中国共産党機関紙・人民日報系日刊紙の環球時報は31日付で、中国大陸との「サービス貿易協定」の問題などで馬英九政権批判を続けている台湾の学生らの動きを「民主を路上に投げ捨てるもの」と非難する記事を掲載した。、同記事は、協定に反対する台湾人を、“おバカさん”と表現した。

 環球時報および系列のニュースサイトである環球網は愛国論調が目立つメディアだ。西側諸国の民主主義についても通常は、「よいものではない」、「中国が受け入れる必要はまったくない」などと主張する。

  しかし、3月中旬に本格化した台湾おける「反馬英九」の動きについては、「民主を叫ぶ学生なのに、どの民主と法治の標準に照らして、騒いでいるのか」と批判。「学生の動きは台湾の民主を『路上に投げ捨てた』としか言えない」と、民主制度を「貴重なもの」であるような論調で、台湾の学生を非難した。

 サービス貿易協定については、「台湾に対して有利だということは、(野党であり、同協定に反対する)民進党もよく分かっている」と決めつけた上で、「反対運動の悲劇性はここにある。台湾の学生は、台湾(当局)が何かしようとすると、必ず反対し、悲憤慷慨する」と主張した。

 台湾経済については「長期わたり停滞」と指摘し、「その根源は、台湾が大陸との経済協力に真に取り組む度胸がないからだ」と主張。同時に「韓国に大きく水を開けられた」、「(自由貿易協定で原則合意するなど、中国との提携を強化しつつある)韓国は、台湾のようには心配していない」と、韓国を“大絶賛”した。

 さらに、馬英九政権に反対する台湾の人々を「台湾の学生と学生を支持する者の力量では、大陸との経済協力に取り組めないという病根を正視することができない」、「サービス貿易協定にケチをつけることで、台湾の前途に対する困惑と恐怖をまぎらわしている」、「このような情緒の排泄は、理性に全く欠くもので、不景気の際に時おり発生する、独特なヒステリーに支配されている」と酷評した。

 台湾社会について「格差が拡大している」、「貧しいものはますます貧しく、富めるものはますます富んでいく」と論じ、「台湾に、この直面する難題を解決する力はない」、「一部の者が、人の目をくらますスローガンを叫び、聞いているだけ」と、論評した。

 まるで、自国の問題点を指摘しているような、不思議な論調だが、かまわず掲載した。

 台湾ついてはさらに、「経済と総合実力で、世界と競争する力はない」、「イデオロギーを地域や全世界と競争する道具と看板にしている」と批判。「物事を処理する際に、自分の利益だけを考える」、「現在みられるように、商売をする際に、政治を“司令官”とする台湾は、全地球化が進む時代における“おバカさん”」と表現した。(編集担当:如月隼人)

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◆解説◆
 IMFの推計によると、台湾の2013年における経済成長率は2.19%。2009年マイナス1.81%、10年は10.76%、11年は4.07%、12年は1.32%で、そう楽観できない状況が続いているのは事実だ。

 ただし、台湾のGDPは約4740億ドル(2012年、名目。以下同じ)で、1人あたりGDPは2万336ドル。一方の大陸はGDPが8兆2210億ドルで、1人当たりGDPは6071ドルだ。人口規模などを考えると、環球時報が強調するほど、台湾経済が落ち込んでいるわけではない。

 スイスに本部を置く国際経済フォーラム(WEF)が制度、インフラ、教育などの組み合わせて算出する国際競争力ランキング2013年)では世界12位(日本は9位、中国は29位)だ。

 同じくスイスの国際経営開発研究所IMDが経済、財政、インフラなどの分野についての評価で、グローバル企業にとってのビジネス環境を算出する経済競争力ランキング2013年)でも、台湾は第11位(日本は24位、中国は21位)にランクインした。いずれも中国よりもかなり高く評価されている。(編集担当:如月隼人)