吉高由里子主演の金曜ドラマ『最愛』(TBS系、金曜よる10時~)。殺人事件の重要参考人となった若き女社長・真田梨央(吉高)、かつて梨央が思いを寄せていた事件を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平)、そして梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)を中心に描かれるサスペンスラブストーリーだ。梨央の弟・朝宮優(高橋文哉)が警察に連行され、優のために加瀬が動いた第6話。梨央と大輝が抱き合ったシーンには「泣いた」「辛い」との反響が寄せられ、刑事でありながら梨央と優のために動いてしまう大輝の姿が印象的だった。(以下ネタバレあり)




大輝は梨央を心配して電話をすると取り繕うことはなく、方言で話す。梨央は優の身を案じながらも「大ちゃんが迎えに来てくれてよかった」と自分に言い聞かせるが、ヨーグルトのパックを落としてしまうほどで不安を隠せない。そんな梨央の様子を知らないながらも大輝は「どうなるとは今は言えん。待っとってくれ」と言うしかない。


優は取り調べが始まり、加瀬から「記憶がないなら何も言わないで」と助言され黙秘を続ける。だが、粘り強い取り調べを受けて、昭殺しを自供してしまう。沸き立つ捜査本部だが、大輝は座ったままで沈んだ表情を浮かべるだけだ。山尾に呼ばれた大輝は、「真田梨央に関わるな」と忠告されても、告げ口した桑田(佐久間由衣)を力なく見るしかない。前回の葛藤する姿からさらにテンションが低く、静かにたたずむ松下の表現力の幅の広さに驚かされる。


優の持っていた殺害当時の映像の解析が進み、殺害現場と優と争った場所が違うと分かった途端、目に力が戻ってくる大輝。さらに加瀬に呼び出されたときは、警察署に来た梨央と会っていた現場を見つかった時の弱々しさはなく、いつものバチバチの状態に。優が事件当日のことを覚えてないこと、優の記憶障害が治っていないことなどを加瀬から聞き、山尾(津田健次郎)にその情報を伝えて、加瀬に言いくるめられたと怒鳴られても平然とした様子。被害者の立場に立って捜査をしなければいけないのに、梨央と優のためにそれを破ってしまう大輝。優が犯人ではない可能性が出てきた途端に、やる気を取り戻したが、無気力な状態とのギャップが激しすぎて危うさを感じてしまう。


事件当日の目撃者がいると聞き、捜査していた大輝はついに証言者を見つける。証言から昭(酒向芳)は優が去ったあとも生きていて、落ちた池から移動していたことが判明。加瀬の検察への働きかけもあって、優は不起訴となり梨央のもとへ帰ってくることになった。


そんな中、梨央は加瀬の言葉で大輝の立場にようやく気付く。「宮崎さんも力になってくれたと思う。今回、彼は被疑者側に同情しすぎてる。よくないことなんだよ」と言われ、辛い決断をすることに。


大輝は梨央から呼び出され、待ち合わせ場所に行くと電話がかかってくる。梨央は感謝の言葉を述べながらも、「もう会わんようにする。大ちゃんの立場が悪くなったら嫌やもん」と言われて下を向く大輝。「最後に顔が見たかったんや」と告げられた途端、梨央を見つけようと周囲を見回すが、その狼狽した表情は、梨央が大輝にとって大事な存在だと示していた。


歩道橋にいる梨央を見つけて、「勝手に決めんな!」と言いながら大輝は走り出す。梨央も逃げて、もう追ってこないと思ったところで立ち止まるが、そこに大輝が現れる。


15年前に梨央が何も言わずに東京へ旅立った日、あと少しで梨央に会えなかった大輝だったが、今回は間に合った。全力疾走はあの時と同じ思いをしたくなかった大輝の執念だったのではないか。「勝手に決めんな!」も、15年前に言いたかったはずだし、いろんな思いがあの走りには込められていたと思う。


それでも去ろうとする梨央を大輝は捕まえて抱きしめる。大輝の心情に重なるように流れる宇多田ヒカルの主題歌『君に夢中』のサビ。立ち尽くしていた梨央だが、さらに力強く大輝に抱きしめられ、思いを止められず抱きしめ返した。力のこもる大輝の手からは、梨央への愛情が伝わってくる。


ようやく抱き合えた2人。15年前は康介の事件があって梨央が抱きしめ返せなかった。そして、この前は、刑事と重要参考人の関係だったため、大輝が抱き着いてきた梨央を抱きしめられなかった。15年前の事件が明らかになり、優が昭殺害事件で不起訴になったからこそ、抱き合えた2人だった。それでも梨央の思いは変わらない。


別れを惜しむかのようにしばし見詰め合う2人だったが、梨央は「じゃあね」と歩き出してしまう。


泣き笑いの顔で手を振る梨央を、見送るしかない大輝。お互いを想い合っているのにもう会わない決断をした2人が切ない。


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電話口で梨央に言う優しい「ん?」も、「もう会わない」と梨央に言われた時の厳しい表情も、「あの顔は何?」「切なすぎて鳥肌立つ」という声も上がった歩き去る梨央を呼び止める弱々しい声とうつろな表情も、大輝の思いの大きさに気づかされ胸が苦しくなる。


昭殺しの犯人が見つかれば、梨央と大輝は再び会うことができるのか?
ただ、第1話では手に血が付いた梨央が警察に連行されていた。優が不起訴になった今、改めてあのシーンの意味が気になってくる。梨央と大輝の笑顔での再会を願いつつ第7話の放送を待ちたい。


<第7話あらすじ>

梨央(吉高由里子)の前に現れたしおり(田中みな実)は、真田グループの不正について追及する。話が見えない梨央はその場を去るが、しおりが自分や優(高橋文哉)のことを昔から知っていたような口ぶりに違和感を抱いていた。


加瀬(井浦新)の尽力によって昭(酒向芳)の死には関与していないことが証明された優は、梨央と一緒に暮らすことに。さらに、加瀬の言葉で前向きに生きることを考えるようになり、新薬の治験を受ける決意をする。


一方、大輝(松下洸平)と桑田(佐久間由衣)は、15年前の事件の捜査から関係者として浮上したしおりと接触。15年前のある恨みが昭殺害事件につながった可能性があることを掴むが、しおりには事件当夜のアリバイがあった。


さらに、しおりは真田ウェルネスが経営する老人ホームに出入りし、真田グループの不正を執拗に追う。そんな彼女に対し、後藤(及川光博)は再び取材をやめさせようとするが…。


■金曜ドラマ『最愛』
毎週金曜よる10:00~10:54

(C)TBS


▼各話レビュー

第5話…大輝の苦悩、最愛の交錯

『最愛』松下洸平の裏返る声…苦悩する“大ちゃん”に「持ってかれた」「すごい役者」

『最愛』一言が心震わせる、吉高由里子&松下洸平&井浦新ら“最愛”が交錯


第4話…背中で語る演技

『最愛』松下洸平の“語る背中”に反響「抱きつきたくなる」「切ない」

『最愛』予想のつかない展開、吉高由里子 松下洸平らが一瞬で惹きつける瞬間


第3話…圧巻の20秒

『最愛』吉高由里子&松下洸平 想像を掻き立てる圧巻の20秒、物語を動かす2つの涙


第2話…方言の破壊力

『最愛』ギャップが鍵に?吉高由里子&松下洸平 “一気に戻る”方言、落差に心掴まれる


第1話…カギとなる初回

『最愛』“大輝”松下洸平、思わぬ形で再会した“梨央”吉高由里子との関係に注目

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