NODA・MAP番外公演『THE BEE』(演出:野田秀樹、原作:筒井康隆 ~「毟りあい」(新潮社)より~、英語脚本:野田秀樹&コリン・ティーバン、日本語脚本:野田秀樹)が2021年11月1日(月)、東京芸術劇場シアターイーストで開幕した。東京公演は12月12日(日)まで、その後、12月16日(木)~12月26日(日)大阪・ナレッジシアターでも上演する。

公演初日を終えて発表された出演者たちと野田秀樹のコメントを以下に紹介する。

NODA・MAP番外公演「THE BEE」(撮影:篠山紀信)

NODA・MAP番外公演「THE BEE」(撮影:篠山紀信)

◎阿部サダヲコメント

今まで何回か通し稽古をやって来ましたけど、今日が一番良かったです。最初にゴムがパンッ!て切れて、それで皆が結束したように感じましたね。妙に燃えたと言いますか。「失敗するとすぐ顔に出る」ってずっと野田さんに言われていたので、絶対そうならないように皆頑張ろう!って高校生みたいな気持ちでやった、県大会初戦みたいな初日でした。通し稽古を多くやって来たおかげで、舞台上では何が起こるかわからないということを十分経験して、今は何が起きても大丈夫になりました。もはや客席で何が起きても大丈夫なようにそろそろなって来ていますので、客席で何か起こしてもいいです。嘘です。ぜひ集中してご覧いただけたらと思います。 

◎長澤まさみコメント

通し稽古を何回もやってきたこともあって、初日という感覚があまりなく、冷静に集中できてよかったなと思っています。稽古で積み上げて来たものを、いつも通りにやること。それを目指してやっていったらゴムが切れて、その瞬間に皆が一致団結した感じがしました(笑)。私、2012年に『THE BEE』が上演された時に「絶対に観たほうがいいよ!」と言われたのに、見逃してしまったんですね。まさか自分がやることになるとは思わず……。その後悔を私は知っているので、ぜひたくさんの方に観に来てほしいなと思います。チケットが取れなくて大変だとは思いますが、当日券があります!なぜ観なかったんだろう……ってずっと悔いていた私が強くお勧めいたします。

◎河内大和コメント

カーテンコールのお客様のエネルギーに圧倒されて、それに感動してしまいました。前回の2012年の『THE BEE』を観て「とんでもない作品だ!」と思った僕が、こうしてその舞台に立てている。本当に恐ろしいような、夢のような、震えっぱなしの初日でした。75分でこんなすごい体験ができることってほかにはないと思うので、これはとにかく観るしかないですよ(笑)。普段から演劇を観ていらっしゃるお客様もそうですが、演劇を観たことがない人がこれを観たら、ちょっと、もう、えらいことになっちゃうんじゃないかと。「演劇ってすごく想像力が豊かになって、カッコよくて、シビれる!」と思っていただけると
確信しています。 

◎川平慈英コメント

今回のような負のスパイラルに嵌ったダークな役柄は初体験で、僕にとってはチャレンジングな芝居です。何か新しい引き出しを見つけられたんじゃないかなと思えて、本当に感謝ですね。初日はもっとナーバスになるかなと思っていたんですけど、劇場での通し稽古が充実していたので、今日、僕はとても楽しめました。俯瞰して見ていた自分が「慈英、お前は幸せだな〜」って(笑)。最後まで丁寧にやっていきたいですね。非常に厳しいけれど、あえて今、必要なメッセージを出せている舞台だと思います。本当に10秒に1回、とんでもないことが起こるので、僕たちと一緒にとんでもないことを目撃しましょう。劇場でお待ちしています。 

◎野田秀樹コメント

この作品がこれまで積み重ねて来たもの、それを的確にやれている役者さんとスタッフさんがいて、とにかく完成度の高い作品になりました。……で、ありながら!毎日何かしらのハプニングが起きることも内包されている舞台です。今日はゴムが切れました(笑)。そうしたことも含むのが演劇というものです。決まりごとをやっていくものではない。完成度が高いのに、絶対に完成しない。やっぱり優れた、海外に通用するクオリティを持った作品だなとあらためて思いましたね。これは、観ておいたほうがいい。若い演劇人はとくに観ておいたほうがいいんじゃないかな……って上から目線で恐縮ですが、本当に観ておいたほうがいいと思います。

NODA・MAP番外公演「THE BEE」(撮影:篠山紀信)