ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社は、同社の親会社Unityが、映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『猿の惑星創世記』などで視覚効果を担当したVFX会社Weta Digitalを買収すると発表した。

 買収は2021年度第4四半期に完了する見込みで、将来的にはWeta DigitalのVFXツールは、ゲーム業界や一般ユーザー向けに提供する意向だという。

 Weta Digitalは、ニュージーランドにあるVFX(視覚効果)制作会社だ。

 もともと『ロード・オブ・ザ・リング』で知られる映画監督のピータージャクソン、特殊効果クリエイターのリチャード・テイラー編集者兼プロデューサーのジェイミー・セルカークによって設立された。

 1994年の『乙女の祈り』を皮切りに、ロード・オブ・ザ・リング』シリーズではアカデミー視覚効果賞を受賞『キング・コング』アバター猿の惑星創世記ゲーム・オブ・スローンズ』、『アベンジャーズシリーズなど多岐に渡る映画の視覚効果を担当している。

 今回のそのWeta Digitalを、ゲームエンジンUnity」で知られるUnityが16億250 万米ドルで買収する意向を発表。買収は2021年度第4四半期に完了する見込みだ。

 またこれまでWeta Digitalで使われていたVFXツールやVFXテクノロジーは、専門のVFXアーティストだけでなく、ゲーム業界をはじめ一般ユーザー向けする提供するという。

 発表とあわせて公開された動画では「ゲームや映画だけでなくメタバース、そしてその先へ」と言及し、エコシスステムを作りたいと述べている。

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 プレスリリースは以下のとおり。

リアルタイム 3D プラットフォームで世界をリードするユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社(東京都中央区、代表取締役 堀田徹哉、以下 当社)は、親会社であるUnityが Weta Digital のツール群、パイプライン、テクノロジー、エンジニアリング人材買収の最終合意に達したことを発表しました。Unityリアルタイム 3D(RT3D)コンテンツを制作して運用するための、世界をリードするプラットフォームです。この買収は Weta 独自の高度なビジュアルエフェクト(VFX)ツール群を、世界中のクリエイターとアーティストに届け、さらにツール群が Unity プラットフォームに統合された暁には、次世代の RT3D を生み出し、メタバースの未来を形作ることを目的としたものです。

Weta Digital は Unityクリエイト・ソリューションズ(Create Solutions)部門に加わり、Manuka、Lumberjack、LokiSquidBarbershop、HighDef、CityBuilder を始めとする Weta Digital の所有する数々のグラフィックツール、VFX ツールの機能向上に努めていきます。将来的には、RT3D に対する Unity の高度な知見を用いて、これら世界的なアーティスト用ツールがクラウドベースのワークフローで利用可能になるでしょう。

アカデミー賞受賞で知られる Weta Digital VFX チームは、WetaFX の名称で独立会社として存続し、メディアおよびエンターテインメント業界における Unity 最大の顧客となることが予測されています。WetaFX は引き続き Sir Peter Jackson が株式の過半数を所有し、Prem Akkaraju が CEO を務めます。

Weta Digital 会長兼共同創業者の Sir Peter Jackson は次のように述べました。「Weta Digital のツール群は私たちの想像の中にしか存在していなかった世界と生き物に息を吹き込むうえで無限の可能性をもたらしてくれました。Unity と Weta Digital が力を合わせることで、あらゆる業界のあらゆるアーティストが Weta Digital のクリエイティブで強力なツールを生かせるようにするための道を切り開けるでしょう。躍進を目指すクリエイターたちに Weta Digital のテクノロジーを提供することは、まさに世界を変えます。そして Unity こそが、そのビジョンを実現する企業に他なりません」。

Unity 社長兼最高経営責任者(CEO)John Riccitiello は「Weta Digital の業界をリードするツールを幅広く利用可能にし、Sir Peter Jackson 氏の才能と Weta 社のエンジニアリング能力を全世界のアーティストのもとに届けられることが楽しみでなりません」と述べ、次のように続けました。「Unity と『アバター』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ワンダーウーマン』を始めとする世界最高峰の映画作品のキャラクターと舞台を生み出した Weta Digital のツールテクノロジーが組み合わさることで、目を見張るような RT3D コンテンツを構築、編集、配信する全く新しい世代のクリエイターも出てくることでしょう」。

Weta Digital はビジュアルエフェクトとアニメーションの第一級のクリエイターにしてイノベーターです。芸術的ビジョンを追求する中で可能性の地平線を押し広げ、『アバター』、『ブラック・ウィドウ』、『ゲーム・オブ・スローンズ』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『PLANET OF THE APES/猿の惑星』、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を始めとする、数々の受賞歴を誇る幅広い映画作品やテレビ作品のために高品質かつ極めてリアルな人物、オブジェクト、世界の描写を実現してきました。Weta Digital は世界的な VFX アーティストとエンジニアのチームの力を借りて、この偉業を達成しています。チームは非常に高度なアーティストパイプラインとツールセットの構築に貢献し、フェイシャルキャプチャとマニピュレーション、解剖学的モデリングアドバンスドシミュレーション、移動物体のデフォーメーション、髪の毛と毛皮のプロシージャルモデリングを始めとする数々の技術を実現してきました。それらは 20 年以上にわたり、数千ものショットの何百というプロップにインスピレーションを受け、開発され、磨き上げられてきたものです。

「世界的なツールテクノロジーをクリエイターに届けるうえで Unity に勝るものはありません。Unity と力を合わせることで、高い評価を受けている Weta Digital の比類なきハイエンドアーティストパイプラインとツールを、これまでよりも遥かに幅広いアーティスト層に届ける機会が得られます」と Weta Digital の CEO、Prem Akkaraju は述べます。「Weta は常に次世代のクリエイターに刺激と意欲を与えることを目標にしてきました。その役目が Unity に引き継がれることは喜ばしいことです。私には、今後さらに多くのコンテンツが『アバター』や『ゲーム・オブ・スローンズ』と同等のリアルなビジュアルを持つ未来が見えています。Unity はこの未来へと私たちを導いてくれる理想的な企業です」。

この合意により Unity は以下を取得します。
・Weta Digital のツール群とコアパイプラインの設計、構築、保守管理を手掛ける Weta の世界的なエンジニアリング人材 275
・Weta の誇る制作パイプラインにシームレスに組み込まれた Manuka、GazeboBarbershop、Lumberjack、LokiSquidKoru を始めとする業界最先端のツール
数百名のアーティストによるシームレスな共同作業を容易にする、連携性を備えた 3D アート制作のための基礎的データプラットフォーム
・今後の WetaFX チームによる世界的な VFX の制作を通じてさらに拡充される膨大な高品質アセットライブラリ

「一つの統合されたパイプラインをベースに数十のツールが作られているという点に、Weta Digital の優れた設計が表れています。それぞれ単独でも比べるものがないほど強力なツールですが、一つの完成されたプラットフォームを構成することで弊社の能力が飛躍的に向上し、アーティストが想像力を形にし、連携して仕事をすることがかつてないほど容易になります」とシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー(Unity クリエイト・ソリューションズ(Create Solutions)担当)の Marc Whitten は述べます。「私たちのコンテンツクリエイターのためのパイプラインをさらに進化させていく中で、これらのツールが可能にするアートの地平線を押し広げ続け、その能力を VFX、エンターテインメント、やがてはゲームやその他の分野のアーティストの手にもたらすため、WetaFX と密接な取り組みができることに喜びを隠せません」。

Unity と Weta Digital は、高度なコンテンツ制作ツールとクラウドベースの SaaS(サービスとしてのソフトウェア)サブスクリプションモデルにより、増え続けるゲーム開発者、アーティスト、そして数百万の潜在的なコンシューマークリエイターを支援していきます。この極めてリアルな表現を実現するツールとアセットをクラウド化することで、Unity と Weta Digital は、既に慣れ親しんだ制作環境はそのままに、驚くほど強力なアーティスト用ツール、プロシージャルなビルディングブロック、スケーラブルなコンテンツにアクセスできる新たな可能性をクリエイターにもたらします。クリエイターは安定的かつ信頼できる成果物により品質を向上させると同時に、制作プロセスの改善と単純化を実現し、やがてはメタバースに自身の一画を創り上げることができるでしょう。

合意文書に基づき、Unity は現金と株式を合わせた 16 億 2500 万 米ドルをもって Weta Digital を買収します。Weta の商用クラウドサービスの生みの親にして、2020 年初めに CEO として Weta Digital に加わった Prem Akkaraju は WetaFX の最高経営責任者(CEO)に留任します。Weta の最高技術責任者 Joe Marks は Weta Digital の最高技術責任者として Unity に加わります。本買収提案は、慣習的な買収完了条件を満たした後、Unity の 2021 年度第 4 四半期に完了する見込みです。

The Raine Group が Weta Digital の専属財務顧問を務めました。


ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社について
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社は、リアルタイム3D(RT3D)コンテンツを制作・運用するための世界的にリードするプラットフォームである「Unity」の日本国内における販売、サポート、コミュニティ活動、研究開発、教育支援を行っています。ゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使い想像力を発揮しています。Unityのプラットフォームは、携帯電話タブレット、PC、コンソールゲーム機、VR・ARデバイス向けのインタラクティブなリアルタイム2Dおよび3Dコンテンツを作成、実行、収益化するための包括的なソフトウェアソリューションを提供しています。1,800人以上在籍するUnityのR&Dチームは、外部パートナーと協力して最新リリースやプラットフォームのために最適化されたサポートを保証することで、Unityをコンテンツ制作の最先端であるようにし続けています。Unityのクリエイターが開発したアプリは、2020年で月50億回以上ダウンロードされました。


Unityおよび関連の製品名はUnity Technologiesまたはその子会社の商標です。