現在、「日本最強の投手」と呼んでも、異論は出ないことでしょう。

 昨年25年ぶりのリーグ優勝を牽引し、見事に「投手5冠」に輝いたオリックス山本由伸投手です。

 最多勝(18)、最優秀防御率(1・39)、最多奪三振(206)、最高勝率(7割8分3厘)、最多完封(4)と異次元の成績。「投手5冠」は2006年のソフトバンク斉藤和巳以来、史上8人目で、球団史上初の快挙となりました。

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 だがしかし-。

 宮崎・都城高校時代の山本は好投手として名を馳せていましたが、2016年のドラフト会議では全体37番目の指名、オリックスの4位で入団しています。

 つまり他の11球団はあの年のドラフトで3度、山本由伸を指名するチャンスを得ながら、ミスミス逃したことになるのです。

 あの時、由伸を獲れていれば-。そう夢想する11球団のファンも多いことでしょう。それでは山本由伸よりも高評価を得た投手にはどんな名前があったのか、少し意地悪ですが検証してみます。

創価大・田中正義
 昨季は自身プロ入り後最多の18試合に登板し、勝敗なしの1ホールド防御率2・16とキャリアハイの成績を残しました。あの年の1位では5球団が競合し、ソフトバンク入り。右肩や右肘のけがに悩み、思うような成績を残せていませんが、強いストレートや変化球の切れは文句なし。今後の巻き返しに期待です。

履正社寺島成輝
 高校時代は甲子園を沸かせた世代最強サウスポー。しかしドラフト1位でヤクルトに入団後は、2020年こそ30試合に登板し、プロ初勝利となる1勝0敗3ホールド防御率2・48と開花の兆しを見せたものの、チームが優勝の歓喜に沸いた昨季は1軍で1試合の登板にとどまり、本格的なブレイクは持ち越されました。

 本来ならエース左腕になれる逸材。背番号18に恥じない活躍を燕党の誰もが願っています。

東芝・谷岡竜平
 即戦力の呼び声高く巨人のドラフト3位で入団。プロ2年目の2018年に25試合に登板し、初勝利を含む2勝1敗2ホールド防御率5・76をマークしました。

 さらなる飛躍を期待された19年はキャンプ直前に右肩痛に襲われ、診断結果は「右肩関節唇損傷」。その後は育成契約になりましたが、見事に復帰登板を果たすなど、敢然復活を目指して、一歩一歩突き進んでいます。

 この年では支配下で指名された86人中、84番目のドラフト9位でDeNAから指名された明大・佐野恵太が主力打者に成長し、85番目で楽天から指名されたJX‐ENEOSの左腕・高梨雄平が巨人に移籍後、ブルペンに欠かせない役割を担うなど「下剋上組」の活躍が際立ちます。

 数年後、「由伸級」の活躍を見せるかもしれない逸材が、4位以下で静かに牙を研いでいるかもしれません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

2016年ドラフトで山本由伸よりも高評価だった投手たちの現在地