アオシマから2021年11月に、組み立て式プラモデルキット「1/43 機動警察パトレイバー AV-98 イングラム1号機」、「98式特型指揮車 2台セット」が発売となる。同社の「パトレイバー」のプラモデルは、まったく新しいシリーズとして展開されるのだが、同時にアオシマ独自のブランド「ACKS」(アックス)の一種でもある。「ACKS」とは、何を目指すブランドなのか? そして、なぜアオシマイングラムは1/43というミニカーの国際スケールで模型化されたのか? アオシマ企画部の金田辰也さんに聞いてみた。

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ランナー単位での色分けと接着剤不要のスナップフィット、それが「ACKS」の基本


── まず、「ACKS」(アックス)というブランドについて聞かせてください。以前に取材させていただいた「未来少年コナン」(https://akiba-souken.com/article/41795/)などの個別シリーズとは別に、「Aoshima Character Kit Selection」として複数のタイトルが含まれていますね?

金田 はい、ランナー単位での色分けとスナップフィットでの組み立てを前提に、新ブラントとして複数のタイトルを統一したブランドが「ACKS」です。第1弾は、2018年5月発売の「フルメタル・パニック!IV 1/48 ARX-8 レーバテイン」。正確に言うと、「フルメタル・パニック!」シリーズは過去に独自に展開していたのですが、色分けと組みやすさを重視した「ACKS」ブランドとして、「レーバテイン」をあらためて発売しました。


── 意外に思ったのは、「超時空要塞マクロス」シリーズの可変戦闘機と女の子がセットになった「ヴァリアブルファイターガールズ(V.F.G.)」、これも「ACKS」ブランドに含まれているんですね?

金田 はい、最初に「マクロスデラーズ」という、メーカーを縦断した模型化企画のご提案を、「マクロス」シリーズの版権元であるビックウエストさんからいただきました。その中で「V.F.G.」という企画が、弊社の中から立ち上がってきました。むしろ、新ラインであるV.F.G.が、「ACKS」というできたばかりのブランドの序盤を支えていたとも言えます。


── 「ACKS」の中で、作品間をまたいだ共通規格を設けたりはしていないのですか?

金田 共通規格によるパーツ組み換えをコンセプトに開発しているのは、今年5月発売になった「合体 アトランジャー」に始まる「新・合体シリーズ」です。共通のジョイント、共通のフレームを使って展開していきます。ほかに強いて言うなら、V.F.G.の中で同一の変形コンセプトを持つ機体なら、女の子フィギュアを乗せ換えることはできます。とは言っても、「ACKS」は、それぞれのキャラクターごとにプロポーションを追及することを最優先しています。共通規格の話も当初はあったのですが、まずはそのキャラクターにとって最適なスペックを確立しないと、BANDAI SPIRITSさんを初めとする他社さんのレベルに追いつけないだろうと考えました。


── 「ACKS」の中では、「トップをねらえ! 1/1000ガンバスター」が2年ほど前に発売されましたよね。1万円近い値段なので、高年齢層向けのキットなのかな……と思ってしまったのですが?

金田 確かに主な購買層は40代以上なのですが、その世代に向けて企画したから価格が高くなったわけではありません。ビックスケールで各種ギミックを盛り込んだ結果、高価格になってしまっただけなんです。弊社のスケールモデルでも、陸上自衛隊の1/35「3 1/2tトラック(SKW-477)」、計1000個を超えるパーツ数で話題となった1/45「ディーゼル機関車 DD51」などのハイエンドモデルがあります。それらの高額キットだけでなく、「ザ・スナップキット」シリーズのようにパーツ点数を極力減らして、簡単に組み立てられるキットも積極的に開発しています。高価格のハイエンドモデルと低価格のスナップキットと、スケールモデルが両極端な展開になっていますので、キャラクターモデルでも簡単に組めて低価格のキットで、若年層の販売需要を狙えないかものか……と、常日頃から思案しております。


── なるほど。では、そろそろ「機動警察パトレイバー」の1/43 イングラムについて聞かせてください。
>> アオシマが「1/43 機動警察パトレイバー イングラム」のプラモデルを、自社ブランド「ACKS」で発売する理由【ホビー業界インサイド第75回】 の元記事はこちら
アオシマが「1/43 機動警察パトレイバー イングラム」のプラモデルを、自社ブランド「ACKS」で発売する理由【ホビー業界インサイド第75回】