクルートエージェントを利用して転職した方の人数を見ても増加していることが分かります。2020年度より、需要が高まっている即戦力人材の採用をご支援するため、『マチリク』でも中途採用向けのサービスを開始致しました。

レターでは、気仙沼市太陽光発電・再生可能エネルギーの普及事業を手がける株式会社パートナーズの取り組み、そして『マチリク』を通じて同社へ中途入社した方の事例をご紹介致します。


■『マチリク』から生まれた絆
気仙沼市太陽光発電・再生可能エネルギーの普及事業を手がける株式会社パートナーズ
株式会社パートナーズ
代表取締役・澤井 仁さん

—— 創業から現在に至るまでの経緯をお聞かせください。

2006年、弟の貴明、妹の律子との3兄妹で会社を立ち上げました。当初は水産業の課題を解決する事業を構想していましたが、縁あって太陽光発電事業を開始。2010年1月に京セラソーラーのFC承認を受けました。ところが、軌道に乗った矢先に東日本大震災が発生し、当社事業所も大打撃を受けたのです。
気仙沼の基幹産業である水産業は壊滅的な被害を受け、多くの人が職を失いました。さらに家、家族まで失った方々は、生きる目的まで失ってしまった。
そうした中、先輩経営者の皆さんと対話を重ね、「地域復興のために私たちがやるべきことは、産業の創出と雇用の創出だ」と決意して動きだしました。
私たちが手掛けていた太陽光発電事業の意義も、改めて感じました。震災直後は電気の供給が途絶えましたが、太陽光発電はお日さまさえ出れば電気を生み出し、生活の基盤を支える。その価値を特に実感したのは、電気が復旧した瞬間です。自分たちも町の人々も、大きな喜びに包まれ、「また頑張ろう」という勇気が湧き上がってきました。単なる「電気エネルギー」ではなく「生きるエネルギー」であることを強く感じ、この事業への思いを新たにしました。
今は世界的に、そして日本でも政府が方針を打ち出したように、「脱炭素社会」へと大きくかじを切っています。社会的な意識の高まりに伴い、私たちパートナーズにも多くのお問い合わせを頂いている状況です。

——「人材採用」に対しては、どんな考えを持っていらっしゃいますか?

商品への問い合わせやご依頼は増えていますが、それに対応するために人員を増やそう…という考えはありません。それは既存メンバーで十分対応可能ですから。
私たちの採用は、2030年2050年と、先を見据えての採用です。会社の未来を創っていく人を迎えたいのです。
採用選考では、その人の「良しあし」を評価するのではなく、「この人はどんな仕事・ポジションで生き生きと活躍できるだろう」とイメージしながらお話ししています。一人ひとり、いろんな強みを持っていると思うので。
挑戦しようとしている人、自分の「思い」を持っている人と一緒に働きたいと考えています。

——採用活動に当たり、『マチリク』に参加いただきました。どんな点にメリットを感じられましたか?

以前の採用活動は、合同企業説明会、学校訪問、学内説明会などを通じて行っていました。しかし、県内の採用活動は仙台市が中心で、多くの学生さんが仙台市内での就職を希望します。気仙沼での就職意向がある方には、1年に一人会えるか会えないか、という状況でした。
その点、『マチリク』なら、最初からこの町に興味がある人が集まってきてくれます。1社だけでは引きが弱いけれど、複数の会社が参加しているので注目もされやすい。最終的にうちの会社に入社しなくても、地元のどこかの企業に入社してくれれば、町にとっていいことですよね。
イベントでは、15人~20人ほどの学生さんとグループでお話ししました。宮城県以外の出身の方も多数。皆さん、「すごく真剣に自分の人生を、将来を考えているな」という印象を受けました。
また、地域課題を共有する他の会社さんと一緒に参加するので、連帯感や仲間意識も感じられ、心強かったです。
イベント中は、他社さんの話し方、見せ方なども学べて、大きな刺激になりました。「いいな」と思ったプレゼン手法は取り入れさせてもらっています。自社をより魅力的に見せるため、切磋琢磨(せっさたくま)しながら自社を磨いていける点でも、参加した価値がありました。

——『マチリク』を通じて、すでに3人の方を採用されています。どんな方が、どのように活躍されていますか?

一人目は2019年に採用した新卒の女性。東京出身のIターン移住者です。当社の新しいチャレンジである「ソーラーシェアリング」(農業×太陽光発電)事業のほか、さまざまな業務をこなしています。社内業務の可視化やデータのとりまとめなど、環境整備も率先して進めてくれました。
彼女は『マチリク』主催の「2021年卒向けインターンシップ」の運営にも協力し、参加した学生さんのメンター役を務めました。「東京から気仙沼へ移住・就職した先輩」としての姿を見せることで、参加者の皆さんに「移住」という選択肢をリアルに感じてもらえたと思います。
二人目は、2020年夏・冬合同インターンシップに参加してくれた盛岡出身の学生さん。2021年4月に入社しました。半年間は施工現場を経験して事業への理解を深め、10月からはマーケティングを担当しています。
2021年5月には、大手飲料メーカーで営業をしていた方に中途入社いただきました。最初の半年間は施工現場を経験しながら、広報の仕事にも携わってもらっています。

——「地域への貢献」に対する思いをお聞かせください。

気仙沼をより活気にあふれた、エネルギッシュな町にしていきたいです。移住・定住に限らず、時折立ち寄ったり関わったりしてくれる「交流人口」を増やせるといいですね。港町ですので、多くの人にとって「心の港」の一つになれれば。その受け入れの土壌をつくることに、「採用」を通して貢献していきたいと思います。
私たちと一緒に働く仲間には、「自分がどう生きたいか」を自分に問い掛けながら、自分の人生を設計して歩んでほしいと思っています。自分の生き方にしっかりと向き合う人たちが集まって、いろいろなチャレンジをしていく会社であり続けたい。それにより、地域を元気にする会社・人になることを目指します。


■『マチリク』から生まれた絆 ご活躍の社員の紹介
パートナーズに中途入社・移住した
小原 優さん

——パートナーズへ入社するまでの経緯と、入社後の活動をお聞かせください。

仙台市内で生まれ育ち、仙台の大学を卒業。2019年に大手飲料メーカーに新卒入社し、青森に配属されました。もともと宮城勤務を希望していたのですが、転勤できる見込みがなく、転職を決意したんです。
婚約者が住む気仙沼での就職を考え、『マチリク』に参加。5社ほどとお話しし、自分が目指したいことに一番近かったパートナーズに入社を決め、移住しました。

入社後半年間は、いわば研修期間として施工現場の仕事を経験。一方で、新聞広告やチラシの作成など、広報の仕事にも携わっています。最初はお手伝い程度でしたが、だんだん興味が湧いてきたところ、社長から「やってみないか」と。
未経験だったので戸惑いもありましたが、「思うがままやっていい」と言っていただき、試行錯誤するうちに、面白く感じるようになりました。近々、会社から新聞を発行するので、そちらも任せていただいています。
入社してまだ4カ月ですが、前職の頃と比べて、いろいろなことに挑戦するようになりましたね。社長や専務をはじめ、上の方々が背中を押してくれるので、「これをやってみたい」と発信するようになりました。

——気仙沼市への移住を決意した決め手は何でしたか。また、地域に対してどんな思いを抱いていますか?

婚約者が住む町であることが大きな動機ではありましたが、「自分たちが住む町を創っていく」取り組みへの興味が強かったんです。
そして、気仙沼に対しては、恩返ししたい気持ちもありました。
大学時代、所属していたサッカー部の監督がボランティアに意欲的な人で、合宿地に気仙沼を選んだんです。震災から6年ほどたった頃でしたが、仙台に比べれば復興はまだまだ。最初に町の風景を目にしたときには、気持ちがどんより沈み、「見たくなかった」「早く帰りたい」と思いました。
けれど、町の人たちと交流すると、皆さん温かく、つらい体験をしても前向きに捉えている人が多くて…とても励まされたんです。

今年、何年かぶりに気仙沼を訪れ、かなり復興が進んだと感じました。そして、以前と変わらない「人の温かさ」を改めて実感しました。人々が温かいのは、震災を乗り越えたからだと思います。
この町を、同世代の仲間たちと力を合わせて興していく。その取り組みに魅力を感じたから、移住を決意できました。
気仙沼市はまだまだ発展途上。でも、自分たちと同じ思いを持つ人がもっと増えていけば、仙台とまではいかないまでも、同レベルの町へ発展できる可能性を秘めていると思います。そのためにはまだまだ人が足りないので、もっと仲間を増やしたいですね。
そして、個人的にはいつか、移住者を助けるような事業を起したいと考えています。


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