今年の秋は小麦粉やコーヒー、電気代やガス代などの値上げが続いています。一方で、国税庁の「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」によれば、日本人の平均給与は433万円(前年比0.8%減)。なかなか給与が上がらない最中の値上げに、家計への影響を不安に感じる方も多いでしょう。

長引く不況やコロナ禍において、収入を上げることは簡単ではありません。そこで考えたいのが、節税をして手取りを増やすことです。

そろそろ年末調整の時期ですが、今まで「なんとなく手続きしていた」という方もいるでしょう。なんとなく、はもう今年でおしまいにしませんか。本来取り戻せる税金を取り戻せず、損をする可能性もあるのです。

年末調整の季節は、自分の「お金事情」について改めて考える良い機会です。年末調整の基本と、特に確認したい4つの控除をみていきましょう。

会社員や公務員などが毎年おこなう「年末調整」とは

年末調整とは、その年の会社員や公務員などの方が給与・賞与から天引きされている税額と、本来納めるべき税額を再計算して、過不足を精算する制度です。

過不足が出る理由は、人によってさまざま。たとえば毎月引かれている税額は、年間を通して給与額に変動がないものとしていますが、実際には年の途中で昇給するなど変動することもあるでしょう。

また、結婚・出産で扶養家族が増えたり、生命保険料や地震保険料を払っていたりすると、控除が受けられます。控除を受けることで、所得税が安くなります。

先程の調査では、給与所得者数5245万人のうち、年末調整を行った人は4854万人。2020年は9割以上の給与所得者の方が年末調整を行っています。

年末調整は、給与所得者より各種控除の申請をしてもらい、年税額を計算して過不足を精算します。払った税金の超過分は、年末調整を行った月に還付されます。不足分についても、年末調整をする月の給与から差し引き、不足額が残る場合はその後の給与から順次差し引かれます。

年末調整について知り、きちんと申請をおこなうことで、節税対策もおこなえるでしょう。

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年末調整で特に確認しておきたい4つの控除

それでは、年末調整で受けられる控除の中でも、特に確認しておきたい4つの控除の対象と控除額をみていきましょう。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下の方が対象です。

また、対象となる配偶者は、その年の12月31日に以下の4つすべての条件に当てはまる方です。

  • 民法の規定による配偶者(内縁関係の人は該当しない)

  • 納税者と生計を一にしている

  • 年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

  • 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていない。または、白色申告者の事業専従者でない

それぞれの控除となる金額を見てみましょう

納税者本人の合計所得金額:一般の控除対象配偶者・老人控除対象配偶者(※)

  • 900万円以下:38万円・48万円

  • 900万円超950万円以下:26万円・32万円

  • 950万円超1000万円以下:13万円・16万円

※老人控除対象配偶者とは、対象となる配偶者のその年12月31日現在の年齢が70歳以上の方

配偶者控除の適用がない方で、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下、かつ配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の方などは、「配偶者特別控除」を受けることができます。

控除額は納税者や配偶者のその年の合計所得金額により異なり、最大で38万円です。

なお、妻が働いていても、産休・育休中は年収によって配偶者控除や配偶者特別控除の対象となる場合があるので確認しましょう。

生命保険料控除

定期保険や学資保険、医療保険、がん保険、個人年金保険など、生命保険に加入されている方は多いですよね。

生命保険料控除は、「一般の生命保険料」と「個人年金保険料」は旧契約なら最高5万円、新契約なら最高4万円、両方の場合は最高4万円まで(※)。「介護医療保険料」は、新契約のみ最高4万円まで。合計で、最高12万円まで控除の対象となります。

※旧契約とは、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等。新契約とは、平成24年1月1日以降締結した保険契約等。

10月に保険会社から郵送で届く「保険料控除証明書」をあわせて会社へ提出しましょう。

残りの2つの控除は?

残りの2つの控除を見ていきます。

扶養控除

扶養控除の対象となるのは、次の4つをすべて満たす、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人です。

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)。または、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人。

  • 納税者と生計を一にしている。

  • 年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。

親族の範囲は、6親等内の血族と3親等内の姻族と広くなっています。たとえば両親だけでなく、配偶者の親なども含みます。

また、扶養親族の区分により、控除額が異なります。

  • 一般の控除対象扶養親族(その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人):38万円

  • 特定扶養親族(その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人):63万円

  • 老人扶養親族(その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人):同居老親等以外の者・48万円。同居老親等(納税者またはその配偶者の父母・祖父母などで、納税者またはその配偶者と普段同居している人)・最大58万円。

子どもは16歳を超えれば扶養家族になります。19歳以上23歳未満は控除額が上がるので、忘れずに申請しましょう。

小規模企業共済等掛金控除

iDecoや企業型DC(企業型確定拠出年金)、小規模企業共済などは、掛け金が全額控除になります。最近では、老後資金の準備でiDecoを利用されている方もいますよね。国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届くので、忘れずに控除を受けましょう。

また、老後資金の準備を考えている方は、節税対策も兼ねてこれらを利用するのも一つでしょう。

控除の中にはわかりにくい内容もありますが、一度学べば毎年の年末調整をしっかり行えたり、節税対策ができたりする場合もあります。

値上げが続家計が苦しくなりがちなこの機会に、今一度年末調整について調べてみてはいかがでしょうか。

参考資料