吉沢亮主演の大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の11月7日放送の第34回より、渋沢栄一(吉沢)の娘・うたとして、小野莉奈が出演中。

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小野は、2018年放送の「中学聖日記」(TBS系)で、同級生の晶(岡田健史)に思いを寄せる“るなち”で注目を浴びた。今回のうたの初登場の際には「うたちゃん、中学聖日記(2018年TBS系)のるなちだ」「うたが大きくなってる」などと話題に。

「私の役者人生の中で初めてのことだらけ」という大河ドラマ初出演への思いや、現場の舞台裏などを語ってもらった。

■すごく刺激を受けますし、毎日「楽しい」しかないです

――出演が決まったときの気持ちを教えてください。

初めて聞いたときは夢のようで、私でいいのか!?っていう気持ちになりました。でも、いろいろと準備をしていくうちに、うたは明るくて素直で面白くて、とても魅力的な女の子だなって思うようになって、役になり切りたいと楽しみになっていきました。

撮影に入ってからも、緊張というよりは共演者の皆さんと楽しくお芝居させていただいてるという感覚です。着物とかかつらとか時代劇とか、私の役者人生の中で初めてのことだらけで、そういうことにもすごく刺激を受けますし、目まぐるしい日々で、毎日楽しいしかないです。

――初めての時代劇ということで、所作の稽古は大変だったかと思います。

大変でした。立ち座りとかちょっとした動作でも、着物を着ると変わりますね。細かい動きこそ大事なので、基礎から教えてもらいました。でも初日は全然できなくて、家で足袋をはいて自主練して、少しずつ自分の体に慣れさせていくことの繰り返しでした。

特に最初は、お芝居に入ると所作まで気が回らなくて。新しく入った身としては、ずっと出演されている皆さんに追い付きたい、追い付かなきゃいけないという気持ちだったので、すごく必死でした。

■うたは育ちの良さと、根っから明るい感じと、両親の長所をどちらも持ち合わせている子

――尊敬する父・栄一と、厳しくも大好きな母・千代(橋本愛)の元で育ったうたですが、何を意識して演じましたか。

千代さんからは厳しく育てられたので、礼儀や所作がきちんとしている育ちの良さと、栄一さんの根っから明るい感じと、両親どちらの長所も持ち合わせている子だから、その加減を一つ一つのシーンで細かく演じ分けていました。ここは礼儀正しくしようとか、ここは所作のことはわきに置いて性格を重視しようとか、その都度、栄一さんと千代さんのどちらの割合が強いのかをいつも考えていました。

あとはお母さんのことがすごく好きな子なので、うたのお母さんに対しての深い愛が伝わればいいなと思って演じていました。お母さんを見て安心したり、うれしいことをお母さんと共有してまたうれしくなったりするような、感情がお母さんによる影響で大きくなっていくというのを意識していました。

――母と娘のいい関係が、画面越しに伝わってきます。

橋本さんはずっと憧れていた存在だったので、最初はすごく緊張していました。撮影が進むと、たくさんお話をしたこともあって緊張はなくなっていきましたが、それが役にも影響するというか、演じていても本当のお母さんのように思えてきたというのはありましたね。

――そんな橋本愛さんの印象はいかがでしたか。

すごくすてきな方です。分からないことがあると質問をしましたし、プライベートな話をすると笑ってくれたり、すごく話しやすくて。

お芝居でも、最初は遠慮してしまっていた部分がありましたが、監督さんから「大好きなお母さんだから遠慮しないで」と言われて納得しまして。そう言われたから仲良くなったわけではありませんが、自然の流れで仲良くなって、撮影の合間もお話できてよかったなと思います。

■同じスタジオなのに毎日違う世界が広がっていて、すごく感動しています

――父役の吉沢亮さんの印象はいかがでしたか。

吉沢さんはあまりしゃべらない方なのかなって思っていたんですけど、しゃべり始めると面白いことをたくさん言われます。家族の楽しい食事のシーンでは、アドリブで面白いことを言ってくるので、笑いが止まらないです。その楽しい感じが映っていたらいいなと思います。

――うたの性格で共感できるところはありますか。

うたは家族がすごく好きな子で、家族にいいことがあると自分もすごくうれしいんですよ。お父さんが活躍すると自分もすごくうれしいし、逆に批判をされると本人よりも怒っちゃう(笑)。そこは分かるような気がします。私はそこまで素直に気持ちを出せるタイプではないんですけど、家族にいいことがあるとすごくうれしいし、うまくいかないと自分も悔しくなっちゃいますね。うたは家族への愛がにじみ出ている子だから、そういう部分を見ると、すごく愛されて育った子だなというのが分かります

――初めての大河ドラマの現場で驚いたことはありますか。

セットがすばらしいです。映ってない部分もすごく細かく作られていて、植物も本物で。毎回セットが変わるので、今日はどういうセットなんだろうって、いつもスタジオに入るのがすごく楽しみでした。同じスタジオなのに毎日違う世界が広がっていて、そこにすごく感動しています。

衣装も、役やシーンによって着物を考えて選んでくださっているので、それもすごいなと思いました。髪形にしても自分では絶対できませんし、自分だけじゃ演じられないなっていうのはつくづく思いますね。本当にスタッフの皆さんはすごいなって思います。

■母への愛は精一杯表現したと思います

――最後に、11月21日(日)放送の第36回の見どころを教えてください。第36回では、うた改め歌子が穂積陳重(田村健太郎)と見合いをして結婚する一方で、千代は病に倒れるということですが…。

第36回の監督の黒崎(博)さんには、「うたはお母さんのことが大好きだ」ということを撮影の間に何回も指摘されたので、母への愛は精一杯表現したと思います。

お母さんとのお別れは、うた自身すごく悲しい出来事ではあるんですけど、成長する瞬間でもあるんですね。今までどれくらいお母さんに助けられたのかとか、どれくらい大きな存在だったのかというのを改めて知る瞬間でもあるので、うたの次の成長に、人生の分岐点になるところではあるかなと思います。うたがどう乗り越えて、どう変わっていくのかっていう感じですかね。

その後は、さらに年を重ねて弟の篤二の親代わりにもなりますけど、家族を支えていかなければならない責任感を持った、また違ううたが見られるんじゃないかなと思います。

取材・文=Rum

大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)で、渋沢栄一(吉沢)の娘・うたとして出演している小野莉奈/撮影=倉持アユミ