森友学園との土地取引を巡る公文書改ざん事件で2018年3月7日に命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さん(享年54)。自宅のパソコンから、今回、改ざん後の心理状態を示す新たなメールが発見された。妻の雅子さんから、フリー記者の相澤冬樹氏が提供を受けた。

2歳下の弟に送った4通のメール

 メールは、2017年2月から始まった公文書改ざんの後、うつ病で休職していた時期に2歳下の弟に送ったもので、4通見つかった。雅子さんはこれまで長い間、夫のパソコンを開く気持ちにならなかったが、今回、資料などの整理のために開けてみてこれらのメールに気づいたという。

 1通目のメールの日付は2017年8月11日

〈私は、本年2月以降、前例のない事案の担当のため、本年6月末まで毎月100時間を超える残業時間が続き、休日出勤する日もありました。その間、気が張っていたこともあって、風邪など引くこともなく、休暇をとらずに何とか定期人事異動の6月末まで乗り越えてきたのですが、7月以降の人事異動がないことがわかると、急に疲れがあふれかえり、6月中旬頃からは、不眠症が続き、首筋の痛みが続いていたため、遂に7月15日メンタルクリニックを受診しました〉

〈ある時期を目処に仕事を辞職することも念頭にあります(単に体調不調だけではなく、当局の考えや事案対応に相当の違和感と疑問がぬぐえない)〉

 雅子さんによれば、7月の人事異動での配置換えを俊夫さんは期待していたが、6月下旬に異動がないとわかり、体調が悪化したという。公文書改ざんに関わった上司ら全員が転出し、自分だけが取り残されたため、全責任を負わされると苦しんだ末、「うつ病」と診断され休職することになった。

職場の同僚に書いたメールも見つかる

 メールでは辞職も念頭にある理由として、当局の事案対応への「違和感と疑問」をあげている。当局とは財務本省と近畿財務局、事案対応とは森友事案であり、違和感と疑問は改ざんや虚偽答弁など一連の不正行為を指している。

 さらに、俊夫さんが職場の同僚に書いたメールも見つかった。

〈仕事上で生じたメンタルの病気なのに、上司も含めて当局の対応に寂しさ(優しさの欠如)を感じています〉

見つかったメールは、新たな重要証拠となるのでは

 雅子さんは相澤氏の取材にこう語っている。

「職場で不正なことをやらされて、異動できずに一人残されてうつ病になっても職場の方から優しい言葉はほとんどありませんでした」

 現在進行中の、雅子さんが国や佐川宣寿理財局長(当時)を相手取った裁判では、俊夫さんを追い詰めた心理的な負荷が争点の1つになっている。今回見つかったメールは、新たな重要証拠となるとみられる。

 11月24日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」および25日(水)発売の「週刊文春」にはフリー記者の相澤冬樹氏が記事を寄稿。見つかった他のメールの詳細を報じるとともに、11月8日に人事院から赤木俊夫さんの公務災害認定の文書が開示されたことを契機に再び広がる“誤解の波”(自殺の責任を野党やマスコミにすり替える論理)についても、詳しく論じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年12月2日号)

改ざん直後の2017年5月の俊夫さん