2021年11月14日(日)、川口総合文化センター リリア メインホールでTVアニメ「進撃の巨人」The Final Season SPECIAL EVENTが開催された。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season SPECIAL EVENTより

出演は、梶裕貴エレン・イェーガー役)、石川由依ミカサ・アッカーマン役)、井上麻里奈アルミン・アルレルト役)、谷山紀章ジャン・キルシュタイン役)、小林ゆうサシャ・ブラウス役)、佐倉綾音(ガビ・ブラウン役)らキャスト陣と、MCの松澤千晶

約2時間半に及んだイベントは、2020年12月~2021年3月に放送された「The Final Season」Part1を振り返るトークコーナーや、 Part1で命を落としてしまったサシャについて語り合うコーナー、さらに細谷佳正下野紘三間雅文(音響監督)からのコメントVTRや、貴重な生アフレコと、盛りだくさんの内容。

「The Final Season」は"対巨人"ではなく、異なる価値観を持った者同士の"対人"戦争を描くストーリーとあって、キャストも観客も涙をぬぐいながらのイベントとなった。

有観客での作品単独イベントは、「Season3」Part1放送後に行われた『Attack on Titan SPECIAL EVENT』(2019年2月開催)ぶり。「The Final Season」から参加した佐倉は、単独イベント初参加だ。

マーレ軍の戦士候補生であるガビはエレン達とは敵対関係にある立場のため、オープニングから四面楚歌な状態に不安をにじませる。同じマーレ軍の仲間であるファルコ・グライス役の花江夏樹や、ライナー・ブラウン役の細谷佳正の名前を呼び、思わず助けを求める場面も。

「一緒に地獄を味わいましょう」という梶の一言で始まった最初のコーナーは『The Final Season Part1 TALK!』。第60話~第75話の中から、キャストが演じたキャラクターの名シーンを振り返っていく。

佐倉は、第66話『強襲』でガビがライナーの名前を必死に叫ぶシーンをセレクト。「ガビもまた歴史の被害者であり、彼女だけを責めることはできない」と語った。この叫びについては井上も絶賛。この芝居を見て「ガビは綾音にしか演じられない」と感じたという。後述のコメントVTRでも、Part1の三間音響監督が印象的なシーンとして挙げていた。

小林は、サシャの成長を感じるシーンをリクエスト。たくましく成長したサシャたちの、描かれていない部分を想像しながら演じたという。井上と石川は、第68話『義勇兵』で、サシャがニコロの料理をおいしそうに食べるシーンを挙げ、彼女の人間味に救われていたこと、だからこそ別れが刺さることなどを語った。

谷山は、第69話『正論』でエレンと104期兵のメンバーが夕日の中で語りあうシーンを「選ばざるを得ない」とセレクト。映像を見た井上が「泣きそう」と漏らすと、梶も堪えきれずにうつむいてしまった。また、仲間の仇を討たなかったジャンや、いろいろな視点でものを考えられるジャンの成長について、キャスト陣が熱く語り合った。

井上は、第73話『暴悪』から、エレンアルミンが殴り合いの喧嘩をするシーンをセレクト。石川とふたりで、アフレコをボイコットしようかと話すほど、演じたくない辛いシーンだったと言う。原作を最終話まで読んだ梶は、この段階のエレンの真意についてコメントすることを差し控えたが、だからこそあえて最終巻をまだ読まずにいる井上の「信じてる」という一言が心に残った。

石川は、第65話『戦鎚の巨人』から、ミカサエレンに「帰ってきて」と語りかけるシーンをセレクト。同じく何も語れない梶に代わり、谷山がジャンの気持ちを代弁して、重い空気を和ませていた。ここで佐倉が、泣かずにトークに耳を傾ける観客に驚くと、梶は「(「進撃の巨人」のファンは)面構えが違うから(笑)」と、作中のセリフを引用し盛り上がった。

最後に梶が選んだのは、第68話『義勇兵』で、エレンが「戦え」と自身に言い聞かせるシーン。他者と戦うことは誰にとっても怖いことであり、だからこそ、自分を鼓舞するエレンに梶は共感したと熱く語った。

束の間の和みの時間となった、細谷佳正下野紘・三間音響監督からのVTRの後は、キャストも客席も涙に包まれた、『ありがとう、そしてさようなら、サシャTALK』コーナーへ。コミカルな食事シーンや命を懸けて戦うサシャのVTRとともに、サシャへの想いが小林から語られると、面構えが違う観客のなかにも、涙を堪えきれない人が続出。

「(サシャが)大好きだから苦しくなる。サシャさんに感謝しかないです。こんな役に出会えるなんて、なんて幸せなんだろう」という小林の一言に、がっくりとうな垂れる佐倉の姿が印象的だった。

ガビの撃った弾によって、サシャが命を落としてしまう第67話『凶弾』の収録では、梶や谷山が声をかけてくれたこと。時間が経った今でも、これだけ心を揺さぶられる作品に出会えたことに、今まで命を落とした沢山の仲間たちがいる中、サシャを偲ぶ場を設けてもらったことに恐縮しながらも、小林が何度も「ありがとうございます」と感謝していた。

生アフレココーナーでは、トークコーナーでも触れた印象的なシーンの数々を披露。複雑な想いを語り合った後だったため、キャスト陣は胸を抉られながらも全力で演じていく。だからこそ、最後に演じられた104期兵メンバーたちの夕日のシーンの余韻が印象的だった。

イベント終盤では、2022年1月9日(日)放送スタートとなる、TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season Part 2のキービジュアルが初公開に。林監督のコメントを受けて、梶と谷山が興奮気味に期待を寄せていた。

エンディングでは、梶がイベントを振り返り、「辛かったですね」と苦笑。「あらためて、この作品の持つメッセージや命の重さを感じる機会となりました。僕は原作を最終話まで読み終えているのですが……エレンの真意を知ったら知ったで、むしろ演じるのが難しくなってしまって。どう向き合っていけばいいのか、迷って悩んでしまうこともあります。でもここまで来たら、どこまでエレンと心を重ねて演じていけるか……その戦いだと思っています。最後まで役者として全力で挑みたいと思っておりますので、どうか見守っていてください」と語り、最後に全員で心臓を捧げてイベントを締めくくった。

【TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season Part 2 イントロダクション

「その巨人はいついかなる時代においても、自由を求めて進み続けた。自由のために戦った。名は――進撃の巨人

ついに明かされた壁の外の真実と、巨人の正体。ここに至るまで、人類はあまりにも大きすぎる犠牲を払っていた。それでもなお、彼らは進み続けなければならない。壁の外にある海を、自由の象徴を、まだその目で見ていないのだから。――やがて時は流れ、一度目の「超大型巨人」襲来から6年。調査兵団はウォール・マリア外への壁外調査を敢行する。

「壁の向こうには海があって、海の向こうには自由がある。ずっとそう信じてた……」

壁の中の人類が、初めて辿り着いた海。果てしなく広がる水平線の先にあるのは自由か、それとも……? エレン・イェーガーの物語は、新たな局面を迎える。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season SPECIAL EVENTより/(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会