上白石萌音、深津絵里、川栄李奈がヒロインを務める連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。11月24日放送の第18回で、第二次世界大戦が終わった。心に傷を負った父・金太(甲本雅裕)のため、そして出征した夫・稔(松村北斗)のために祈る安子の姿が印象的に描かれた。物語はここから戦後へと移っていく。(以下、ネタバレがあります)

【写真を見る】「必ず帰る」と言った稔(松村北斗)。その表情は優しい

今週は第4週「1943-1945」を放送中。稔と勇(村上虹郎)が学徒動員で出征。岡山空襲では安子の母・小しず(西田尚美)と祖母・ひさ(鷲尾真知子)が犠牲になるなど、つらい展開が続いている。

第18回では、終戦の日が描かれた。玉音放送により、人々は戦争が終わったことを知った。赤ん坊のるいを背負い、焼け跡の道を通っていつもの神社で稔の無事を祈る安子の声にもいっそう力が入る。

これまでのように立ってではなく、ひざまずき、頭を低く垂れて「稔さんがご無事でありますように。ご無事で…帰ってきてくれますように。どうか…どうか…」と一心に手を合わせる安子。その無心でひたむきな姿には、凄みすら漂う。

■「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ…」

一方、妻と母を失った金太は体を壊しただけでなく心にも傷を負い、生きる気力を失っていた。戦争が終わったとはいえ、大切なものを失った人々の喪失感が急に癒えるはずもない。

そんな金太のため、市場で小豆を見つけた安子は小豆を炊いてあんこを作った。腕のいい菓子職人だった金太が弟子たちに語っていた言葉を思い出し、「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ、おいしゅうなれ…」と鍋に語り掛けながら…。その声はまるで祈りのように静かに、しかし切実に響く。

つらい展開だが、希望の光も見え始めた。安子が作ったあんこを口にした金太は、戦時中に少ない配給の中からとっておいた砂糖の存在を思い出し、店の焼け跡から掘り起こして大切そうに抱きしめた。

そして頬を雨と涙で濡らしながら「あねん、まじいおはぎゅう供えられたんじゃ、小しずらも安心して成仏できんわ」と口にした。金太にとってはこの時が、小しずとひさを失ったことを受け入れた瞬間であり、戦後の始まりだったのだろう。再び前を向くためには現実を受け入れなければならない。それが、どんなに目を背けたいことであろうとも。

安子の祈りが、物語を少しずつ前に進めていく。つらい中にも希望の光が見えた第18回。番組公式Twitterの「安子ちゃんの気持ちが乗り移ったあんこが、金太さんの心を動かしました…」というつぶやきには1万を超える「いいね」がつき、視聴者からも「おいしゅうなれ、は言霊。安子ちゃんの思いがこもった美しい言葉」「安子ちゃんの思いが金太さんに伝わった。よかった」の声が上がった。そして、「神社のシーンが苦しい…どうか安子の祈りが届いてほしい」「稔さん、どうか帰ってきて!」という声も飛び交っていた。

神社で稔(松村北斗)の無事を祈る安子(上白石萌音)/「カムカムエヴリバディ」第18回より(C)NHK